【ブルーピリオドの作者】山口つばさ先生の経歴|倍率30倍「藝大」に現役合格を果たしたエリート漫画家
こんにちは。Saraです。
今回ご紹介するのは、文化系スポ根漫画「ブルーピリオド」の作者として有名な、山口つばさ先生です。
「ブルーピリオド」は、2017年から「月刊アフタヌーン」にて連載が開始され、現在までのコミックス累計発行部数は450万部を突破。
アニメ化、舞台化も果たし、漫画大賞を初めとする数多くの賞を受賞するなど、名実共に「月刊アフタヌーン」を代表する人気漫画となっています。
作者である山口先生は、「ブルーピリオド」の舞台となっている芸術大学の最高峰「東京藝術大学」の卒業生であり、
浪人が当たり前と言われている藝大に「現役合格」を果たしています。
経歴・実力共にまさに「エリート漫画家」と言えますが、
山口先生は自身のことを決して「天才タイプ」ではなく、「ひたすら数をこなして戦略的に描く凡人タイプ」だと語っており、
実際に、ネームが全く通らずボツにされ続けたり、「売れる漫画とは何か」を分析してネームを制作したりなど、ブルーピリオドの連載に至るまでには、戦略的にひたすら漫画を描き続けてきた背景があります。
今回はそんな山口つばさ先生の経歴や「ブルーピリオド」が誕生するまでの経緯についてご紹介していきます。
動画版はこちら。
経歴
6月26日生まれ、東京都出身。
幼少期から絵を描くことが大好きでお絵描き教室に通っており、普段からよく絵を描いていたことから、幼稚園では「お絵描きが好きなつばさちゃん」と呼ばれていたそうです。
中学に進んでも絵画教室に通って絵を描き続けており、卒業後は美術の授業が週に10時間以上ある美術系の高校に進学します。
ちなみに、この頃から漫画を描くことも好きで、既に「将来は漫画家になりたい」との気持ちを持っていたそうですが、
山口先生は高校卒業後の進路を決める際に、自分が漫画家になれる自信がなく、
また、高校が美術系で周囲が当たり前のように「美大を目指すでしょ」という空気だったため、「とりあえず美大に入ることを目標にしよう」と考え、
半ば周囲に流されるように美大に進学することを決めたそうです。
そして、推薦で私立の美大を目指しますが、残念ながら落ちてしまったため、ここから予備校に通って、浪人覚悟で「東京藝術大学」を目指し始め、
見事、東京藝術大学絵画科油画専攻に現役合格を果たします。
ちなみに、作中でも紹介されていますが、芸術系の高校から藝大に現役合格するのは年に数名程度と言われており、
特に絵画科は競争が激しく、当時の倍率は約30倍だったことから、現役合格した山口先生の凄さが垣間見えますね。
藝大~漫画家デビュー
藝大に進学した山口先生でしたが、やはり漫画を描くことが好きだったことから、「漫画を描きたい...」という想いと「油絵を学んだ方が学問としては正当な流れなのかな...」という2つの想いを抱えて悩んでいたそうで、
2年生に進学するときに「自分はどうするべきなのか」という将来の方向性について大学の教授に相談したところ、
教授から「僕が初めて給料を貰ったのは40歳ぐらい。だから好きなことをやったほうがいいよ」と言われ、
この言葉がきっかけとなり、ここから本格的に漫画家の道に進むことを決意し、2年生からは「作品」として本格的に漫画を描き始め、大学の課題を漫画で提出するようになります。
そして、大学で学びながら漫画を描き続け、卒業制作として、「漫画の短編集」を制作。
大学卒業後に「漫画の短編集」から作品を出版社ごとに分けて応募した結果、「月刊アフタヌーン」の編集者に作品を評価され、
担当編集が付くことになります。
そして、大学卒業後の2014年に「熱の夢」で「アフタヌーン四季賞」の佳作を受賞。
その後、漫画家デビューを目指して活動を続けますが、ここから約1年くらいはネームが全く通らず、ひたすら描いてはボツになり続ける苦悩を経験し、
「どうしたら良いだろう...?」「私は漫画家にはなれないのかな...?」という不安な気持ちを持ちながら、
「25歳までにダメだったらもう一度考えよう」と腹を括って、何度もボツになりながらも1年間必死に漫画を描き続けます。
ちなみに、山口先生はこの期間にネーム制作のモチベーションを保つために、ピクシブに創作BL漫画「告白の時間」を掲載していますね。
そして、2015年に官能的な男女関係を描いた読み切り作品「ヌードモデル」で佳作を受賞。
これがそのまま「good!アフタヌーン」にて掲載されたことで、漫画家デビューを果たします。
その後、読み切り作品となる「おんなのこ」の掲載、そして新海誠監督原作による「彼女と彼女の猫」の作画(コミカライズ)を担当し、約4ヶ月間の連載活動を経て、
2016年から、自身の連載を目指して連載用ネームの制作に取り掛かり始めます。
山口先生は連載を目指すにあたり、担当編集から、「売れることを意識した漫画を描いてほしい」と言われたそうで、
「売れるマンガって何だろう」と本屋さんに行って考えた結果、「グルメかファンタジーかスポ根」との結論に至り、
最終的に、カニバリズム(食人)の物語、親子で女装をする物語、ブルーピリオドの前身となる物語
という3つのプロットを制作します。
そして、3つのプロットを担当編集に提出した結果、「カニバリズム」は出版できないのでNG、「女装の話」は漫画として面白くなかったのでNGとなり、
消去法的にブルーピリオドを連載用ネームとして進めることになります。
ブルーピリオドもプロットの段階では、「確実にいける!」という手応えよりは、「この中だったら唯一伸び代があるかな...」といった感じだったそうですが、
連載用に細かく改善しながらネームを練り上げていくうちに徐々に形になり、見事連載会議に通ったことで、2017年から「月刊アフタヌーン」にて連載をスタートさせます。
ちなみに、タイトルである「ブルーピリオド」は、
・画家である「ピカソ」の「青の時代」を英訳すると「BluePeriod(ブルーピリオド)」になること
・ブルーピリオドが青春群像劇を描いた作品であること
・1話で「青い渋谷」が出てくること
という3つの要素を掛け合わせており、最終的には「分かりやすさ」を重視して決めていったそうですね。
ブルーピリオド
ブルーピリオドは、絵画の魅力に目覚めたリア充高校生が藝大を目指す描写から始まる青春文化系スポ根漫画ですが、
山口先生は、元々「スポ根漫画」を描きたいと思っていたそうで、
「スポ根」と自分が大好きな「アート」を組み合わせた漫画は新しいんじゃないかと考え、
また、これまでに自分が美術しかやってこなかったため、連載となった時に毎回描き続けられるテーマはこれしかないと思ったことがきっかけとなり、
そこから「ブルーピリオド」の誕生へと繋がっていったそうです。
また、芸術をテーマにした創作物で描かれる絵描きのキャラクターが、「他のことは何にもできないけど、絵を描く才能だけはある」みたいな「一点突破型の天才タイプ」として描かれるのが多いことに違和感を感じていたそうで、
「絵は選ばれた人間だけのものではない」「芸術は決して遠い存在ではない」ということを漫画で示したいと考えたことから、ブルーピリオドの構想を練り上げていったとも語っています。
そのため、ブルーピリオドでは、「他のことは何にもできないけど絵だけは描ける天才タイプ」とは真逆となる「他のことは何でもできるけど絵は未経験の理詰めの努力家タイプ」を主人公に設定したそうです。
ちなみに、主人公である八虎をヤンキーっぽいビジュアルにしたのも、一般的な「芸術家」のイメージとは最も真逆なキャラクターにしたかったからだと語っています。
また、物語初期の舞台に「美大受験」を選んだ背景には、
美大受験という0からのスタートにして、読者と同じ状態から主人公の「努力・苦悩・葛藤」を成長と共に描くことで、
読者に「芸術」をより身近に感じてほしい、「美術」を楽しいものだと感じてほしいとの想いがあるそうですね。
また、山口先生は、美大・芸術をテーマにした「ブルーピリオド」について、
「「美大進学推奨漫画」というつもりはないが、美術に限らず心惹かれる分野があるならなんだってやったほうがいい。」
といったニュアンスを込めて描いていると語っています。
そんなブルーピリオドは、2017年から「月刊アフタヌーン」にて連載をスタート。
「美大受験」と「芸術そのもの」をテーマに、絵画に魅了され、芸術と必死に向き合う情熱溢れる若者の葛藤と苦悩、そして表現する衝動や楽しさを、心揺さぶる台詞と共にリアルかつ躍動感たっぷりに描き、
現在までのコミックス累計発行部数は450万部を突破。
「漫画大賞2020の大賞」を初めとする数多く賞を受賞し、2021年にはアニメ化、2022年には舞台化もされるなど、「月刊アフタヌーン」を代表する人気漫画となりました。
現在連載は第2章に突入しており、「絵とは何か・アートとは何か」の追求と共に、「絵」に対して苦悩・葛藤する八虎が最終的にどんな答えを出すのかが非常に楽しみです。
また、まだ公式には発表されていませんが、アニメ2期についても期待してしまいますね。
最後までご視聴頂きありがとうございました。
またね。
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