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地政学を知れば世界のニュースが見えてくる①
私たちが毎日のように目にする国際ニュース。経済競争、資源争奪、領土問題、紛争、これらは一見複雑で理解が難しいように思えるかもしれません。しかし、その裏には必ず地政学的な背景があります。
地政学とは、地理的条件が国家間の力関係や戦略に与える影響を分析する学問です。この視点を取り入れると、世界の動きが驚くほど明確に見えてきます。
この記事では、以下のフローで国際ニュースの解像度を高めます。
①地政学的にアメリカが最強とされる理由を紐解く
②最強アメリカと他国の比較を通じて各国の課題を明らかにする
③課題を知ることで各国が「なぜ」その行動をとっているのかがわかる
つまり、地政学を知ることで、国際ニュースの背景や真意が読み解けるようになり、世界の動きがより身近に感じられるはずです。
さあ、地政学というレンズを通して、国際情勢の「見えない本質」を探っていきましょう。
なぜアメリカが最強なのか
まずこの回では、「なぜアメリカが最強なのか」を5つの理由をもとに紐解いていく。では、さっそく。
①深い海を持っている
また、核ミサイルを保有しているのは世界で5カ国(正確には9カ国)とされているが、瞬時に核を兵器として使えるのはアメリカとロシアの2カ国とされている。
その理由は、核ミサイルを使うには以下の3つの条件が必要だからだ。
①原子力潜水艦
②海中発射能力
③安全な深海
これらの条件が必要な理由は、とてもシンプルで「陸だと他の国から見つかってしまうから」だ。
②地理的な孤立性と防衛の容易さ
アメリカは北大西洋と太平洋という二つの大洋に挟まれており、他国からの侵略を防ぎやすい地理的条件に恵まれている。 この地理的な隔離性により、歴史的にアメリカ本土が他国に侵略されるリスクは極めて低い。 また、北にはカナダ、南にはメキシコという比較的安定した国が接しており、国境問題も大きな脅威にならない。
③広大で多様な国土
アメリカは多様な地形と資源を持つ広大な国土(世界第3位の面積)を誇る。この地理的特性が、経済的・戦略的な優位性を生んでいる。
【資源の豊富さ】: アメリカは石油、天然ガス、石炭、鉄鉱石など、多くの 天然資源に恵まれている。特にシェール革命によって、エネルギー自給率を向上させた。
【農業生産】: 中西部の肥沃な平原(いわゆる「世界の穀倉地帯」)が食料自給を支え、輸出の大黒柱となっている。
【多様な気候】: 各地で異なる作物や産業が発展可能。
④海洋アクセスと貿易ネットワーク
海洋アクセスと貿易ネットワーク
アメリカは両大洋に接しているため、世界中の市場と自由に貿易ができる。 また、国内の主要都市は多くが港湾に近く、物流が効率的。
⑤情報
海底ケーブルは、世界のデータ通信の99%以上を担っている。人工衛星よりも通信速度が速く、大量のデータを安定して送信できるため、グローバル通信の中核を成している。そして、アメリカは、太平洋と大西洋という2つの大洋に接し、アジア、ヨーロッパ、南米との通信ネットワークの中心に位置している。この地理的条件により、海底ケーブルの敷設や管理が効率的に行える場所にあるので、アメリカは海底ケーブルを通じて流れるデータの一部を監視し、国際的な情報収集に利用している。これにより、外交・安全保障面での優位性を確保している。
今回は①の説明をしたので、次の回では、②「最強アメリカと他国の比較を通じて各国の課題を明らかにする」をテーマに進めます。アメリカと対照的に、地政学的な条件が他国にどのような制約を課し、それが国際関係や政策にどのような影響を与えているのかを詳しく見ていきます。
①地政学的にアメリカが最強とされる理由を紐解く
②最強アメリカと他国の比較を通じて各国の課題を明らかにする
③課題を知ることで各国が「なぜ」その行動をとっているのかがわかる
地政学というレンズを通じて、国際ニュースの裏に隠された「本当の理由」に迫っていきましょう。どうぞお楽しみに。