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【ワールドトリガーの作者】葦原大介先生の経歴|勝負のルールを1から創造
こんにちは。Saraです。
今回ご紹介するのは、SF頭脳バトルの金字塔「ワールドトリガー」の作者として有名な葦原大介先生です。
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ワールドトリガーは、2013年より週刊少年ジャンプにて連載を開始し、その後、ジャンプSQに移籍して、現在も連載を続けています。
コミックスは現在24巻まで発行、アニメもシーズン3まで放映されており、ジャンプの中でも特に熱狂的なファンが多い大人気作品となっています。
ワールドトリガーは、ジャンプ作品としては珍しく「集団戦」がメインに描かれており、キャラクター1人1人が思考をめぐらし、緻密に練られた戦略を駆使して戦うなど、単純な戦闘力だけでは決まらない複雑な集団戦を見事に描いているたまらない魅力をもった作品です。
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また、キャッチコピーに「遅効性SF」が選ばれるなど、後にジワリジワリと効いてくる細部まで作り込まれた設定もワールドトリガーの特徴かつ大きな魅力の1つとなっていますね。
連載を開始してからは常に人気を獲得し続けているワールドトリガーですが、作者である葦原先生は首に病気を抱えており、ワールドトリガーは病気の影響で一時的に無期限の休載となってしまったこともありました。
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最終的に、ジャンプSQへと移籍し、現在は病気と折り合いをつけながらの月1連載を続けています。
今回はそんな葦原大介先生の経歴やワールドトリガーが誕生するまでの経緯、また、ジャンプSQに移籍するまでの経緯についてご紹介していきます。
動画版はこちら。(YouTubeも見にきてくれるととても嬉しいです。)
経歴
1981年2月13日生まれ。東京都出身。
子供の頃から「ドラえもん」が好きでよく読んでいたそうで、「誰もみたことがない不思議なテクノロジーが現実の世界にあって、それを使って何かをする」というのがすごく好きだったと語っており、小学2年生の頃には漫画家になることを決めていたそうです。
ちなみに、高校卒業後にビジネスホテルのフロントでアルバイトをしており、この時の経験は、漫画家として担当さんと会話をする際などに役に立っていると振り返っています。
そんな学生時代を過ごし、漫画家の夢をもったまま創作活動を続け、2008年・27歳の時に読み切り作品「ROOM303」で第75回手塚賞の準入選を受賞。
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初の受賞作品がそのまま週刊少年ジャンプにて読切掲載され、27歳で漫画家デビューを果たします。
ROOM303
ROOM303は、ダークテイストのサスペンス調ながらファンタジー要素も含む「非現実なリアルさ」をテーマにしたミステリー作品となっており、名作読み切りとして今なお根強い人気を誇っています。
ちなみに、本作の登場人物は、「ワールドトリガー」の片桐隊の雛形となっていますね。
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その後、2008年に読み切り作品「賢い犬リリエンタール」を掲載。
続けて2009年には、ワールドトリガーの前身となる読み切り作品「トリガーキーパー」を掲載し、
2009年から週刊少年ジャンプにて初の連載作品「賢い犬リリエンタール」の連載をスタートさせます。
賢い犬リリエンタール
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「賢い犬リリエンタール」は人間の言葉を話す二足歩行の小型犬リリエンタールと周囲の人々との交流を描いた心温まるハートフルコメディ漫画です。
コメディタッチの愛らしい絵柄や不思議な世界観でニッチなファンを獲得しますが、残念ながら「賢い犬リリエンタール」は全32話・全4巻とそこまで長く続かずに約1年で連載が終了してしまいます。
実力派エリート迅
リリエンタールの連載終了後、葦原先生は「次回作は少年誌を意識した『勝負事』をメインにした漫画を描こう」と考えたそうです。
はじめは勝負事ということで、スポーツ物で進めようとしますが、自身がスポーツタイプの人間ではないことに懸念を感じ、担当さんに相談したところ「葦原くんはもっと自由にやった方がいい、新しいものを作った方が面白いんじゃないか」と言われ、
勝負事の設定やルールを1から考える方向へとシフトした結果、「SFバトル漫画」という構想に行きつき、ワールドトリガーの誕生へと繋がっていきます。
そのため、ワールドトリガーについて葦原先生は「SFを描きたかった」訳ではなく「結果的にSFになった」と振り返っています。
ちなみに、葦原先生のSFの定義は「現実にはないひとつのテクノロジーやシステム・アイデアによって、物語の中の世界が動かされている作品」という認識らしく、例えば「デスノート」とかもSFになるそうです。
ドラえもんが好きと言うこともあり、藤子・F・不二雄先生が言う所のSF(すこしふしぎ)の方が自身の認識としては近いかもしれないと語っています。
その後、2011年にワールドトリガーの前身となる読み切り作品「実力派エリート迅」を掲載します。
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そしてこれが好評を博し、2013年から少年ジャンプにて「ワールドトリガー」の連載をスタートさせます。
ワールドトリガー
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ワールドトリガーは細部までこだわった設定と、緻密な戦略をもちいた集団戦が話題となり、多くの熱狂的な読者を魅了する大人気作品となっています。
葦原先生の作品のつくり方は、キャラクターや世界観などの設定を綿密に作り込み、キャラクターを動かしてストーリーを進めていくという手法をとるそうで、ワールドトリガーを描くにあたり、まず初めに約100人のキャラクターを作ったそうです。
公式ファンブックには、キャラクターの情報が細かく記載されており、葦原先生のキャラ設定の緻密さを感じることができますね。
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個性豊かなキャラクター達がチーム戦でおりなす戦闘により驚きとワクワクを与えてくれる「ワールドトリガー」は、今後の展開が非常に楽しみな漫画ですね。
休載~SQ移籍
ワールドトリガーの連載自体はとても順調で、2014年には待望のアニメがスタートします。
しかし、週刊連載の頃の睡眠時間は1日3~4時間、締切前は徹夜をし、原稿が上がったら8時間睡眠をとり、また1日3~4時間...というのを繰り返しており、身体に負担がかかるかなりハードなスケジュールでした。
そんな過酷な週刊連載で多忙を極めた葦原先生は「頚椎症性神経根症」という、首の神経を痛める病気を患ってしまいます。
病気により次第に休載を取らざるを得ない状況となり、はじめは痛み止めの薬を飲みながら、月に1回くらいのペースで休載を挟みつつなんとか連載を続けていたのですが、病状の悪化は止まらず段々と痛み止めも効かなくなってきてしまいます。
そんな状況で原稿に遅れが生じ、その遅れを取り戻すためにさらに無理をするという悪循環に陥り、心身共に限界へと追い込まれていた葦原先生に対し、担当編集から連載の継続は困難と判断され、ワールドトリガーは2016年より無期限の休載となってしまいます。
休載直後は乗り物に乗ることすら困難で、休載から半年後くらいにようやく病院に通えるようになり、その際に医師から「無理をすれば今後も悪化し続ける」と言われてしまいます。
担当編集との相談の結果、「無理をしない週刊連載は難しい」との結論に至り、休載から1年ほど経った頃から移籍の話が持ち上がります。
葦原先生は少年ジャンプでの週刊連載の楽しさについて、「連載を続けるうちに少しずつ人気が上がっていく状況や、自身が面白いと思った狙いが当たると、アンケート結果に反映されるのが嬉しい」と語っており、
日本一の少年誌である週刊少年ジャンプに強い愛着と思い入れがあるため、体調のために仕方ないとはいえ、移籍に対しては相当な葛藤があったそうです。
しかし、週刊連載が出来るほどに回復するのがいつになるのかも分からず、また、連載を心待ちにしている読者のためにも早めに復帰をしたいという想いから移籍を決断します。
移籍先の候補として、Web漫画のジャンプ+などもありましたが、葦原先生は紙媒体へのこだわりが強かったそうで、最終的に月一連載となるジャンプSQを選択することになります。
そして約2年の休載期間を経て、2018年からワールドトリガーの連載が再開されます。
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活躍の場をジャンプSQに移した現在も、葦原先生の健康が最優先という方針から、様子を見ながらの休載やページ数を減らすなどの処置とりながら月一連載を続けています。
普通は漫画が休載になると読者は残念がるものですが、「ワールドトリガー」に関しては、読者が葦原先生の体調を第一に考え、むしろ休載を歓迎するような不思議な状況になっているようで、ワールドトリガーがいかにファンに愛されているのかが伝わりますね。
ワールドトリガーのアニメはシーズン3まで放映されており、シーズン4は公式にはまだ発表されていませんが、人気ぶりを考えると恐らく近いうちには実現すると思われるので、ジャンプSQでの展開と共にめちゃくちゃ楽しみですね。
まとめ
今回は「ワールドトリガー」の作者として有名な葦原大介先生についてご紹介しました。
細部までこだわった設定と、緻密な戦略をもちいた集団戦がたまらない魅力を放っているワールドトリガー。
ワールドトリガーは葦原先生の体調あってこそなので、体調を第一に優先していただき、これからも休載を挟みつつ無理せずに連載を続けていって欲しいですね。
最後までご視聴いただきありがとうございました。
またね。