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第6回「気候変動と市民の活動を考える」のコーディネーターレポート
はじめに
皆さん、こんにちは。
札幌市環境局主催の「さっぽろ気候変動タウンミーティング(以下「タウンミーティング」と言う。)」のワークショップコーディネーター、ファシリテーターをしている対話の場づくり屋 SNUG代表の長谷川友子です。
このnoteではタウンミーティングの各回のレポートをお送りします。今回は第6回目の様子をお届けします!
「タウンミーティング」とは?
「さっぽろ気候変動タウンミーティング」は、札幌市環境局主催の全8回のワークショップ。
前半4回を「基礎編:ふむふむ、もやもや期」として気候変動の基礎を学ぶ時期、後半4回は「行動編:やってみよう期」と位置付け、気候変動や気候変動にまつわる課題を多角に学ぶことができるプログラムを予定しています。
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タウンミーティングが大事にする二つのキーワードとは?
「公正な対話の場づくりの探究」
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前回のレポートで公正な対話の場づくりを探究する背景をお伝えしました。
今回は、タウンミーティングで公正な対話をどのように探究しているのかについてお届けします。
まず一つに、グランドルールの徹底があります。グランドルールとは対話の場でのルールや決まり、合意のことです。
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多様な背景の参加者にただ「自由に話してください」とだけお伝えしても、普段から話しやすい人は話しやすく、発言しづらい人は黙りがちになり、せっかくの対話の場も日常の会話と同じになってしまいます。
タウンミーティングでは属性も立場も異なる参加者が集まるからこそ、グランドルールを重要視することで全員が安心して話し、聞くことができる場づくりを探究しています。
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もう一つ、タウンミーティングでは「普通とされる価値観」を一人ひとりが疑うことも大事にしています。
具体的にはファシリテーターから「アンコンシャスバイアス」とも言われる「無意識の偏見」を意識するよう呼びかけたり、社会で「普通」とされる価値観を言語化し洗い出したりします。
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多様な背景の参加者同士が対話するタウンミーティング。一人ひとりが既存の価値観や、その価値観によってできた自分の「ものの見方」を意識することで、参加者にとってより公正で充実した対話の場になるのではと考えています。
「自分らしい行動の試行錯誤」
さて、もう一つのタウンミーティングのキーワードは今回のメインテーマ。ですので後述するコーディネーターレポートで「自分らしい行動の試行錯誤」についてプログラムの内容ととともにお伝えします。
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タウンミーティングを支える「ユースファシリテーター」たち!
タウンミーティングでは2024年9月から10月にかけて計3回のユースファシリテーター養成講座に参加したユースファシリテーターが活躍中。
グループ対話のファシリテーションはもちろん、参加者の意見の共有や、各回のふりかえりを担うなどユースファシリテーターの活動範囲も拡大中。
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第6回「気候変動と市民の活動を考える」のコーディネーターレポート
タウンミーティングも後半、「やってみよう期」の半ば。今回からより「自分らしい行動」にも迫ります。
開催日時:2025年2月15日(土)14:00-17:00
会場:xStation01
参加者数:20名
講師:両角達平さん(日本福祉大学社会福祉学部 講師)
このタウンミーティングの本編は対話、講義、対話という3部構成のプログラムです。
また番外編として前回から「タウンミーティングミニコーナー」がスタート。参加者自身がやってみたいことを実験する時間の第二弾は「知識について考えよう」!?内容は後述します。
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タウンミーティングは、ファシリテーターから参加者へ全8回のタウンミーティングが目指す姿や目的などを参加者に共有するところからスタート。
先述したとおり「自分らしい行動の試行錯誤」をする関係性をつくるために、「公正な対話」のためのグランドルールも重点的にお伝えします。
その後、参加者自らグループを組んでチェックインをしました。
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本編に入る前に、ユースファシリテーターがグラフィックレコーディングを通して第5回までのタウンミーティングの内容や様子の振り返りを行いました。
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本編がスタート!
第1部:集まった私たちを知る時間
今回のテーマは「気候変動と市民の活動を考える」。
まずは気候変動に対する「自分らしい行動」のありたい姿や一人ひとりの考えの現在地を洗い出すため、以下の問いについて参加者一人ひとりが自分の考えを付箋に書き込んでもらうワークの時間を設けました。
問い1
気候変動に対する「自分らしい行動」という言葉にはどんなイメージがありますか。
問い2
気候変動に対する自分らしい行動を妨げる障壁やハードルはありますか。あるとしたら、どんなものがありますか。
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その後、参加者の付箋をユースファシリテーターが匿名で読み上げることで、自分以外のほかの参加者が考えていることも共有し、集まった「私たち」についての理解を深めます。
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第2部:講師による学びの時間:ともに学ぼう「気候変動と市民の活動を考える」
今回も早速講義に移ります。講師は日本福祉大学社会福祉学部 講師の両角達平さん。
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今回の講義の重要なポイントは「影響力」。市民が社会の中でどのように影響力を発揮する、スウェーデンの事例や市民社会を考えるための理論まで、多岐にわたる視点から講演いただきました。
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講演の最後には日本で進む若者をはじめとする市民参画の様々な動向や事例を学びました。
第3部:対話によって学びを消化する時間
休憩を挟んで、両角さんの講義の感想共有のグループ対話を行いました。
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その後、今回は参加者全員での対話にチャレンジ。
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参加者にとって必要だと思う「自分らしい行動」を考える対話ですが、まずは以下の問いについて対話しました。
問い
あなたは気候変動や社会課題についての行動で「こんな行動はうんざりだ」「こんな行動は自分にはできない」と思ったことはありますか。それはどんなものでしたか。
あえてタブーに切り込む問いをについて対話することで、私たちが必要としている行動をより深掘りする時間を過ごしました。
参加者からは以下のような声がありました。
・目的のためなら手段を選ばないような行動はいやだ。人を置いてきぼりにしてしまう。
・行動する上で言いたくないことを言わなければならないのはいやだ。
・自分の話しを否定されたくない。話しを受け止めてほしいのに。
・将来世代に責任を押し付けてしまっていると感じる。
・行動が結果でしか評価されないのはうんざり。
・何かの板挟みになるような取組はうんざり。
参加者同士で、自分たちの考えていることや意思を共有する対話の時間を過ごしましたが、もちろんここに挙げたものは対話の中の一部に過ぎません。(詳しくは後述するグラフィックレコーディングもご覧ください!)
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さらに、参加者にとって必要な「自分らしい行動」を具体的な言葉にしていくために、問いを変えて引き続き参加者全員で対話をしました。
問い
あなたが必要としている「自分らしい行動」とはどんなものですか。具体的な言葉にしてみましょう。
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この対話の時間を通してわかったことは、「自分らしい行動を考える上で必要なこと」や「ありたい行動の姿」は参加者同士で共通点もあれば異なる点もあるということです。
例えば「ポジティブ」という言葉で自身のありたい活動の姿を話した参加者もいれば、別の参加者からは「怒りも忘れたくない」との声もありました。
そのほか「全員で目的を共有したい」「人それぞれ思いは違うからゴールを一致させたい」「『変わる』ということを大事にしたい」など、私たちにとって必要な「自分らしい行動」の姿について対話しました。
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対話の終わりの時間になっても、今回出た多様な意見はまとめず、カテゴライズもせず、話しっぱなしで終えることにしました。
なぜなら、タウンミーティングに集まった参加者全員が同じ考えを持つ必要はないからです。むしろ「自分らしい行動」やそのあり方の多様さを対話によって感じられることが重要です。
これからのタウンミーティングで始まる参加者同士での「自分たちらしい行動の試行錯誤」の基礎となる時間になればとの思いで全員での対話を終えました。
第6回のタウンミーティングを終えた参加者の感想
プログラムの最後に、今回も参加者のみなさんに振り返りも兼ねて付箋に以下の3つを書き込んでもらいました。
・今の気持ち
・今日印象的だったこと
・私たちタウンミーティング参加者とやってみたいこと
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タウンミーティングミニコーナー第二弾!「知識について考えよう」とは!?
今回は参加者のあげはさん、てらぶんさんが「知識について考えよう」というミニコーナーを実施しました。
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お二人はIB(国際バカロレア)という国際的な視野で行動するための学習プログラムの中の「Theory of Knowledge(TOK)」という、「知ること」そのものを探究できるワークを実施しました。
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概要説明のあと、「1分で地図を描いてみてください」という言葉とともにワークがスタート。
その後、参加者同士で自身が描いた「地図」を近くの参加者と見せ合い、共通点や違う点、描いた目的などを対話し共有しました。
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会場からは「え〜!」「わ〜!」と声が挙がり、笑い声も聞こえてきました。参加者が描いた「地図」は北海道地図を描いた人、日本地図を描いた人、世界地図を描いた人、近所の地図を描いた人、そのほか、いろいろ。
このワークは「答えがない問いを切り拓く」という意図があったそう。驚きでいっぱいの雰囲気とともにミニコーナーが終わりました。
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第6回のグラフィックレコーディング
このタウンミーティングでは、グラフィックレコーディングで対話をリアルタイムで可視化し記録しています。
今回のグラフィックレコーディングはお二人!あみさんこと菅原愛未さん、あかねさんこと石川茜さんが担当しました。ありがとうございました!
まず最初にあみさん!
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続いて、あかねさん。
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第6回レポートの終わりに コーディネーターより
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「行動」という言葉も「自分らしさ」という言葉も、それぞれはよく聞く言葉かもしれません。
では、タウンミーティングのキーワードである「自分らしい行動」という言葉はどうでしょうか。
この(一見)聞き慣れない言葉を探究することは、義務感や同調圧力からではない行動のあり方を考え対話することができるのではないか。
そんな問いから、タウンミーティングでは「自分らしい行動の試行錯誤」というキーワードがあります。
今回は「自分らしい行動」を対話によって深掘りする回でした。今回対話したことを次回、次々回でも立ち返る予定です。
タウンミーティングで大事にしたいのは「自分らしい行動」の「完璧な実現」ではなく、「試行錯誤」。次回は「自分らしい行動」から「自分たちらしい行動」を考え対話によって具体化していきます!
これからも「公正な対話の探究」をしながら「自分らしい行動の試行錯誤」ができる場をともにつくりましょう。
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第7回目のさっぽろ気候変動タウンミーティングのお知らせ
次回は参加者同士で「自分たちらしい行動」について対話しながら具体的なことを深掘りする予定です!
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テーマ:「気候変動おしゃべりカフェVol.2 『自分たちらしい行動』を試行錯誤するための土台となるものは…? 『やってみよう』につなげるための対話をしよう。」
日時:2025年2月26日(水曜日)18時00分~20時00分
場所: bokashi(ぼかし)中央区南2条西1丁目7番地1 二番館ビル
参加お申し込み:こちらのフォームから!
おわりに
さて、第6回のコーディネーターレポートはいかがでしたか。
今後もこのnoteではコーディネーターのレポート、タウンミーティング参加者のインタビューを掲載予定ですのでお楽しみに!ぜひフォローもしてくださいね。
それでは次回第7回目のタウンミーティングでお会いしましょう!
さっぽろ気候変動タウンミーティング
コーディネーター・ファシリテーター
対話の場づくり屋 SNUG
代表 長谷川友子