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あの日から突然、シンクに洗い物を溜めない自分になった

心も体も心地よいほうを選びたいと思っている。それを日々に落とし込むきっかけの1つとして今でも覚えているのは、5年ほど前に仕事で取材した、とある経営者の言葉だった。

なんでも、人間にはそれぞれ「視覚、聴覚、体感覚」の大きく3つの優位な部分があり、なにかの目標を達成する時にはその特性にあった方法を取るのが近道、という話だった。目標といっても、なにも仕事や人生で達成したい「大きな目標」には限らない。「例えば、掃除だって同じです」と彼は言う。当時の私は、一人暮らしだった家の中がお世辞にも整っているとは言えない状態だったので、それは聞き捨てならない、と前のめりになった。

その場で行った簡単なテストによると、私は「体感覚」が優位だという。すると「掃除をしなきゃいけないけど、めんどうだなと思う時、綺麗に片付いた状態と、その『心地よい感覚』をイメージしてみてください」と言われた。

その日の夜、さっそく言われた通りに試してみることにした。夕食後のシンクに、乱雑に重なったフライパンや食器類。いつものように「洗うのめんどうだな」という感情が湧いてくる。そこで、「これがすべてすっきりと片付いたら……?」。想像して心身の感覚に注意を向けてみると、急に今のシンクの状態がモヤモヤと心地悪く感じてきて、すぐに取りかかろうと心が決まったのだ。本当に。

その後のわかりやすすぎる変化には自分でも驚くのだが、以来、台所はすぐに、すっきりとした心地よい状態に戻したい、と体が動くようになったのだ。最近では、より心地よい状態を目指して、ついに食洗機も導入した。もちろん、忙しくて疲れ切った時や体の調子が悪い時は食洗機に入れる気力も残っていないのだけど、それも心身の感覚を優先した結果と言えなくもない(と思う)。

ただ、困ったことに仕事部屋のデスクまわりだけは、いつまでたっても片付かないのだ。気を抜くとすぐに資料の本やら書類やらが積み上がって雪崩を起こしそうになる。何度片付けても、すぐに元どおり。これはもう、この乱雑さこそ「自分にとって心地よい状態」なんだと思ってあきらめるしかないのだろうか。

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