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珠希の名前を呼ぶ、針の穴のようなピンポイントな出来事

それはきっとずっと前からそこに向かって始まっていた事なのだろう。

しかし具体的に直近で言えば、その日の夕方から始まっていたのだと思う。

その日の夕方、珠希は用事のある場所に電話をした。

電話をしてから行こうとしたところ、夕方というか夜だとちょっと大きな催し物があるので、駐車場が混んでいるとの事だった。

そんな感じだったので、先方様には翌日に行くというふうに伝える。

その時点では行く時間は言っていない。

翌日も混むと思ったので、朝早く8時台に行くつもりだった。

しかし朝起きてみると翌日は雨降りだった。

外は雨が降っている。

珠希は前日には朝早く行こうと考えていたが、11時のもう一件の用事の前にちょっと打ち合わせができればいいと思った。

そして10:15分に家を出る。

11時の用事の前に終わらせるギリギリの時間だ。

会場につくと駐車場はそれほど混んでいない。

そうはいっても忙しそうだったので、駐車場のおじさんに聞いてみた。すると今は空いているとの事。またちょっとしたら混むとの事だったので、そのまま手早く用事を済ませようと受付に行く。

受付で昨日の電話の件で来たことを伝える。

すると受付の人は係の人を呼びに行ってくれた。

この流れからすれば少し珠希が待っていて、係の人が来て話をするのが想像できる。

しかし、その日は想像できないとんでもなく予想外の展開が起きた。

?『珠希ちゃん!?』

珠希を呼ぶ声が後ろからポーンと翔んで来た。

誰⁈と思って振り向くと、珠希を呼んだ女性が立っていた。

振り向いてもわからない。。。

誰なんだ。。。!?

『珠希ちゃんでしょ!?』

この人は珠希のことを知っている!

珠『はい。そうですけど、どちら様でしたか!?』

『剱持です!わかります?』

珠『えーッ!!わかる!わかる!!よくわかったねー!!!』

名前を言われて面影がよみがえる。

珠希はびっくりしすぎて感心してしまった。

その頃はしっかりマスクも付けていたのだ。

それに加えて再開したのが20年ぶりとなれば、珠希の場合気が付かないだろう。同じシーンの逆の立場だったら全くわからない自信がある!←(笑

中学校以来だ。

剱『面影があったから。』

面影。。。それもまたびっくりだった。

顔の3分の2がマスクで覆われている中で、そこにいるはずのない人に遭遇し、しかも声をかけられる奇跡!

それも人間違いじゃなく当たっている。

剱持さんがどうしてそこにいたかというと、また別の違う用事でそこに呼ばれて来たとのこと。

そこに来た理由を聞いて驚いた。
そこにはもう1人同級生がいたのだ。

その人には会えなかったがそんなタイミングってある⁈

珠希は中学卒業と同時に引越してしまったので、それ以来なんとなく中学の人たちと繋がりが切れてしまった。

それでも剱持さんともう1人の同級生も中学の時はよく珠希と遊んでくれていた。

両親は転勤族だったので、珠希は友達とすごく仲良くなることに抵抗があった。仲良くなってしまったら別れる時がものすごく辛いことを知ってしまったからだ。

小さい頃はあまりわからなかった。

小学生の頃の頃になると珠希は引っ越しが大嫌いだった。

だいたい1〜3年の間に一度は引っ越しをしていた。

小学生と中学生の頃の珠希に今の珠希が声をかけるとすれば、『頑張ってるね!辛いのは今だけだから』と言ってやりたい。

珠希が同級生とすれ違ってもわからないのだとすれば、声をかけてくれた剱持さんがすごい人に思えてくる!

自分のわからない事に気がつくからだ。

珠希は声をかけてくれた事がめちゃくちゃ嬉しくて、もっともっと話したかった。

気がつけば受付の人が呼びに行った係の人が少し離れたところで、珠希たちの話を見守るように待っていてくれた。

剱持さんも帰り際で少し急いでいたようなので慌てて別れる(笑

聞けば今は地元には住んでいないという事だった。

珠希も実は住んでいない。

おばあちゃんちに来ていたからだ。

まるで照準を合わせるかのように十字が重なるようだ。

そんな針の穴のようなピンポイントな巡り合わせがあって珠希はその日もHappyだった♪

また会えるといいね♪






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