【UWC体験記②】渡航までー選考・オリエンテーション
受験生の方がいらっしゃればここが一番気になるポイントだと思うので、実際に渡航するまでのプロセス、受験を含めて振り返りたいと思います。
※3年前の選考(かつ二次選考はオンライン実施)になりますので、選考の形式・レベルに大きな変更が起こった場合もあります。必ずご自分で詳しく確認してください。
一次選考
私が受けた2020年の一次選考は国語、数学、英語の3科目でした。試験は高1の12月中旬に東京会場・大阪会場の2か所で選べる中、私は東京会場で受験しました。
受験前に受験シートのようなものに記入し日本協会に送付しました。なぜUWCに行きたいのか、将来は何をしたいのか、今までの経験等を簡単に記入するシートです。合否に直接はおそらく関係ないと思いますが、二次選考の面接の材料になるだろうと見ていたので、何回も先生方に見てもらい書き直しを繰り返しました。
一次試験は、学校の国数英の試験で難なく上位の成績を保てている方ならおそらく難易度としては心配いらないと思います。ただ受験者のレベルも高いはずなので、小さなミスには十分気を付けるべきです。
ほとんどの方には参考にならないかもしれませんが、私がそれぞれの科目に対して行ったことを紹介します。
以下の他にも東進ハイスクールが実施する3科目で受けられる全国統一試験(無料)は毎回参加して試験の感覚を得ていました。ただ形式はかなり異なるのであくまで私の趣味の範囲になるかもしれません。(資格試験や学校の試験は力試しのような遊び感覚で楽しむタイプでした…)
国語
国語が一番自分でも自信がなく怖かった科目です。インターネットの情報からは
記述式の問題が出る
漢検2級レベルの漢字問題が出る
ということだけわかっていました。
中3の冬に国語の先生に相談し、現代文の記述式の問題集をいくつか勧めてもらい、その進捗状況を随時確認してもらっていました。週に3つの文章ぐらいのペースでの練習を1年間弱続けました。
本番の文章は簡単に感じました。記述式回答もそこまで難しくなく、練習した教材や学校のテスト等よりやや簡単な問題が出ていた覚えがあります。
漢字は中3の2月に漢検2級を受験し、合格していました。その後コロナで休校期間になったので念のために(?)と思いさらに勉強し10月の試験で準1級に合格しました。
本番では、確実に2級までのレベルしかでませんでした(笑)。
数学
数学はもともと得意科目ではあったのですが、試験範囲が数1までとあり私は学校の数学以上のものには触れていなかったので中3の冬から先取り学習で対策を始めました。
まずは学校の先生に数1の教科書を借り教科書を読んで全ての問題を解けるようにしました。
その後はコロナ休校期間、私の人生で一番勉強モチベーションが高かった時期に入ります。数1・Aの赤チャートの問題を全て最初から3周しました。
なぜここまでできたのかは自分でも恐ろしいのですが、全くここまでの勉強は必要ありませんでした。もちろん、本番前の自信にはなった上、学校のテスト対策をほとんどしなくてよかったのでよくやったなとは思っています。
本番では、正直教科書の発展問題レベルまでしか出なかった覚えがあるのであれ?といった感じではありました。
英語
実は私は小学校3・4年生のころに英語圏に住んでいた経験があるため、英語には問題はありませんでした。趣味の資格取得も兼ねて国連英検・TOEICなどを受けまくっていましたが、
本番では発音系の問題や、言い回し、特殊な熟語が出題され少し驚きましたが難易度は英検2級程度だったと思います。
二次選考
一次選考後はわずか4日でメールで通過の通知が届き、早速2か月後の二次選考の対策を始めました。
2021年2月に実施された二次選考は以下の内容でした。
日本語グループディスカッション
日本語面接
英語面接
それぞれに対して私が行った対策の前に、二次選考前の提出書類について紹介します。
カレッジ希望調査書
二次選考の前に提出のいくつかの書類の中で一番時間を費やすのがカレッジ希望調査書への記入です。UWCへの派遣は私の年では16人が16枠それぞれに派遣される仕組みになっており、その16枠に行きたい順番に順位付けをします。
私の年は9校のカレッジ(校舎)に日本からの派遣があり、全部で16名ということなので複数名派遣されるカレッジもあるのですが、基本的に全ての枠が奨学金額・種類に違いがあります。
奨学金の種類は2種類、日本協会奨学金とカレッジ奨学金です。日本協会奨学金は定額、日本協会である経団連から必ず支援していただける金額であり、カレッジ奨学金は家庭の財政状況を派遣が決まったカレッジが審査した上でもらえる最大限の額となっています。
それぞれの派遣枠によってその割合も大きく異なりますが、近年は日本協会奨学金は減額傾向にあるようです。
また、16枠のうち2枠は日本協会特別支援奨学生枠となっており、一定の世帯年収以下の家庭の方のみ応募可能の100%日本協会から支援していただける枠です。
よって私の場合は残りの14枠で順位付けを行いました。派遣を希望しない枠には×を記入することが出来、私もいくつかの枠には奨学金額やカレッジの場所等を検討し×を付けました。
UWCはどのカレッジに行ったとしても派遣生次第でいくらでも経験を豊かにすることはできますが、カレッジによって大きく特色が異なるのも事実です。
私は興味のあったカレッジの卒業生や在校生に連絡を取り、質問をいろいろさせてもらった上で3枠あるうちのイギリス校(Atlantic)のうちの1つの枠を第一希望にしました。
参考までに、私が順位付けで検討した項目は以下になります。全ての項目において私にとってはイギリス校は特に欠点が無い選択肢でした。
合計奨学金額
日本協会奨学金額の割合(多い方が確実にもらえる額が多い)
生徒の出身国割合(カレッジ所在国の生徒が多すぎないか)
カレッジ所在地の公用語(カレッジによってはその国の言語を学ぶことを義務付けられるところも)
IB科目の選択肢
アクティビティ(CAS)の選択肢
校舎の環境(ど田舎希望でした)
気候(寒すぎないか)
結果的に第一希望の枠に合格できたため、この時にじっくり精査して順位付けをして本当に良かったと思っています。
グループディスカッション
事前に得ていた情報は、30~40分のグループディスカッションを6人程度で行い、常に審査官が同部屋で観察しているというものでした。トピックはそこまで難しくない社会問題と聞いていました。
学校の国語の先生に相談したところ、その当時学校で控えていた有名な著者を迎えてのパネルディスカッションの練習会にパネラーとして選ばれなかった私も混ぜてくれることになりました。
ただもちろん他のメンバーは受験用にやっている訳ではないのでやる気は私ほど強くなく、あまり練習になったかどうかは分かりません。ただ、一回同じような形式で(特に私はオンラインだったので)グループディスカッションをきちんとやってみること自体は非常に良い経験になったと思っています。
本番は最初の15分間の準備時間で自分の意見を3つのポイントにまとめ、開始時間早々に自分からそのうちの1つのポイントを話し出すことで自分のペースに持って行くことができ、ディスカッションの行方をはっきりと見ることが出来ていました。
同時に、自分の意見を言ってばかりでもディスカッションにはならないので、聞くことを特に意識して他の人の意見をより深く掘り下げられないか、ということも終始考えていました。
結果的に最後の方では6人のメンバーの中で、この人は批判的思考(critical thinking)が得意だな、とか、この人が言うことはいつも新しい視点を入れてくれるな、とか逆に、この人はそれっぽいこと言ってても結構的外れだな、というのがよく分かるようになり、非常に楽しかったです。
いずれにしろ、このディスカッションは私の学校では経験したことのない、全員が本気で考え新しい視点を探る、とても心地の良くきちんと脳を使っている感覚を体感できるものでした。同じグループだった他の合格生にはその後会った時に私は勝手にものすごく親近感を感じていました。
個人的にこれはUWCでの経験をとても楽しみにさせる選考でした。
面接
日本語面接と英語面接の2つがあります。事前に聞いた情報では英語面接は会話力を見るだけなので特に内容は深くなく、日本語面接はエントリーシートの内容から出る、とのことでした。
これも国語の先生に一次選考通過が決まったタイミングから週3回程度面接練習をしてもらっていました。私の場合は過去の経験から何を学んだか、なぜこうやったかの説明はできる一方で将来何をしたいのか、そのためにUWCで何を成し遂げたいのかといったところが曖昧でした。
もちろんこの段階で将来の展望が定まっていないのは仕方ないとは思うのですが、だとしてもどんな方向jに進みたいのか、そのためにUWCがどんな役割を果たすのかを言った部分は固めておく必要があります。
自分の中での指針、目的意識をはっきりさせておいたことはUWCに行ったあとでもふと立ち戻って自分を奮い立たせる源になりました。
そして二次選考に近づいたタイミングで他の英語の先生にも英語での受け答えの練習も兼ねて面接対策をしていただきました。非常にcriticalな指摘をしてくださる先生だったので1つ別の視点から見てもらうだけでなく、一層深く掘り下げることができたと思います。
本番では英語面接、日本語面接共になんとそれぞれ面接時間は5分程度。オーソドックスな志望理由や将来の展望といった質問で終わってしまう長さなのですが、一番たくさん練習していた質問だったのでむしろ今まで準備したことを最大限に発揮できたと思います。
そして二次選考のちょうど1週間後、メールで合格通知とともにイギリス校(Atlantic)への派遣が決定したことを伝えられました。その時は5年越しの夢がかなった気分でしたが、もちろん、あの時点では何も始まっていませんでした。
激励会
6月中旬にUWC日本協会の母体である経団連会館で激励会が行われました。そこで初めてオンラインの二次選考で見かけた同期の派遣生とも顔合わせとなりました。
最初に簡単に自己紹介をするだけでもどの派遣生もとても志が高そうだったり、すでに自分で事業をやっていたり、トークが上手かったり、この人たちの仲間入りなんだと思うととてもワクワクしました。
そしてカレッジごとに先輩方とお話する時間があり、2個上の卒業したばかりの先輩方とお話することができました。校舎の写真を見せていただいたり、教科選択や持ち物のアドバイスをいただいたり、この時点ではまだ本当にUWCのきれいなイメージを保ってくださったと思います(笑)。
オリエンテーションキャンプ
UWC卒業生会が主催するオリエンテーションキャンプ(オリキャン)は7月のより出発時期に近く行われました。残念ながらコロナのためこれもオンラインとなってしまったのですが、3個上の先輩方中心に数日にかけて実施してくださいました。
アイスブレーカーのあと、UWCで気を付けなければいけないことをロールプレイやスライドで楽しく説明してただきました。今考えるとあれでもかなりマイルドにお話してくださっていたのですが、アルコールや違法行為、その他こんなことをする生徒もいるよといった話には少々衝撃を受けた覚えがあります。
多少は同調圧力(peer pressure)が働く中でどうやって断るのか、どうやって寮生活というプライバシーの無い空間で良い人間関係を築くのか、などをディスカッションを通して考えるきっかけになりました。
また、進路相談会と言いUWC卒業後の進路についてそれぞれの選択を取った先輩方からお話を聞ける機会もあり、まだ何も卒業後については考えていなかったものの少し安心しました。
そしてオリキャンの一番の思い出は最後に同期17人で作成したビデオです。それぞれが簡単な自己紹介、UWCでの抱負を簡単にビデオで録画し、一部の人がとても上手に編集してくれました。オリキャンの最後にそのビデオを見たとき、ついにここまで来たかと感無量になると同時に本当に楽しみでたまらなくなりました。