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【旧枠モダン】君たちは《正義の命令》とどう生きるか(アンチ正義の命令編)
君たちは、《正義の命令》とどう生きるか。
これまでのあらすじ
旧枠モダンを知っている人も知らなかった人も既にプレイしている人もこれからプレイするつもりの人も、モダンホライゾン3以降の旧枠モダン環境が《正義の命令》を中心に回っていくであろうというのは前回で理解してもらえたと思う。
前回▼
環境の中心となるカードが決まった時、プレイヤーは3つに分かれる。
ーーそのカードを使う奴。
ーーそのカードを対策する側に回る奴。
ーーそのカードを敢えて無視する奴。
君は?
《正義の命令》を読み解く
使うにしても使われるにしても無視するにしても、まずはカードを理解するところから始まる。
というわけでカードテキストを見ていこうと思う。
Decree of Justice / 正義の命令 (X)(X)(2)(白)(白)
ソーサリー
白の4/4の飛行を持つ天使(Angel)クリーチャー・トークンをX体生成する。
サイクリング(2)(白)((2)(白),このカードを捨てる:カードを1枚引く。)
あなたが正義の命令をサイクリングしたとき、あなたは(X)を支払ってもよい。そうした場合、白の1/1の兵士(Soldier)クリーチャー・トークンをX体生成する。
当たり前の内容を改めて挙げてみる。
素撃ちならば、6マナで4/4飛行が1体、8マナ4/4飛行が2体、10マナで4/4飛行が3体。なお全てソーサリーアクション。
サイクリングならば、4マナ1/1瞬速+キャントリップ、5マナ1/1瞬速×2+キャントリップ、6マナ1/1瞬速×3+キャントリップ。
素撃ちでもサイクリングでも、ゲームを決めにいく強いアクションとして使うならば、最低でも6マナ目まで確保してから使うカードと考えるべきだろう。
トークンのサイズに関しては令和版である《サメ台風》と違い、4/4飛行または1/1で固定。ここが大きな差のひとつだろうか。
《正義の命令》を対策する
仮説を立ててみた。
仮説1
《正義の命令》は、攻められている時にはあまり強くないのではないだろうか。
サメ台風ではX=3〜4程度の飛行持ちブロッカーを用意して相手のアタッカーを返り討ちにした後、返しから攻撃に向かわせる動きができたが、正義の命令のサイクリングではトークンのサイズが貧弱故にチャンプブロック要員にしかできそうにない。《サメ台風》とは違い、《正義の命令》は点ではなく面で守る形になる。
例えば青白コントロールにて。
3〜4体の2/2や3/3のアタッカーで攻められている盤面で、《正義の命令》を防御に回してチャンプブロックで生き延びようとしている時点で、割と敗北が近いのではないだろうか。
押されている時の苦し紛れの《正義の命令》は弱い。仮説としてあり得なくはなさそうだ。
しかしながら。
この動きは、全体除去を探している最中ならば肯定される。一見フィニッシャーになるカードをチャンプブロックに回している形ではあるが、青白コントロールにとっては生き延びることが何よりも優先される。勝利に繋がらなくとも、敗北を遅らせるならば、それは勝利のための動きなのだ。
ゲーム終盤、4体ほど並んだ相手のアタッカー群に対しX=4でチャンプブロッカーを用意しサイクリングドローしつつ延命、返しの自分のターンで土地を置きメインで《嘘か真か》、《神の怒り》を見つけ出しそのままキャスト……ターンドローも含めライブラリーを7枚も見れば十分に起こり得る。もちろんこれは《嘘か真か》が強いだけとも言えるが、デッキとしての一貫性は取れている。
《正義の命令》を対策するにあたり、単に押せ押せで攻めるだけでは足りない。
仮説2
ならば。
《正義の命令》は大きなXで撃たないと弱いのではないだろうか。
Xスペル相手に何を言っているのか、と思われるかもしれないが、至極当たり前の内容が真理だったりもすることもあるのが世界である。
《正義の命令》を大きな数値で撃たせない。
具体的に言えばマナ拘束、もっと言えば土地破壊で攻める。
仮説1と組み合わせるならば、つまり「ポンザ」である。
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コントロール側にとって、序〜中盤の土地破壊はマストカウンターである。《神の怒り》が1ターン遅れるだけで巻き返せるものも巻き返せなくなるのは、コントロール愛好家の諸君ならば身に沁みてご存知のはずであろう。
相手にマナを伸ばさせず、十分な数値で《正義の命令》は撃たせない。そして自分は軽量クロックで打点を稼ぎ続ける。マストカウンターを連打し、相手にハンド補充の余裕を与えない。
これならばいけるのではないだろうか。
具体的なリストとして、こんな感じはどうだろうか。
《トゲ尾の雛》《火+氷》《ブーメラン》でテンポを取り、《石の雨》《略奪》《なだれ乗り》で土地を割り、モダホラ3からの新戦力《巣立つドラゴン》を着地させてからの《併合》+《燎原の火》を決め、スレッショルドを達成し生き残った《巣立つドラゴン》と《フェアリーの集会場》がライフを削り切る。
サイドボードには致命的な置物である《聖なる場》を割るための《帰化》と、3マナアクション2回でファッティを着地させてくる《生き埋め》+《犠牲》コンボ対策に《地の封印》を取るため緑をタッチした。
手札を補充する手段に乏しいため上記リストにも改良の余地はまだまだあるが、《正義の命令》コントロールへのアンチデッキとして、アネックスワイルドファイアはいかがだろうか。
仮説3
《正義の命令》のトークンがそもそも弱いのではないか
令和版たる《サメ台風》と違い、《正義の命令》サイクリングで出てくるトークンは白の1/1の兵士である。
空は飛んでいないし、サイズは貧弱だし、《紅蓮地獄》でも《蔓延》でも、なんなら《微震》ですら流れる。
ここで天啓が舞い降りる。
大きな数値で撃とうと、存在を許さなければ勝てるのではなかろうか。
そう、“彼”の出番だ。
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ならば黒単だ。黒単がすべてを解決する。
カウンターを掻い潜って最序盤に着地したプロテクション白の《黒騎士》が、単体除去と《涙の雨》《汚れ》をバックアップにクロックを刻んでいく。《よじれた嫌悪者》を嫌がって《神の怒り》を撃てば《隆盛なるエヴィンカー》が着地し、対戦相手のクリーチャーとのサイズ差をふた回り発生させると共に《正義の命令》の兵士トークンの存在すらも許さない。
6マナアクションとしては強力だが隙が大きい《堕落》はオミットし、あくまでクリーチャーでクロックを刻むタイプの黒単とした。サイドボードも含め、対アグロ、対ミッドレンジ、対コントロール、対コンボ全てに対応できる形の黒単は、愛好家にも満足いただけるのではなかろうか。
仮説4
結局のところより大きな数値で撃った方が勝つのではないか
《正義の命令》が環境を定義するならば、いずれ避けられないのが《正義の命令》同士のミラーマッチである。
ミラーマッチを制するために、より大きな数値で撃てる構成のデッキを選ぶ。
それならばやはり、これしかあるまい。
大きな数値と大きなサイズ。《ミラーリの目覚め》はその両方を叶える力がある。
青白コントロールとのミラーマッチを想定した末に前回あえなく没かと思われたウェイクだが、いくつかの改良を加えている。
・《クローサの大牙獣》の採用
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ミラーマッチでは土地が詰まる即ち敗北である。本来ならば《衝動》を4枚積むところを、《衝動》では手札が増えないのを嫌い、《クローサの大牙獣》のサイクリング誘発を目的にスプリットする形で採用してみた。
サイクリング誘発故にほぼ確実に基本土地1枚と1ドローが担保される。衝動より1マナ重いが《霊感》なんぞよりは軽く、打ち消されない分《予言》(現代マジックで言うならば《速足の学び》か)よりも優秀である。
・《正義の命令》の4枚投入
仮説1に関連する内容となるが、このウェイクでは《正義の命令》を防御に回すことに躊躇しない。X=1や2で撃とうが、そのブロッカー+サイクリングドローにより実質ライフを数点分ゲインしたのと同じである。
生き残ろう。生き残れば、きっとまた撃てるから。
・《真の木立ち》の採用
無視できない軽い驚異として、《真の木立ち》を採用した。メインの仕事は《ミラーリの目覚め》の保護&サーチだが、この採用により《ミラーリの目覚め》が悠長なマッチアップにおいて、サイドボードから投入する相手にクリティカルなエンチャントを引き込むことも可能とした。
要するにウェイクを使いたいだけである
おわりに
第15回GP旧枠モダンは6/29(土)である。
このnote執筆中現在も定員まであと4枠残っている。
次のGP旧枠モダンにて戴冠するのは、このnoteを読んだあなたかもしれないのだ。
まだ間に合うぞ!
あなたも旧枠モダン、やろう!
終わりに
本日(6/19)午後。
7/5発売のアサシンクリード(※モダンリーガル)のプレビューにて。
【MTG x アサシン クリード】
— 《青黒家の食卓》管理人、オリバ (@DimirUB) June 19, 2024
《プロパガンダ/Propaganda》 pic.twitter.com/0wt7VsqjmT
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《プロパガンダ》、旧枠モダンに参戦が確定。
アサシンクリードのリーガル化は7/5。
第15回GP旧枠モダンのたった1週間後である。
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