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【UWC体験記⑧】寮生活ならではの楽しみ

※新入生にはサプライズとして行われることも含みます。今後AC進学予定の方はお気を付けください(笑)

寮生活はUWC生活のとても大切な一部です。渡航前に自分がどの寮に入るのかの連絡が学校から来て、2年間同じ寮で過ごすことになります。私は学校創設者のKurt Hahn(KH)の名前が付いた新しい寮になりました。

廊下
デイルーム
Quiet Room(自習室)

それぞれの寮には2人、ハウスペアレントという先生方が付きます。私の寮では2人とも寮の中に住んでいたのですが、寮の横の家に住んでいる場合もあります。

ハウスペアレントは毎日の夜9時半(金土は11時)のチェックイン(門限)で出欠を取るぐらいで私の寮ではあまり生活面では関わりはありませんでした。寮によってはハウスペアレントの家に出入りし放題で常に生徒がうろついていたり、ハウスペアレントの犬を生徒が交代で散歩するような寮もあります。

寮の約50人のメンバーは2年間毎日一緒に寝泊りする上、様々なイベントに一緒に参加して非常に家族に近い感覚になります。学校全体で一番仲の良い友達が同じ寮の人、というのはかなりよくあります。

寮全体で毎週集まる機会は毎週日曜夜のハウスミーティングです。こちらは寮代表の2人(私がそのうちの1人)が仕切り、委員会からのアナウンスや寮内での問題についてディスカッションをする時間になります。


4人部屋(dorm)

部屋は4人部屋になり、長方形の部屋の4つ角に1人ずつスペースがある形になっています。1年目はスペイン人とインドネシア人のハーフ、イギリス人とアメリカ人のハーフ、そしてウガンダ人とルームメイトになり、2年目は同じウガンダ人、アメリカ人、そしてハンガリー人とルームメイトでした。

2年目の私のスペースの様子

部屋の中では本当に隠れる場所がないので、ルームメイトには完全に素を見せざるを得なくなり、そのおかげでかなり仲良くなれます。それでもそれぞれが忙しくなると夜寝るとき以外お互いを見なくなってしまったりもするのですが、たまにdorm bondingとして一緒に映画を見たりしてなんとか一緒の時間を作っていました。

dorm bondingのセットアップ

部屋は性別で分かれているのですが、寮自体は男女混合です。そんなことは全く気にせず日中は誰もが寮が違っても友達の部屋に勝手に出入りします。もちろんこれが寮生活において楽しい所なのですが、自分はあまり知らないルームメイトの友達がたくさん部屋にいるなど、本当にプライバシーは一切ありません。


クリスマスディナー

これはクリスマスよりはずいぶん前の時期にクリスマスを祝って寮ごとに開かれるディナーです。ドレスコードはフォーマルと、男子はスーツ、女子はドレスでまず寮のデイルームに集まります。

そして「デート」と呼ばれる1年生と2年生のペアの発表が。そのペアでディナー会場まで向かいます。寮ごとに図書館やお城のホールなどの場所が割り当てられています。そしてまず、少しだけ豪華な(通常とあまり変わらない)夕食。そのあとはアクティビティに入ります。

ディナー会場の様子

House Awards

これは、毎年2年生から1年生に引き継がれる寮の中での称号のようなもので、クリスマスディナーで1人ずつ前年そのawardを受け取った2年生から1年生に賞状が渡されます。

例えば、「House mom(寮のお母さん的存在)」「Ms/Mr Sunshine(いつも笑顔な人)」「Romance Expert(恋愛に通じてる人)」「Devil in Disguise(やんちゃさを上手く隠している人)」など、必ずしも完全ポジティブとは限らないのですが(笑)、どれも渡す2年生、受け取る1年生お互いにとって少なからず大切なものになります。

私が受け取ったawardは、「Future World Leader」とかなりビッグ。渡してくれた2年生はどんな状況でも自分の意見をずばっと言うことができ、周りの人が自然とついてくるような人。

理由は、「生徒会repになってリーダーシップを発揮しているから」と結構浅めではあったのですが(笑)、いまだ自分らしさを発揮できず、かなり内向的に見られていることを心配していたのでものすごくうれしく、自分の自信になったことは確かです。

同時に、1年後に自分がこのawardを引き渡す時にこの称号がふさわしい人でないと恥ずかしい、とかなり気が引き締まり、自分にはっぱをかけるきっかけになりました。幸いなことに、この後から多くのリーダーの役割を学校内で担うことになり、1年後に引き渡すときには「Saraにぴったりなawardだったね!」と多くの人から言っていただけました。

Dormパフォーマンス

それぞれのdormで簡単なパフォーマンスをします。私の部屋はウガンダ人のこの影響で2年ともアフリカダンスを披露しました。歌を歌う部屋が多いのですが、寮全体で一緒に合唱になり、とても楽しい時間です。

シークレットサンタ

2週間ほど前にくじびきで誰のシークレットサンタになるかが決まり、£5の予算でプレゼントを用意します。1人ずつ誰へのプレゼントでなぜそれを選んだのかを発表し、それを受け取る人が今度は自分のプレゼントを渡す、という形式で実施します。

特に印象に残っているのは2年目のディナーにて。私のシークレットサンタはまさかのルームメイトの1年生のアメリカ人の子。絶対に£5でおさまらない、ウサギのぬいぐるみにウサギ型のチョコも一緒にくれました。ぬいぐるみをくれた理由が「いつもquiet room(共有自習室)に深夜の1人になる時間までいるからその時にさびしくないように」となんとも優しくて温かく感動しました。

私のシークレットサンタとぬいぐるみと


House chant 

これは日本でいう運動会での応援歌のようなものです。かなり短くオリジナリティはあまりないのですがそれぞれの寮が自分の応援歌を持っていて、代々受け継いでいきます。

年度初めにSLAAC(イベント委員会)開催のHouse Chantの大会があります。フィールドにハウスカラー(KHは黒)を着て集まり、寮がそれぞれ順番に自分のchantを叫びます。SLAACの人たちが携帯でデシベル数を測り、一番声が大きかった人が優勝、というとても単純なものですがもう高校生にしてこれにかける思い、盛り上がりがすごすぎるんです。

最後に「生贄」としてそれぞれの寮から1人ずつ1年生を推薦し、その合計7人が横たわってその上から2年生がバケツで大量の水をかける、という謎儀式を行いこの大会は終了となります。


First year video 

これは1年生にはサプライズとして行われるイベントです。寮の2年生がそれぞれ1年生1人のものまねビデオを作り、寮の誰かがそれを全員分まとめます。そして12月の冬休み直前に体育館に全校集合し、全ての寮のビデオを見る会となります。

1年生全員、約180人分のビデオを見ることになり、私は2年ともこのビデオで初めて名前を覚えた人がかなりいました。また、同じ寮の人(ルームメイトも多い)は当然その人の真の姿や生活面での癖をよくわかっているので、同じクラスなだけの人などは「こんな1面あるんだ」ととても面白いです。

みななるべく面白いビデオを撮りたくて担当する1年生のなるべく変わった癖や行動を見つけて真似しようとします。そうすると1年目は恋愛癖、お酒、たばこなど先生にはあまり見せられないようなビデオが多かったのですが、おそらくQueer Fashion Showでの国際炎上の件(詳しくはUWC体験記⑥まで)を機に、ビデオの編集が終わった時点でハウスペアレントのチェックが必須となりました。

Second Year breakfast

それぞれの寮でいろんな寮の伝統があるのですが、私の寮でやっていたものの1つはsecond year breakfast。二年生のIBの最終試験の第一週のどこかの日の朝、一年生が二年生のために朝ごはんを用意してあげます。

今年の場合、second year breakfastをやってくれた日は私の試験初日、物理が朝8時から始まる日でした。一番最初の試験とあり、かなり緊張していたのですが朝から優しい一年生たちが食堂よりもずっとバラエティのある食べものを用意してくれ、メッセージカードやお花まで飾ってくれ、応援の言葉をかけてくれて感謝しかありませんでした。

Second year breakfast
お花を活けてくれた一年生

House Confession

Confessionは日本語に訳すと「告白」なのですが、ここでのconfessionはどちらかというと匿名の発言ができる場、のようなイメージです。年に3回ほど、匿名のgoogle formに可能な限り多くのconfessionを記入し、それを夜のチェックイン後に電気を消したデイルームに集まってconfession係が読み上げていきます。

Confessionが実施される2階のデイルーム

内容は「自分が〇〇の食べものを盗んだ」、という告白から、「〇〇さん、いつも寮の雰囲気を明るくしてくれてありがとう」といった感謝、「〇〇と〇〇って復縁する気あるの?」といった質問まで、多岐に渡ります。

Confession係の役割はあまりにも意地悪すぎる内容の場合はあえて読まないなどの、一応のフィルターになること。ほとんどのconfessionで笑いがおき、少し寮で近づくきっかけになる夜です。


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