ブラッドオレンジとオレンジのカエル
藍子はブラッドオレンジのジュースをたのむ。
オレンジジュースも美味しそうだがブラッドオレンジの方が響きの方がもっと美味しそうだと思ったからだ。
もちろんオレンジジュースも美味しい。
注文してほどなくそのジュースはやって来た。
濃い赤みがかったオレンジ色。
そこに赤いストローがさしてある。
彼女は赤いストローが好きだった。
どうして好きになったかというと、藍子が大好きな女性アーティストが歌う歌の歌詞に出てくるからだ。
そのアーティストはaikoさん。
そう自分と同じ名前。
名前は同じだが比べものにはならない(笑
別に比べなくてもいいのだが同じ名前なのでどうしても好きになってしまう。
なんだか赤いストローはいいことがありそうなのだ。
美味しいなと思いながらジュースを飲んでいると、ふとオレンジ色のものが目に入る。
何だろう?
よく見る。
少し先にに少し大きめのカエルの置き物があった。
店内には観葉植物があり落ち着いている。
その観葉植物の鉢の上にカエルがいたのだ。
大きさといえば両手のひらでふっくら包めるくらい。
めずらしいことにそのカエルはオレンジ色をしていた。
なぜオレンジなのか?
店主さんのお気に入りの色なのか元気がもらえる色からなのか?
理由は他にもあるかもしれないが、藍子が飲んでいるブラッドオレンジジュースの色と似ていたので藍子は何だか嬉しくなる♪
そのカエルの置き物は透き通っていた。
後ろから当たるライトの反射でお腹の辺は白っぽく輪郭が濃いオレンジになっていた。
藍子にはそのお腹が光って見えた。
そのオレンジのカエルは上を見ていた。
そのカエルの目線の先には窓の外に月があった。
大きくてまんまるなオレンジの月がその存在を藍子に気づかせてくれたのだった。