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札幌市公文書公開請求と要望書の提出(戸籍上同性パートナーの住民票の続柄について)

この夏の自由研究は「戸籍上同性パートナーの住民票の続柄について」。

【公文書公開請求】

まずは、2024.7.29 札幌市長に公文書公開請求してみた。
1 現行の住民基本台帳事務処理要領(通知文、新旧対照表含む)
2 戸籍上同性パートナーの続柄が「同居人」から「縁故者」に変更できるようになったときの住民基本台帳事務処理要領の通知文及び新旧対照表、事務処理要領の該当部分
3 戸籍上同性パートナーの続柄が「同居人」から「縁故者」に変更できるようになった経過や決定にかかわる文書
4 戸籍上同性パートナーの続柄を「妻(未届)」「夫(未届)」に変更できるか検討した文書
5 長崎県大村市の照会を受けて、総務省が各都道府県、政令市に送付した文書(口頭で追加請求)


札幌市の情報公開制度



2024.7.30 札幌市役所住民情報課より電話あり。
個人情報が含まれていないため「情報提供」として対応したいとのこと。

2024.8.5 13:00 札幌市役所本庁舎2階住民情報課の隣りの行政情報課の一室で住民情報課担当者から説明を受けた。説明の後、料金を支払って文書を受け取った(いずれも住民情報課担当係長同席)。

<情報提供の内容>

1 現行の住民基本台帳事務処理要領(通知文、新旧対照表含む)
 札幌市は国の事務処理要領をそのまま使っている。長いので受け取った文書から一部抜粋してみる。世帯主との続柄の記載方法なども書かれている。

内縁の夫婦は、法律上の夫婦ではないが準婚として各種の社会保障の面では法律上の夫婦と同じ扱いを受けているので「夫(未届)」「妻(未届)」と記載する。

縁故者には、親族で世帯主との続柄を具体的に記載することが困難な者、事実上の養子等がある。夫婦同様に生活している場合でも、法律上の妻のあるときには「妻(未届)」と記載すべきではない。

現行の住民基本台帳事務処理要領(通知文)
現行の住民基本台帳事務処理要領(世帯主との続柄の記載方法)


2 戸籍上同性パートナーの続柄が「同居人」から「縁故者」に変更できるようになったときの住民基本台帳事務処理要領の通知文及び新旧対照表、事務処理要領の該当部分

 札幌市は国の住民基本台帳事務処理要領をそのまま使っており、戸籍上同性パートナーの続柄が「同居人」から「縁故者」に変更できるようになったときも、住民基本台帳事務処理要領を改正していない。よって、請求した文書は存在しない。


3 戸籍上同性パートナーの続柄が「同居人」から「縁故者」に変更できるようになった経過や決定にかかわる文書
 札幌市役所男女共同参画課より住民情報課に、パートナーシップ宣誓制度の利用者同士が同一世帯で住民登録する際、「パートナーシップ宣誓受領証・カード・他市町村発行の同様な趣旨の宣誓に基づく受領証等」を提示し、続柄を「縁故者」としたい意向がある場合は、その旨登録するよう依頼した。
 住民記録係長会議後、各区戸籍住民課では、2024(令和6)年2月19日に男女共同参画室長からの依頼文書を収受し、課内での周知、受付体制の確認を行った後、2月26日から対応(運用)を開始していることがわかった。

2024(令和6)年2月15日住民記録係長会議
連絡事項
2024(令和6)年2月19日付け男女共同参画室長から担当部長あての依頼文書


4 戸籍上同性パートナーの続柄を「妻(未届)」「夫(未届)」に変更できるか検討した文書
 札幌市役所戸籍住民課長会議で、同一世帯の同性カップルの続柄について、住民情報課より情報提供があり、意見交換がされた。これによると、同性婚制度がある国から転入した(外国人の)同性夫婦の続柄は、Q&A上、縁故者とすることになっているようだ。また、世帯主を(逆に)変えた場合、「性別は男性も妻として認められたい気持ちの有無等難しい問題がある」という誤解があることもわかった。 

2024(令和6)年6月戸籍住民課長会議概要
資料


5 長崎県大村市の照会を受けて、総務省が各都道府県、政令市に送付した文書

 長崎県大村市からの照会に対する総務省の回答(見解)が、2024(令和6)年7月9日付けの事務連絡として、全国に周知されている。

〇照会内容
 新聞記事に掲載された記事の中で、総務省の担当者によると、「同性パートナーの場合は「同居人」「縁故者」などと書くのが一般的である」と掲載されていますが、今回の大村市が行った、住民票の記載に「夫(未届)」と記載したのは妥当だったのか、誤りだったのかお尋ねしたい。
〇上記照会内容に対する見解
 住民票は、住民基本台帳法に基づき住民の居住関係を公証する唯一の公簿であり、住民票において世帯主との続柄を記載し、公証しているのは、行政サービスの中には世帯を単位として処理するものや世帯主との関係性に基づいて提供するものが存在するからです。
 この考え方に基づき、内縁の夫婦(事実婚)については「法律上の夫婦ではないが準婚として各種の社会保障の面では法律上の夫婦と同じ取扱いを受けている」ことを前提として「夫(未届)、妻(未届)」という続柄が用いられており、当該続柄を記載した住民票の写しは、実務上、そうした社会保障制度の適用を判断するための公証資料として用いられております。
 今回の貴市の取扱いは、「法律上夫婦ではないが準婚として各種の社会保障の面では法律上の夫婦と同じ取扱いを受けている」という前提がない中で、「夫(未届)」という続柄を記載して住民票の写しを交付したものであり、公証資料である住民票の写しを交付する住民基本台帳の運用として実務上問題があります。
 加えて、貴市は、
 ・「夫(未届)と記載したからといって内縁の夫婦(事実婚)を認めたことにはならない
 ・続柄の記載が必ずしも何らかの関係であることを公証するものではない
との見解を示していますが、これらの考え方は、実務上、続柄を含めた住民の居住関係を公証する住民基本台帳法の目的に沿ったものとはいえません。
 また、本年3月26日の最高裁判決において、犯罪被害者等給付金支給制度に関し「遺族」の範囲を定めた規定の「婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあった者」に同性パートナーも含まれ得るとの解釈が示されたところです。この判決は、各種社会保障等に係る他法令の同種の規程の解釈に直接影響を与えるものではないと認識していますが、他法令においてどのように取り扱うのかの検討が行われていることが考えられます。そのような状況において、同性パートナーの続柄を、内縁の夫婦(事実婚)の続柄と同一にすることは、実務を担う各種社会保障の窓口で当該住民票の写しの続柄のみで適用の可否を判断することができなくなり、実務上の支障をきたすおそれがあります。

2024(令和6)年7月9日付け総務省から各都道府県及び各政令指定都市担当部局あての事務連絡
別紙

 
【要望書の提出】

 2024.8.5 13:00 札幌市役所本庁舎2階行政情報課の一室で札幌市からの情報提供を受けた後、住民情報課担当者と担当係長に札幌市長あての要望書「戸籍上同性のパートナーを「妻(未届)」「夫(未届)」として住民票に記載することについて(要望)」を提出。2024年(令和6)年11月20日(必着)として、文書により、理由を付して回答するよう依頼した。
 なお、札幌市男女共同参画室にも要望書(写)を手交してている。

2024(令和6)年8月5日付け札幌市長あての要望書




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