見出し画像

第3回「気候変動と正しい科学の知識:地域・ローカル編」のコーディネーターレポート

はじめに

皆さん、明けましておめでとうございます。
札幌市環境局主催の「さっぽろ気候変動タウンミーティング(以下「タウンミーティング」と言います。)」のワークショップコーディネーター、ファシリテーターをしている対話の場づくり屋 SNUG代表の長谷川友子です。

このnoteではタウンミーティングの各回のレポートをお送りします。今回は第3回目のタウンミーティングの様子をお届けします。

「タウンミーティング」とは?

タウンミーティング全8回の流れ

「さっぽろ気候変動タウンミーティング」は、札幌市環境局主催の全8回のワークショップ。
前半4回を「基礎編:ふむふむ、もやもや期」、後半4回を「行動編:やってみよう期」と位置付けプログラムを実施しています。

「基礎編:ふむふむ、もやもや期」では公正性や気候変動についての基礎知識を、「行動編:やってみよう期」では気候正義や市民活動のあり方など、気候変動を多角的な視点から考えるプログラムを予定しています。
気候変動という大きな課題をいろいろな側面から学ぶというのもこのタウンミーティングの特徴です。

タウンミーティングが目指す姿

タウンミーティングは「市民が気候変動をはじめとする社会課題について対話する文化をつくる」という大きなビジョンのもと開催しています。
そのために、まずは札幌市内で市民が集まり、気候変動をはじめとする社会課題について学び、考え、行動していくため市民対話の場を試行錯誤しているのです。

タウンミーティングが大事にする「公正な対話の場づくり」とは?

このタウンミーティングでは、立場や属性の異なる人々が集まります。ですから集まった人々が安心して対話できることが大切です。
そこで、話し合いの中にある当たり前を問い直し、どんな立場でも安心して発言できるような「公正な対話の場づくり」を目指しています。

例えば、主催者が話し合いを外から見ているという構図を問い直すため主催の市職員もこのタウンミーティングでは参加者とともに対話したり、講師の方にはなるべくラフな格好で登壇するようお願いしたりすることで、登壇者と参加者の関係性を固定しないように意識して場づくりを行なっています。

対話しながら「自分らしい行動」を探究します!

でも、ただ対話するだけではもったいない。気候変動は今まさに取り組まなければいけない問題ですから、ただ学んで終わりでは不十分です。
しかし「誰かに言われたからやる行動」や「自分たちを追い込む行動」では持続可能な行動とは言えません。

そこで、このタウンミーティングでは参加者が気候変動という大きな課題に向けて「自分らしい行動」に踏み出すことを目指しています。

自分らしい行動とは、誰かの強制や同調圧力により行われる行動ではなく、一人ひとりの好奇心や疑問が動機となって行われる持続可能な行動のことと考えています。
が、このタウンミーティングは「市民の行動のあり方」も対話を通して探究中!

タウンミーティングを支える「ユースファシリテーター」たち!

タウンミーティングでは2024年9月から10月にかけて計3回のユースファシリテーター養成講座に参加したユースファシリテーターが活躍中。

グループ対話のファシリテーターはもちろん、参加者の意見の共有や各パートの説明も担うなど回を追うごとにユースファシリテーターの活躍する範囲も拡大中。
ちなみに今回の会場の配置はユースファシリテーターたちの提案によって実現。
対話の際に使用する模造紙の作成もユースファシリテーターが中心となって行いました。

第3回「気候変動と正しい科学の知識:地域・ローカル編」のコーディネーターレポート

第1回は「公正」について、第2回は「地球規模の気候システム」について学びましたが、今回は「気候変動と地域」について考えました。

開催日時:2024年12月22日(日)14:00-17:00
会場:さっぽろテレビ塔 2階しらかば・あかしあ
講師:豊田陽介さん(特定非営利活動法人 気候ネットワーク上席研究員)
参加者数:18名

第3回のタウンミーティングの様子は?

このタウンミーティングの本編は3部構成のプログラムです。
本編に入る前に、ファシリテーターから参加者へ全8回のタウンミーティングが目指す姿や目的などを参加者に共有します。ちなみに、今回から初参加の方もたくさんいらっしゃいました。

グラフィックレコーディングを通して第1回、第2回のタウンミーティングをおさらいしてから本編がスタートです。

前回のふりかえりを行うユースファシリテーター。

第1部:集まった私たちを知る時間

今回の第3回のテーマは「気候変動と正しい科学の知識:地域・ローカル編」。
今回は、タウンミーティングで大事にしている「自分らしい行動」を考える前に、「行動」という言葉に対して抱いているイメージをグループで対話しながら考えました。

参加者からは、「自分で行動するのも、ほかの人に行動させるのも難しい」「自分はできていないと思う。不安な気持ちを抱いてしまう」などの声が上がりました。

第2部:講師による学びの時間

小休憩を挟んだあとは特定非営利活動法人気候ネットワーク上席研究員の豊田陽介さんによる講演です。タイトルは「地域を豊かにする気候変動対策」!
地域での気候変動対策、脱炭素に向けた取り組みの意義や理論とその事例を丁寧に説明いただきました。

調査によると、日本は気候変動対策が「生活の質を高める」という認識を持つ人が少なく、気候変動対策が「我慢すること」「つらいもの」と捉える傾向にあるそうです 。反対に海外では、気候変動対策が「生活の質を高める」と考える方が多いそうです。

豊田さんは、脱炭素に取り組むことはほかの社会課題にも貢献でき、地域の持続可能性の向上にもつながり、むしろ生活の質を向上させることができると言います。
そんな地域の持続可能性を高めつつ脱炭素に取り組む国内外の脱炭素に向けた事例を学びながら「地域での行動」について考える時間を過ごしました。

講演中も描き続けるグラフィッカー…!!

第3部:対話によって学びを消化する時間

さて、休憩を挟んだあとは対話によって学びを消化する時間です。
まずはグループで対話しながら講演の感想を共有し、自分の感情や思い、意見を参加者同士で共有します。

そして今回からは、参加者全員で対話するというチャレンジも実施。
「タウンミーティングで気候変動に対して参加者とともにやってみたいことはありますか。」という直球の問いについて参加者全員で対話しました。

人数が増えれば増えるほど発言のハードルが高くなります。しーんとした時間もありつつ、時間が経つとともに今回は模造紙を使ったりして参加者全体での対話の時間を過ごしました。

最後には参加者から「やってみたいこと」がたくさん生まれました。

第3回のタウンミーティングを終えた参加者の感想

第3回のタウンミーティングを終えるために、参加者の皆さんに「今の気持ち」「今日印象的だったこと」「これからタウンミーティングの参加者とやってみたいこと」を書き残していただきました。

第3回のグラフィックレコーディング

このタウンミーティングでは、グラフィックレコーディングで対話をリアルタイムで可視化し記録しています。

今回のグラフィックレコーディングはユースのあみさんこと菅原愛未さん、そしてあかねさんこと石川茜さんのお二人が担当。ありがとうございました!
お二人のグラフィックレコーディングをそれぞれご覧ください。

第3回レポートの終わりに

社会課題解決のため「行動することが重要」という言葉はよく聞きます。でも、公正な対話を目指しながら安心できる関係性を築いていく中で「自分らしい行動」を試行錯誤するのがタウンミーティング。

今回豊田さんのお話を聞き、「自分らしい行動」とは「参加者一人ひとりが豊かさを感じながら行動する」ということかもしれないなと感じました。

参加者全員で対話したとき、ぽつりぽつりと話し始めた方、話すより手を動かして付箋に書き込む方、じっと聞いていた方。改めて、いろいろな参加の仕方があるなと感じました。

今回は参加者から「タウンミーティングの参加者とやってみたいこと」がたくさん生まれてきた時間でした。どのように自分たちらしく実行していくかも次回以降、焦らず対話しながら試行錯誤していきましょう。

第4回目のさっぽろ気候変動タウンミーティングのお知らせ

次回のテーマは「気候変動おしゃべりカフェVol.1」。
タウンミーティングの前半が終わるこの機会にあえて講師はお呼びせず、参加者のみで対話します。

「自分たちらしい行動」についてさらに考えるプログラム予定していますので、ぜひ皆さんご参加くださいね!
タウンミーティングはどの回からでもご参加いただけます。気候変動についての知識や経験は問いませんので、ぜひお気軽にご参加ください。

開催日時:2025年1月15日(水)18:00-20:00
会場:bokashi(ぼかし)中央区南2条西1丁目7番地1 二番館ビル
お申し込みはこちらから!

おまけ

タウンミーティングの終了直後、タウンミーティングのふりかえりをするユースファシリテーターたちの様子。

おわりに

さて、第3回のコーディネーターレポートはいかがでしたか。
今後もこのnoteではコーディネーターのレポートやタウンミーティング参加者のインタビューを掲載予定です。
それではまた、4回目のタウンミーティングでお会いしましょう!

さっぽろ気候変動タウンミーティング
コーディネーター・ファシリテーター
対話の場づくり屋 SNUG
代表 長谷川友子


いいなと思ったら応援しよう!