【訴状】札幌弁護士会に対する不当利得返還請求訴訟
札幌弁護士会に対して提起している不当利得返還請求訴訟の訴状をコピペして以下に公開します。
訴訟は、本日1月18日、第1回口頭弁論期日がありました。次回も口頭弁論期日で続行しています。
実際の訴状には黄色マーカーや枠付けをしている箇所があります。これらはnotesでは表示されていません。目次もうまく表示されないようなので省略します。
また、瀧澤副会長からのメールの引用部分については省略しています。
訴 状
令和5年11月10日
札幌地方裁判所 御中
原告 林 朋 寛
(就業場所・送達場所)
〒060-0003 札幌市中央区北3条西7丁目1-1 SAKURA-N3
北海道コンテンツ法律事務所
原告 林 朋寛
電話011-● FAX011-●
〒060-0001 札幌市中央区北一条西十丁目1番地7
被告 札幌弁護士会
上記代表者 会長 清水 智
不当利得返還請求事件
訴訟物の価額 2,741,000円
手数料額 19,000円
請求の趣旨
1 被告は、原告に対し、2,741,000円及びこれに対する令和5年10月24日から支払済みまで年3分の割合による金員を支払え。
2 訴訟費用は被告の負担とする。
との判決並びに仮執行宣言を求める。
請求の原因
<目次> 略
第1 請求の概要
原告が被告に、平成28年(2016年)3月から令和5年(2023年)10月までの92か月間徴収されてきた「会館維持負担金」月額7000円、並びに、「北海道弁護士会連合会会費」月額3000円、及び、「すずらん基金特別会費」月額2000円(3つ合計で月額12,000円)の計1,104,000円、並びに、平成28年(2016年)3月から令和3年(2021年)11月までの69か月間徴収されてきた「会費」月額23,000円の計1,587,000円、平成28年3月までに徴収された入会金50,000円は、法律上の原因がない徴収であるから、被告の不当利得(民法703条、704条)として、原告は、被告に対して、これらの合計2,741,000円の返還を請求する。
(黄色マーカーは原告による。以下同じ。)
第2 弁護士法の規定等
1 弁護士法には次の規定がある。
(弁護士の登録)
第八条 弁護士となるには、日本弁護士連合会に備えた弁護士名簿に登録されなければならない。
(登録の請求)
第九条 弁護士となるには、入会しようとする弁護士会を経て、日本弁護士連合会に登録の請求をしなければならない。
(登録換の請求)
第十条 弁護士は、所属弁護士会を変更するには、新たに入会しようとする弁護士会を経て、日本弁護士連合会に登録換の請求をしなければならない。
2 弁護士は、登録換の請求をする場合には、所属弁護士会にその旨を届け出なければならない。
<略>
(法律事務所)
第二十条 弁護士の事務所は、法律事務所と称する。2 法律事務所は、その弁護士の所属弁護士会の地域内に設けなければならない。
<略>
(会則を守る義務)
第二十二条 弁護士は、所属弁護士会及び日本弁護士連合会の会則を守らなければならない。
<略>
第五章 弁護士会
(目的及び法人格)
第三十一条 弁護士会は、弁護士及び弁護士法人の使命及び職務にかんがみ、その品位を保持し、弁護士及び弁護士法人の事務の改善進歩を図るため、弁護士及び弁護士法人の指導、連絡及び監督に関する事務を行うことを目的とする。
2 弁護士会は、法人とする。
(設立の基準となる区域)
第三十二条 弁護士会は、地方裁判所の管轄区域ごとに設立しなければならない。
(会則)
第三十三条 弁護士会は、日本弁護士連合会の承認を受けて、会則を定めなければならない。
2 弁護士会の会則には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 (略)
(略)
三 入会及び退会に関する規定
(略)
十五 会費に関する規定
十六 会計及び資産に関する規定
<略>
(会長及び副会長)
第三十五条 弁護士会の代表者は、会長とする。
2 会長に事故のあるとき又は会長が欠けたときは、副会長がこの法律及び会則に規定する会長の職務を行う。
3 会長及び副会長は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
<略>
(総会の決議を必要とする事項)
第三十九条 弁護士会の会則の変更、予算及び決算は、総会の決議によらなければならない。
<略>
(弁護士会連合会)
第四十四条 同じ高等裁判所の管轄区域内の弁護士会は、共同して特定の事項を行うため、規約を定め、日本弁護士連合会の承認を受けて、弁護士会連合会を設けることができる。
第六章 日本弁護士連合会
(設立、目的及び法人格)
第四十五条 全国の弁護士会は、日本弁護士連合会を設立しなければならない。
2 日本弁護士連合会は、弁護士及び弁護士法人の使命及び職務にかんがみ、その品位を保持し、弁護士及び弁護士法人の事務の改善進歩を図るため、弁護士、弁護士法人及び弁護士会の指導、連絡及び監督に関する事務を行うことを目的とする。
3 日本弁護士連合会は、法人とする。
(会則)
第四十六条 日本弁護士連合会は、会則を定めなければならない。
2 日本弁護士連合会の会則には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 第三十三条第二項第一号から第五号まで、第七号から第十一号まで、第十三号、第十五号及び第十六号に掲げる事項
二 (略)
(会員)
第四十七条 弁護士、弁護士法人及び弁護士会は、当然、日本弁護士連合会の会員となる。
<略>
(懲戒事由及び懲戒権者)
第五十六条 弁護士及び弁護士法人は、この法律(弁護士・外国法事務弁護士共同法人の社員又は使用人である弁護士及び外国法事務弁護士法人の使用人である弁護士にあつては、この法律又は外国弁護士による法律事務の取扱い等に関する法律)又は所属弁護士会若しくは日本弁護士連合会の会則に違反し、所属弁護士会の秩序又は信用を害し、その他職務の内外を問わずその品位を失うべき非行があつたときは、懲戒を受ける。
2 懲戒は、その弁護士又は弁護士法人の所属弁護士会が、これを行う。
<略>
2⑴ 弁護士は、所属する弁護士会と日本弁護士連合会(以下「日弁連」という。)に加入しなければならない。
⑵ 弁護士会は、地方裁判所の管轄区域ごとに設置される法人で、北海道内には被告のほか、旭川弁護士会、釧路弁護士会、函館弁護士会の計4つの弁護士会がある。
⑶ 日本弁護士連合会(以下「日弁連」という。)は、弁護士、弁護士法人、弁護士会を会員とする法人である。
⑷ 弁護士会連合会は、同じ高等裁判所の管轄区域内の弁護士会が設立するもので、その設立は法律上必須のものではなく、また、法人ではない。
第3 当事者等について
1 原告について
⑴ 原告は、第58期司法修習生の修習を終え、平成17年(2005年)10月に弁護士の登録をした者である。
⑵ 原告は、平成28年(2016年)3月1日付けで、被告に入会した。原告は、同日から今日まで上記法律事務所で弁護士業務を行っている。
2 被告は、札幌地方裁判所の管轄区域に設立された弁護士会である。
3⑴ 北海道弁護士会連合会(以下「道弁連」という。)は、札幌高等裁判所の管轄区域内の4つの弁護士会(被告、旭川弁護士会、釧路弁護士会、函館弁護士会)が設けた弁護士会連合会である。
⑵ 道弁連の会員は、被告を含め上記4つの弁護士会である。
原告を含め被告の会員である弁護士は、道弁連の会員ではない。
第4 会費等の納入について
1⑴ 弁護士が被告に入会する場合、入会申込書の提出と同時に、総会で議決された金額の入会金を支払うことになっている(被告の会則7条1項)。
⑵ 被告の弁護士会員は、被告の会費及び特別会費を、被告の会員になった月から徴収されるものとされている(被告の会則94条4項)。
⑶ 日弁連の会費及び特別会費は、弁護士会が徴収するものとされている(日弁連の会則95条1項・95条の3第1項、被告の会則94条5項)。
2 原告は、平成28年3月1日付けで被告に入会するにあたり、同月までに被告に対して入会金5万円を支払った。
3 原告は、被告の会員となった平成28年(2016年)3月から令和5年(2023年)10月までの92か月間、廃止ないし終了となったものを除き、日弁連の会費の他、毎月、以下の名目の会費等を被告に徴収されている。
①北海道弁護士会連合会 会費 3,000円
②北海道弁護士会連合会 すずらん基金特別会費 2,000円
③札幌弁護士会 会費 23,000円
④札幌弁護士会 会館維持負担金 7,000円
(①の北海道弁護士会連合会会費は、以下「道弁連会費」という。②のすずらん基金特別会費は、以下「すずらん会費」という。③の会費は、以下「札弁会費」という。)
第5 不当利得返還請求権について
1 利得・損失・因果関係について
⑴ア 原告は被告に、令和5年(2023年)10月23日までに、平成28年(2016年)3月から令和5年10月までの間の92か月間分の会館維持負担金(月額7000円)として計64万4000円を徴収された。
イ 原告は被告に、令和5年10月23日までに、同期間の92カ月分の道弁連会費(月額3000円)として計27万6000円を徴収された。
ウ 原告は被告に、令和5年10月23日までに、すずらん会費(月額2000円)として、平成28年3月から令和元年(2019年)6月までの40か月分の計8万円と同年7月から令和5年10月までの52か月分の10万4000円の合計18万4000円を徴収された。
エ 上記ア〜ウの徴収額の合計は、110万4000円である。
⑵ 原告は被告に、令和5年10月23日までに、平成28年(2016年)3月から令和3年(2021年)11月分までの間の69か月分の札弁会費(月額2万3000円)として計158万7000円を徴収された。
⑶ 原告は被告に、平成28年3月までに、入会金として請求された5万円を支払った。
⑷ 被告が原告から上記⑴ないし⑶の合計274万1000円を徴収したことにより、被告は同額の利得を得て、原告は同額の損失を被った。
2 法律上の原因がないことについて
⑴ 個別規定の無いこと
被告の会則には、会館維持負担金、道弁連会費、すずらん会費のそれぞれについて定めた個別規定はない。被告の会則の下位の会規等の規定にも、それらについての規定はない。
⑵ 原告の質問等に対する被告の回答
ア 原告は、令和5年8月15日、被告の会員用ホームページのお問い合わせフォームから、被告に対し、以下の質問をした。
イ 被告の嘱託弁護士は、原告に対し、同月16日、上記質問を受理した旨をメールで連絡した。
ウ 被告の副会長の一人である瀧澤隆之介弁護士(以下「瀧澤副会長」という。)は、同月28日、上記質問に対し、メールで以下の内容で回答した。
略
エ 原告は、瀧澤副会長に対し、同日、上記回答に対し、以下の内容のメールをして上記回答の問題点を指摘した。
オ 瀧澤副会長は、原告に対し、同日、以下の内容のメールをして、上記回答を撤回した。
略
カ 瀧澤副会長は、原告に対し、令和5年9月26日、以下の内容のメールをして、被告の執行部としての回答をした。
略
ク 原告は、瀧澤副会長に対し、令和5年9月27日、上記回答について、以下の内容のメールをして、すずらん会費についての総会決議の日にちを尋ねた。
ケ 瀧澤副会長は、原告に対し、令和5年9月28日、メールで、上記の原告の質問について、総会の日付を次の回答をした。
略
コ 原告は、瀧澤副会長に対し、令和5年9月29日、メールで、次の内容の質問をした。
サ 原告の上記コの質問に対し、瀧澤副会長から回答は無かった。
シ 原告は、被告に対して、原告が平成28年3月から令和5年9月までの間に会館維持負担金・道弁連会費・すずらん会費として徴収された金銭を不当利得として返還するよう請求する旨の同年10月11日付け通知書(甲4)を送付した。同通知書は、同月13日に被告に到達した。
ス 被告は、令和5年10月18日付け回答書(原告には同月19日到達。甲6)で、会館維持負担金については令和3年11月26日臨時総会決議を理由として、道弁連会費とすずらん会費については、令和5年11月24日に開催が予定されている臨時総会での決議を理由として、原告の不当利得返還請求を拒否した。
⑶ 被告の主張の変遷
ア 会館維持負担金について
被告は、会館維持負担金の根拠について、瀧澤副会長の回答では昭和63年5月14日の総会決議である旨を説明していたところ、上記回答書では令和3年11月26日の総会決議が根拠である旨の回答に変遷している。
イ 道弁連会費及びすずらん会費について
(ア) 被告は、道弁連会費及びすずらん会費の根拠について、瀧澤副会長の回答では当初は被告の会則94条5項であると回答し、原告から誤りを指摘されるやこれを撤回して、昭和59年以降の道弁連会費とすずらん会費は被告の特別会費である旨に回答を変遷させた。
(イ) すずらん会費については、被告は、道弁連のすずらん基金に関する規則5条1項を根拠であるとも述べている(瀧澤副会長の令和5年8月28日と同年9月26日のメール)。この根拠の説明は、すずらん会費が被告の特別会費であるとの被告の主張と整合しない。
ウ 会館維持負担金、道弁連会費及びすずらん会費のそれぞれの根拠について被告の主張(説明)は変遷しており、被告の主張には何ら信用性がない。
⑷ 会館維持負担金の根拠がないこと
ア 被告が徴収する会館維持負担金は、通常の会費(札弁会費)とは別に請求書の項目があてられて徴収されているものであるから、通常の会費ではない。
イ 会館維持負担金は、特別会費の要件である総会決議(被告の会則94条3項)そのものを欠くから、被告の特別会費でもない。
ウ 被告の会則(甲1)の94条3項では、「特別会費は、その額、使途、納付期限、納付時期及びその他必要な事項を定めて総会において出席した弁護士会員の3分の2以上の賛成をもって議決しなければならない。」とされているところ、会館維持負担金について「使途」、「納付期限、納付時期」が定められた総会決議が存在しない。
エ 被告の主張する令和3年11月26日総会決議には、会館維持負担金について「毎月末日までに納める」との記載がある。しかし、いつまで納付を続けなければならないかについての定めはない。
したがって、会館維持負担金についての同決議には、同条項の「納付時期」の定めがない。
なお、同決議には、「使途」の定めも無い。
オ 以上から、会館維持負担金は特別会費ではないし、また、特別会費であったとしても会則94条3項で規定された事項の定めのある総会決議を欠くから、会館維持負担金を被告が徴収する根拠はない。
カ 遡及的効力の附則が無効であること
(ア) 令和3年11月26日総会決議には、附則として、「日本弁護士連合会の承認があった日から施行し、昭和63年6月1日から適用する。」との定めがある。
(イ) 遡及的効力を定めた上記附則は、不遡及の原則あるいは無効行為の追認は効力を生じないこと(民法119条)から、無効である。
(ウ) 上記附則は、徴収のたびに生じていた原告や被告のその他の会員の不当利得返還請求権を一方的に奪うものであるから、無効である。
⑸ 道弁連会費の根拠がないこと
ア 道弁連会費は、通常の会費(札弁会費)とは別に請求書の項目があてられて徴収されているものであるから、被告の通常の会費ではない。
イ 道弁連会費は、被告の特別会費でもない。
道弁連会費について、被告は予算および決算を総会で決議ないし承認しておらず、被告において特別会費として扱われていない。
ウ 道弁連会費の徴収について、被告は何ら総会決議を行っていない。
エ したがって、被告が道弁連会費を名目として金銭を徴収する根拠はない。
⑹ すずらん会費の根拠がないこと
ア すずらん会費は、通常の会費(札弁会費)とは別に請求書の項目があてられて徴収されているものであるから、被告の通常の会費ではない。
イ すずらん会費は、被告の特別会費ではない。
すずらん会費について、被告は予算および決算を総会で決議ないし承認しておらず、被告において特別会費として扱われていない。
ウ(ア) すずらん会費について、令和元年(2019年)6月分までのものについての有効な総会決議がない。
(イ) 令和元年年7月分から令和6年6月分までのものについては総会決議そのものが存在しない。
エ したがって、被告がすずらん会費を名目として金銭を徴収する根拠はない。
⑺ 札弁会費の根拠がなかったこと
ア 弁護士会の会費に関する決議は、日弁連の承認事項とされている(弁護士法33条2項15号)。
イ 札弁会費の金額は、総会で定めるものとされている(被告の会則94条2項)。
ウ 被告は、平成17年3月1日、臨時総会において、同年4月からの札弁会費を2万3000円とすることを決議した。
エ 上記の平成17年3月1日総会決議は日弁連の承認を受けていないため、有効ではない。
オ したがって、被告が平成17年4月分以降の札弁会費を徴収する根拠はなかった。
カ(ア) 被告は、令和3年11月26日、臨時総会において、「札幌弁護士会会則第94条第2項の規定に基づき、弁護士会員は、会費として月額23,000円を毎月末日までに納めるものとする。」との事項と、この事項について「日本弁護士連合会の承認があった日から施行し、平成17年4月1日から適用する。」との附則を決議した。
(イ) 遡及的効力を定めた上記附則は、不遡及の原則あるいは無効行為の追認は効力を生じないこと(民法119条)から、無効である。
(ウ) 上記附則は、徴収のたびに生じていた原告や被告のその他の会員の不当利得返還請求権を一方的に奪うものであるから、無効である。
キ 以上より、原告が被告に入会した平成28年3月から令和3年11月分までの札弁会費を被告が徴収する根拠はなかった。
⑻ 入会金の根拠がなかったこと
ア 弁護士会の入会に関する決議や会費に関する決議は、日弁連の承認事項とされている(弁護士法33条2項3号、同項15号、同条3項)。
イ 被告の入会金の金額は、総会で定めるものとされている(被告の会則7条1項)。
ウ 原告が被告に入会金5万円を支払った平成28年3月当時、被告には、入会金の金額を定めた有効な総会決議が無かった。
エ 被告は、令和3年11月26日、弁護士会員の入会金の徴収額を5万円とする旨を決議した昭和60年5月18日の総会決議に日弁連の承認を得ていなかったことを理由として、臨時総会において、入会金の金額を5万円とする旨の決議をした。
オ(ア) 上記決議には「日本弁護士連合会の承認があった日から施行し、昭和60年7月1日から適用する。」との附則がある。
(イ) 遡及的効力を定めた上記附則は、不遡及の原則あるいは無効行為の追認は効力を生じないこと(民法119条)から、無効である。
(ウ) 上記附則は、徴収のたびに生じていた原告や被告のその他の会員の不当利得返還請求権を一方的に奪うものであるから、無効である。
カ 以上より、原告が被告に入会した平成28年3月ころに支払った入会金5万円について、被告には徴収する根拠がなかった。
3 被告の悪意について
被告の会則は被告が定めるものであり、総会決議は被告が行い、総会決議についての日弁連の承認の申請は被告がするものであるから、会則上の根拠がないことや特別会費とするための要件の欠缺、総会決議の不存在、日弁連の承認のないことについて被告は悪意であったというべきである。
したがって、本件の不当利得について、被告は、悪意の受益者である。
4 利息について
⑴ 令和2年(2020年)4月1日施行の改正民法により法定利息は年3%となった。同改正前の法定利息は年5%であった。
⑵ 被告の不当利得となる入会金、札弁会費、会館維持負担金、道弁連会費、すずらん会費は、その徴収の翌日から年5%または年3%の法定利息が生じていた。
⑶ 一部請求
本件訴訟の請求は、平成28年3月以降に生じた不当利得の利息については、個別に計算せずに請求の対象となる最後の不当利得の日の翌日(令和5年10月24日)から支払い済みまでの年3%の利息を求めるものである。
第6 結語
よって、原告は、被告に対し、不当利得に基づき、利得金274万1000円とこれに対する最後の不当利得をした日の翌日の令和5年10月24日から支払済みまで年3%の法定利率による法定利息の支払を求める。
証拠方法
証拠説明書記載のとおり
附属書類
1 証拠説明書 1通
2 甲号証写し 各1通
3 資格証明書 1通