忌録考察「みさき」「みさき る」 前編 情報整理や関連ワード考察
※注意
・「忌録: document X」のネタバレを含みます。
・「忌録: document X」考察まとめを参考にしながら、私個人が考察した内容です。異論は認める。
・「忌録: document X」の「みさき The Missing」と「『みさき』る」に関する考察です。
・考察元の作品はこちら
「『みさき』る」
http://bungoku.jp/grand/2010/0091.html
「忌録: document X」
https://www.amazon.co.jp/dp/B00K4UWJ14/ref=cm_sw_r_cp_awdb_c_-GByFbY64YR60
「忌録: document X」考察まとめ - Togetter
https://togetter.com/li/953244
・続きはこっちから
※登場人物について
◯吉野家関連
・吉野美咲
美幸と義弘の娘。失踪当時、6歳。なんらかの知的障害があったと予測される。
誕生日は7月8日で、失踪日は7月7日と、誕生日の前日に失踪している。
・吉野美幸
美咲の母。『談話1』では降霊後に精神に異常をきたし、まともに話もできない状態とあるが、記者が言及しておらず真偽は不明。
・吉野義弘
美咲の父。父ながらこれといって活躍はしてない。
・絹江
美咲の祖母。忌録には登場せず、「みさき る」にのみ登場。美咲失踪後に逝去。因果関係は不明。
・結城フク
美幸の叔母。川上喜代子に心酔。手紙で美咲の事を川上に相談するよう、美幸に勧める。軽度の統合失調症の疑いあり。
◯川上周辺の人物
・川上喜代子
霊能者。美咲の交霊に失敗し、後日に行方不明となる。カコイサマという木の札を使う交霊術を行い、結城フクの手紙では失せ物探しを良くやるという。
・付き人
川上喜代子と共に降霊に参加した人物。『交霊』の話者。
・吉田さん
いわゆる、吉田さん。川上喜代子の遺体を見つけ、腰を抜かした駐在さんに続いて腰を抜かした人。
・三次の春子
恐らく三次市に住んでいると思われる人。川上喜代子の霊を目撃する。
・美恵子姉さん
川上喜代子の霊により三次の春子へ重態と告げられた人物。
三次の春子がそれを聞き『談話1』の話者に連絡しているため、『談話1』の話者の可能性あり。
・下野の三郎
ただの三郎。
・美代子
下野の三郎に嫁いだ女性。兄に牛窓の徹がいる。徹の事故後、行方不明に。
・牛窓の徹
美代子の兄、僧侶。電話を受けて向かうも、直後に田んぼに突っ込み重態。
・松野武
川上宅に入る火の玉を目撃した人物。実は川上宅に放火した放火犯。
・駐在さん
最初に川上喜代子の遺体を見つけた人物。
・警察の人
井戸の蓋がずれた時に『談話1』の話者が警察に電話して来た人(上記の駐在さんとは別人?)
◯その他の人物
・妙子
夜徘徊する夢遊病を患っている人物。事件との関連性は謎。徘徊中は祝詞のようなものをつぶやいているらしい。
・浮浪者
御願塚古墳にいた浮浪者。失踪事件前後に姿を消す。にわとりを飼っていた。
・ササヤマのマツおじさん
結城フクに対して厳しく言うおじさん。
・トモノスケさんちのサトシくん
癇癪持ちだったと思われる子。川上喜代子の占いにより発見されるも、既に死亡していたと思われる。
・マツヨさん
美幸の発言を結城フクに告げ口した人物。
◯登場人物に関する考察事項
・結城フクの手紙から、吉野家は比較的に美幸側の親族と交流があったことが窺える。
(フクの手紙で言及されているマツヨさん、ササヤマのマツおじさんなど)
・三次の春子、牛窓の徹、下野の三郎、ササヤマのマツおじさんの三次、牛窓、下野、ササヤマについては地名の可能性がある。
(ただし松野武を松野の武さんと呼称しているため、苗字の可能性もある)
※舞台となる場所について
・兵庫県伊丹市御願塚4丁目10番地11号 御願塚古墳
吉野美咲の失踪事件現場とされる場所。
・兵庫県伊丹市御願塚5-?
ビラに記載のある吉野家の住所
・広島県三次市大田幸町
川上喜代子の自宅がある場所。
・岡山県和気郡
幼い頃の川上喜代子を引き取った川上家のある場所。
結城フクも同じ場所の出身と考えられる。
・岡山県邑久郡牛窓町(現 瀬戸内市)
美代子の兄の牛窓の徹が住む場所?
・広島県竹原市下野町
下野の三郎さんの住む場所?
・兵庫県篠山市(現 丹波篠山市)
ササヤマのマツおじさんの住む場所?
◯舞台となる場所についての考察事項
・『談話1』の舞台の候補は
広島県三次市大田幸町 川上宅
岡山県和気郡 川上家の実家
広島県三次市近辺の別の場所 談話1の話者宅
のどれかだと思う。また、
『談話1』の話者が村と呼称している。
→都市部では無い。
三次の春子さんが川上喜代子が現れても不思議がらず、『談話1』の話者宅に電話をしている。
→春子さんは川上喜代子の近所に住んでいて、『談話1』の話者が居る場所は川上宅では無い。
松野武から火の玉が川上宅に入っていった話を聞いている。
→三次市からさほど離れた場所ではない。
この事から、『談話1』の舞台は三次市近辺の集落の『談話1』の話者の家である可能性があるのではないかと思う。
※時系列
・1991年頃
浮浪者が古墳に住んでいた(失踪事件前後に姿を消す)
・1992年7月7日
午後4時すぎ、吉野一家が御願塚古墳を通りかかる。吉野美咲が神社へ。
5分後、戻ってこず父の吉野義弘が社殿へ。吉野美咲失踪。
午後4時25分、稲野駅警察に吉野夫婦が駆け込む。
・7月8日
奇妙な電話【同時に玄関にノックする人物、同日夜 絹江倒れる】
・7月16日
【祖母の絹江 死去】
・8月14日
川上が吉野家に到着(日の高い内)、交霊会開始。
日没頃 怪現象交霊会失敗。
吉野美幸が緊急搬送され、吉野義弘、川上喜代子、付き人の3人も病院へ。
その後、川上喜代子と付き人は義弘により帰される。
・後日(日付A)
川上が『交霊』の話者(付き人)の家に来る。
・不明(日付B)
川上が井戸に身投げ(場所は不明)
駐在さんA、吉田が井戸内の黒い影を目撃、井戸に蓋をする。
晩に三次の春子さんの所に川上が現れ、玄関血まみれに。
牛窓の鉄さん(僧侶)に電話、その後事故る。
・日付Bの翌日(日付C)
下野の三郎さんの嫁の美代子失踪。
犬大量死。
川上さんの遺体が井戸から消える。
【?月9日頃(日付Bか日付C)】
『資料』の新聞によると、川上喜代子が行方不明とされている。
・?月13日(日付Cの何日か後)
午後9時17分頃 松野武、三次市の川上宅に放火。(『談話1』では、川上宅に火の玉が飛び込んだと証言)
2時間10分後 消防により消し止められる。
・?月18日
松野武、放火の容疑で逮捕。
◯時系列に関する考察事項
・【】の出来事は「みさき る」のみでの記載。「みさき」には絹江の記述なし。
・川上喜代子が行方不明になったのは、『資料』の新聞記事から9日頃という日付のみ判明。
『談話1』の「井戸に身投げして遺体が消えた」というのが川上喜代子の失踪事件の事だとすると、日付Aからの出来事は9月以降に起こった事と推測できる。
(川上喜代子の失踪が8月9日だと、交霊の8月14日時点で川上喜代子が失踪していることになり、辻褄が合わなくなる)
※話者について
・『事件』『取材』『霊媒』
事件を取材した記者(以下、記者)。他の話や資料を集めた人物かは不明。
・『交霊』(川上喜代子の付添)
川上喜代子と共に吉野宅に交霊をしに行った人物。
・『談話1』
川上喜代子行方不明に関するの一連の騒動について語る人物。
・『談話2』
川上喜代子を先生と呼ぶ人物。
・『談話3』
妙子さんのご近所さん。他の話者との共通点など詳細は不明。
◯話者に関する考察事項
・恐らく『交霊』『談話1』『談話2』『談話3』は広島弁(安芸弁)と思われる。
話者は広島県西部の人物の可能性が高い。
そうなると川上喜代子の家がある広島県三次市大田幸町は東部に当たるため、『交霊』『談話1』『談話2』『談話3』は川上宅及び三次市では無い可能性がある。
(ちなみに、著者がそこまで考えてなかったり、私が思いっきり間違っていた場合は違うかも)
・『談話1』の話者の特徴として「三次の春子さん」「下野の三郎さん」「牛窓の徹さん」「松野の武さん」という呼び方をしているのとか「川上さん」「吉田さん」という「苗字or地名+名前」と「苗字のみ」という2通りの呼び方をしている特徴がある。
何の意味があるかはよく分からないが、人間関係上なんかありそう。
・『交霊』と『談話1』の話者は、別人だったぁ……
口調がですます調とそうじゃないのとで違ってたぁ。
・『談話1』の話者が駐在さんと発言しているのに対し、『談話3』の話者は駐在と発言しているところから、『談話1』と『談話3』の人物は別人と思われる。
※結城フクの手紙を読み起こしたやつ
・1枚目の【イキケナ】は「イキクチ=生き口」っぽい。
※アチメェ!!の鎮魂歌について
・阿知女作法と呼ばれる神楽歌。「年中行事秘抄」というのは宮中の儀式を記録した文書で、鎌倉時代に書かれたもの。その中の鎮魂歌として、「アチメ〜」が載っている。(kindleで無料+手数料で読めるよ。スマホ版だと188ページに飛ぶと鎮魂祭に飛べるよ)
・年中行事秘抄の鎮魂歌には、11月の鎮魂祭について書かれている。(11月17日にやった?みたいな説明書いてある。ちゃんと読めんから分からん)
11月の「中寅鎮魂祭事」の項目(だと思う)の中に阿知女作法の書いてある鎮魂歌がある。
ちなみに、鎮魂歌の後は「新嘗祭」についての記述がある。
・「魂返シスナ」とあるが、本来であれば「タマカヘシスナヤ」であり「ヤ」が抜けている。
更にその後に「ヒトフタミヨイツムユナナヤココノタリヤ(ひと、ふた、み、よ、いつ、むゆ、なな、や、ここの、たりや)」と続くのだが、忌録の方では最後の文が抜けている。
※謎の平仮名長文について
・まだ検証しきってないけど、祝詞なのは確か。
ちなみに「持」って漢字が一個だけ混ざってる。
多分、誤字。
・解読すると出てくる祝詞の順番は
①山神祓
②海神祓
③龍神祝詞
④産土神祓
⑤十種大祓
⑥神棚拝詞
⑦祈念祝詞
⑧三種祓詞
⑨一切成就祓
だそうな。(私は全部やってないので、①と②のみは確認して、以降は未確認)
ちなみに、解読後の祝詞には色々問題ががあるらしい。
・吉野家にかかってくる電話の内容では?という発想の元、逆再生の要領でローマ字にして反転させたところ解読できたという経緯。
※『資料』の告の手紙について
・詳細は不明。(手紙なのか、張り紙なのか。書かれた時期や誰が書いたのかなど)
・文字がガタガタなのは、筆跡を隠すために定規を当てて書いたためと思われる。(脅迫文によくある手法)
したがって、筆跡を見られると吉野美咲、義弘の2人にはバレる正体がバレてしまう人物の可能性があるかも。(ただ単に警察に嫌だったとかもあるかも)
・折った痕跡が見られないので、このままの状態で投函ないし張り紙されたと考えられる。
※「みさき The missing」と「『みさき』る」の違い
・「みさき The missing」(以下「みさき」)は「忌録: document X」の中に収録されている短編の事件の記録風の小説?的なもの。
・「『みさき』る」(以下「みさき る」)は「第2回 21世紀新鋭詩文学グランド・チャンピオン決定戦」の応募作品。優秀作品賞を受賞している。ちなみに「みさき」が作品名で、作者の名前が「る」になっている。
・『鎮魂歌』に『交霊』と『談話』の1〜3、『資料』については違いは見られない。
大きく異なるのは記者がまとめたとされる部分で、
「みさき」は『事件』『取材』『霊媒』
「みさき る」は『概要』『補追』『霊媒』
と題名も違い、かなり文章が変わっている。(違うと言っても内容はほぼ同じなので、違いについては読んで確認してね)
特に祖母の絹江に関しては「みさき る」の『補追』にのみ記述があり、「みさき」では全く記述がない。