【UWC体験記⑰】International Showーソーラン節を世界の同級生と
毎年3月に行われるInternational Show。元々は近くの町などで外部の人にも公開するショーだったらしいのですが、コロナの影響で1年目は内部での開催となりました。
これは、自由に自分の国の文化的パフォーマンスをやりたい生徒が順番に披露する、というショーです。日本人はかなり前から伝統として1年生がソーラン節を日本人以外の有志と披露してきたらしく、私たちの代が仕切ることになりました。
ソーラン節を教える
20人もの人がサインアップしてくれ、私が取りまとめて練習を開始しました。私は小学生、中学生とやってきたソーラン節ですが、最初にやってみるとやはり「え!そんなに膝曲げるの?」と驚きの声があがります。
週2回ほどの練習を3週間前からやり始めたのですが、振り付け自体は簡単なのに説明するのが意外と難しいんです。しかも自分が習った時期が覚えていないぐらい前なのでどこでみんながつまずくのかがよく分からず、気が付いたら付いて来れない人が出ている。
半年以上色んな先輩たちからダンスを教わるばかりの私でしたが、一度習得した状態である教える側がどれだけ難しいのか、初めて実感できるようになりました。
さらに、問題になるのがCASの都合などで練習に来れない人たち。毎回きちんと来ている人たちの時間を無駄にしたくないと思うと、確実にみんなに教える方法は来れない人の所に行くしかない。それぞれの人の寮に行き、デイルームでマンツーマンで教え回りました。
私はソーラン節の一回だけですが、これがKNFのようなダンスチームでは毎回パフォーマンスの度にリーダーがこれをやれる訳も無く、毎回の練習で一番今まで練習に来ていない人に合わせて他の人たちは一度習ったところを繰り返す、という方法しか無いのだなと納得できました。
練習を続けるにつれて数人、脚がきつすぎるとか、時間が無いだとかの理由でフェイドアウトし、それでも15人もの人が最後まで残ってくれました。自主的にこういうものに参加してくれることだけあって、みな私がすでに仲良かった本当に良い人ばかりで練習は毎回とても和やかな良い雰囲気でした。
最後の週は絶対に全員が揃うようにと、チェックインという寮の門限のあとに唯一行ってもいいLanguagesの教室で実施し、フォーメーションを組んで最終練習を進めました。さらにソーラン節ならではの列ごとに逆に動いたり違う動きをするパートも取り入れ、時間ギリギリまで練習し続けました。
偽物でも衣装を
ACではこまめにイベントがあるので、予算の面から基本的に衣装はみな購入などせず、それぞれの持っている色を合わせるなどします。
ただ、ソーラン節は少し特殊なので、かなり前に大量にはっぴを購入して毎年学校で保管していたそうなのですが、なんと2年前に失くしてしまったそうです。そして私の1個上の代では全員はっぴ無しでやったと聞いていたので、私たちもそうするしかないかーと諦めていました。
すると私のtutorでもあった生徒のイベントでの予算などを管理している先生から「ちょっとでも衣装あった方が良いんじゃない?」と言われます。ならばと急いでネットで探すとはっぴ「風」のカーディガンを発見し、予算的に日本人3人分だけ買ってもらえることになりました。
ただこれは(伝統的に)前列の日本人だけになってしまうので、なんとか他の人も身に付けれるものは、とはちまきを思いつきました。本当のはちまきはすごく高いので、ネットで大きな赤い布を購入します。そして届いてからその布から約20本の「はちまき」を切り取り、なんとか揃えた衣装を皆に渡すことができました。
ただの赤い布切れなのですが(笑)、それだけでもすごく喜んでくれ、この小さいことでも出来てよかったと思いました。
本番
そして本番の中でも私たちは大トリ。パフォーマンスは今までで一番というレベルで上手くいき、みんな大満足でした。
ふと思い出したのが、中1の時、日本の学校で体育の授業でソーラン節をやり、最終的にクラスで発表した時のこと。その時に組長(学級委員長)だった私はフォーメーションを考えたり、みんなを盛り上げたりして、クラスでとても団結した良い思い出です。
UWCに行きたいとはその頃から思っていたにしても、4年後にウェールズ、台湾、ロシア、ベトナム、ルーマニア、カナダなど出身の同級生に私が教えて発表することになるとは全く想像しておらず、改めてこの機会が私にとってどれだけ貴重なものかを認識しました。
2年目の参加
2年生になるとコロナの制約が一切撤廃され、久しぶりに一般客を校内に入れてのInternational Showができることになりました。ソーラン節には参加しないのですが、他にいくつかパフォーマンスをやることになります。
まずはKNFによるアフリカダンス。そしてnational eveningで披露したヲタ芸を一般客向けなので使い回していいよ!と言われ再パフォーマンス。3つめはこれもその年のEast Asia Fashion Showで踊った盆踊りをやってほしいと依頼されやることに。
ショーの真ん中で短い休憩があり、その時間では外でファンドレイズのために生徒が作った世界中からのお菓子が売られています。やはり一般客でにぎわっている中、その頃私が主催したイベント関連でお世話になっていた財務部長がお子さんたちを連れて来られていて、「初めてこのショーに来てみたけど日本のパフォーマンスすごかったよ!」と言ってもらいました。
一般公開のInternational Showに限らず、学校内に住んでいる教職員の方がこういう生徒のイベントに来てくれるとその人と関わりのある仕事だけではない面を知ってもらえて、とても楽しみなことでもあります。
1年生たちが指揮を取ったソーラン節もすごく上手く決まっていて、とにかく私はストレスフリーで楽しい出演をさせてもらった2年目でした。