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私と、若者と、【Youth+協働者インタビュー企画②にじいろほっかいどう りょーすけさん】後編

どんな自分でも大丈夫

11月にオンラインで東京・埼玉・札幌のにじーずの活動報告会をしたんです。そこで、札幌での様子をお伝えするために、当事者スタッフとYouth+スタッフとのクロストークをしたんですね。
クロストークでは、20代のゲイのスタッフが出演し、若いなりに色々な想いを話してくれました。
大学生の彼は、コロナで散々な一年だったんですよ。課題レポートはいっぱい書かなくちゃいけないし、密な空間にならないようにするために、同じセクシャリティの人と会うことができないし。その中で、にじーずに関わることや、Yotuh+と一緒にやることの良さっていうのを話してくれたんですね。彼自身も、Youth+に通っているそうですし。

―そうなんですね!

結構遊びに行ってるみたいですよ(笑)
日頃からどんな人でも来てOKという意味でも、Youth+は〈若い人の居場所〉をすごい考えられている場所なんですよね。そこに「LGBTの人たちも大丈夫ですよ」というのもプラスされて、すごく居心地がいい。その居心地の良さっていうのが参加者の皆さんに伝わっていて、いろんな方が利用している感じなのかなぁ、と思いますね。

―居心地の良さについて、もう少しお聞きしてもいいですか?

一般的な話ですが、LGBTの人は、本当の自分のことを話せない人の方が多いですよね。
例えば、トランスジェンダーの人は、本当は男性として生きたいけれど、女性として産まれたから、女性としての生活をしなければならない。自分は男性だということを学校でも職場でもなかなか言えず、我慢しながら生活を送っているわけですよ。
にじーずやYouth+は、自分のセクシャリティについて「ここでは言っても言わなくても大丈夫ですよ」「ありのままでいいんですよ」という場所なんです。女性として生まれたけど、男性として生きたい人は、ここでは男性として扱ってほしいと言えたり、男性のような服装で来ても変だと言われたりしない訳です。ひっくり返せばそういうところがなかなか無いんです。だから、認められた上で、自分の趣味の話とか自分の特技の話をしてる訳なんですよ。
特ににじーずは、参加者全てが安心して参加できるようにするためのグランドルールがあって、それに則った運営を尊重しています。なので、とても居心地がいいと感じてもらえてると思うんですね。。

―なんというか【ありのままを追求した空間】って感じでしょうか?

そうですね。LGBTの人たちはそういう空間じゃないと来られない訳です。どんな状態であろうと、自分の基盤となるようなところが認められているという安らぎ感っていうのがあるのではないかと思います。

ホワイトボード②

LGBT支援の視点、若者支援の視点


―にじーずのような居場所の運営を当事者団体の方と協働できたからこそ、スタッフもLGBTの悩みも絡んだ若者に安心して関われるのだと思います。

にじーずはLGBT問題も含まれているのが前提ですね。学業も家庭も問題はなさそうだけど、すごく悩んで苦しんでいるっていうときは「セクシャリティの問題があるのかもね」という視点も持てる場所になっているのかな、と思います。
だから、にじーずをやっていることでYouth+スタッフの皆さんが、Youth+に来ている若い人たちが悩んでいる時に「もしかしたらLGBT?」という視点を持ってもらうことができたなら、すごく大きいことなのかなって思います。それはにじーずが活動してるからというよりは、Youth+の方々が、想いをもって、ちゃんとLGBTことを考えようとしてくれたことが大きいんじゃないかと思いますね。

―確かにこの2年間で、視点の持ち方は、にじーずを一緒にやらせてもらっているおかげで幅が広がったと思います。

私たちも同じなんですよ。若者支援という視点がなくて、同じLGBTだっていうことで繋がっていてね。「家庭が難しくて大変だ」とか「この子発達に偏りがあるな」とか思いながらも、そこの課題には目を瞑ったりしたんですね。でも、どうやって関わったらいいのかをYouth+のスタッフの皆さんの振る舞いを観ながら学んでいる、という状態です。だから、お互いのためにもなるんじゃないかなと思います。

レインボープライド

―Youth+と協働する中で、記憶に残っていることってありますか?

レインボープライド(性的マイノリティの権利を主張するため、年1回札幌の街をパレードするイベント)にYouth+スタッフの方が参加してくれたことですね!
一昨年のレインボープライドに「にじーずで参加しよう!」となったんですよね。その時に、Youth+のスタッフの方も一緒にわたしたちのイベントに飛び込んでくれたんです。
パレードに参加すると、ちょっと気持ちが変わるんですよね。今までLGBTっていうのは他の人に言っちゃダメだと思っている人が多いんですけれども、パレードにはたくさんのLGBTの人たちが参加していて、そこで仲間ができたり、友達ができたりすることもあります。Youth+のスタッフの方も、いつもの活動場所から飛び出して、にじーずに来てる若い子たちとか、私のようなスタッフ以外の当事者の方と出会って、そこで色々気持ちが変わったみたいで。
LGBTのことを理解しようとする一環だとは思ったんですけど、一緒になって楽しんでくだいました。そういうところはすごくありがたかったですよね。

レゴ

「あなたは、ありのままでいい」と言ってくれる場所


―改めて、りょうすけさんからみたYouth+の必要性とは?

若者ではない私から言うのもどうかな〜と思うんですけど(笑)。
大人になると、特に男性同性愛者の場合は、職場と家の往復だけではなく色々なサードプレイスができるんです。すすきののゲイバーとかね。でも、若い人は、バーに入る勇気がなかったり、年齢的に入れなかったりする人のほうが多いわけです。
でも、学校と家の往復だけだと、自分を偽って、安心できる場所がなくて、すごく追い詰められちゃうんですよね。特に若い方は、たとえばトランスジェンダーだと生まれた時の性別での性役割を押し付けられて苦しかったり、逃げられない。
だから、Youth+のような場所があることで、学校と家ではない、サードプレイスを持つことができると思います。家でも学校でも、自分のLGBTの部分はなかなか認められない人に、ここでは「あなたはあなたのままでいいんですよ」という場所を提供していくってことは、とても必要だと思います。前の副館長さんの受け売りですけど(笑)

―受け売りとおっしゃってましたが、りょうすけさんもそのように感じてくださっているのであれば嬉しく思います!

アハハ!でも、本当にそうだなって思ったんですよ。20~30年前、自分の若い頃はネットもなくて、情報も得られなくて、すごく鬱々としてた時期があったんですよね。ネットがあっても、良い情報も悪い情報も混ざってて、良くない情報を見て凹んでいるLGBTの子もみてて。そういう時に大丈夫だよって言ってもらえる場所があるのはいいですね。

―今後、Youth+や若者とこういうことできたらいいな、ということはありますか?

そうですねぇ。この1年は、コロナで状況が激変して、居場所自体が開けないって状態がずっと続いているんですよね。コロナはまだ、なかなか終息は見通せないですけど、Youth+が空いている限りは、居場所を開こうって思ってます。交流する場所なので、開催がなかなか難しく、昨年の11月から中止してたんですけど、このままだと火が消えちゃうんじゃないかって、そういう不安にも駆られましてね。
昔みたいに20~30人いっぺんには難しいだろうけど、Youth+が閉じない限り細く、長く続けていこう思っています。その中で、コロナ禍の悩みとかも聞いてあげられたらなぁと思います。
ただ、例えばにじーずでクラスターが発生したら、どこで感染したか、誰にも言えないんですよね。だから、不用意に自分の行動範囲じゃないところにいくことをすごく用心していると思います。だからそこは、感染予防対策をしっかりしながら、安心して参加できる環境づくりには努めたいと思います。

―コロナの状況を見ながら、ですね。

そうですねぇ。本当は「あんなことしたい!」というのがいっぱいありますけどねぇ。皆でピクニックに行きたい、とか。

―コロナが収まったら一番最初に何がしたいですか?

えー!・・・アッ、あれやりたい!たこやき!
コロナの直前くらいかな?たこ焼きパーティをやったんですよ。ああいう、皆で気兼ねなく、一つモノを囲んで、ワイワイしながら食べたいね。

―その時は全館からたこ焼き機もっていきますね。

そんなことしたらブレーカー飛んで大変よ!(笑)

たこ焼き②

〈プロフィール〉
りょーすけ
にじいろほっかいどうにて、性的マイノリティへの差別や偏見、社会的孤立をなくす活動を精力的に展開。現在は、すべての人たちが地域で安心して生活できる社会を作るために、性的マイノリティ支援団体やHIV/AIDS等に関する団体と協働し、活動を拡げている。

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