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アムステルダム・パリ旅行記 第八回 観光四日目 平穏と不穏の折りたたまれた土曜日
さて、パリ観光1日目はまた例によって、あてもなくブラブラ。まずはパレロワイヤルあたりを散歩。ですが、気づけば今日、土曜だったのですね。お店は軒並み休んでまして、回廊を歩くも界隈は静か。
と思ったら、いきなり「わっ!!」と背後から。
「ヒャー!」とびっくり振り向くと、小学生ぐらいのいたずらっ子達が、こっちを笑って見ながら逃げ去る所。もうー、コラッ!と一応いっときましたが、こっちもびっくりやらおかしいやらで笑ってしまいました。まあ、よかった、子供のいたずら程度で。
パレロワイヤルの広場にある椅子には、詩人たちの言葉が。
「人間の時間は折りたたまれた永遠から成る」かな?「地獄の機械」よりの一節のようですが、読んでません。こうして人生には読みたい宿題が増えるのですが私の時間は折りたたまれた怠惰からできているので、きっと読まずに終わる。
こちらはわたしの大好きな詩、ポール・エリュアールのLibertéのパンチライン。いつかこの詩を題材に絵を描いてみたいな、などと大それた事を思ったりしてるのですが私の時間は(以下略)
ギャルリラファイエットも大体閉まってましたが、私の好きなおもちゃ屋さんはやってたので少しウィンドウショッピング。いつ来てもとてもかわいい。
うちにもこんなこびとと妖精が集う一角がほしい。なごむから。
しかし、せっかく土曜なので、ここは蚤の市でも行った方がいいかな?と思い、メトロに乗ってヴァンブの蚤の市に行ってみる事にしました。ところで、私も、同行の友達も、もう最近は全然そんなに物欲はないのですね(レコードとCDは別)。だから、買い物がしたい、って訳でもなかったんですが、蚤の市の雰囲気は楽しいですよね。
初めて来ましたヴァンブ。結構郊外っぽい感じで、建物もちょっとパリ中心部とは趣が違いますね。
おお、やってるやってる。
しかし、今日は寒い!じっくり見るにはいかんせん寒すぎる感じ。一通り流して、ポストカード屋さんでおじいさんとしばらくおしゃべりして、古いポストカードの説明をしてもらいちょっと買うと、なんだかもうお店に入って温かいものでも…。という気分になりまして、蚤の市を出たあたりのカフェへ。
中にはかわいい猫がいて、さらにはそばの席にいたその猫を可愛がってる常連さん達が、自分達のスマホに撮りためた猫と俺、猫と私の自慢の写真をあれこれ見せてくれたのでした。野菜のスープも暖かくて、すてきなカフェ滞在でした。…トイレを除けば。コインをもらって行くのですが、ああ懐かしの、「空気椅子状態で使う、ザ・パリのカフェトイレクオリティ」の洗礼を受けました。アムステルダムではどこもかしこもきれいだったので油断してましたが、なんか、パリに来たなあ!って感じもしましたね。
さて、昼食後は、メトロでオランジェリーに行こうかと乗ったはいいのですが、途中の駅で電車がなぜか止まってしまい。しばらく待っていたのですが、復旧の見通し立たず、のようなアナウンスが流れ皆どやどや降りだしまして、わたしたちも降りる事に。何が起こっているのかは分からないのですが、ちょっぴり不穏。運悪くこの駅からはいい乗り換えがなくて、モンパルナスまでちょっと歩く事にしました。歩くのは嫌いじゃないけど、なんとも、寒い!
やっとモンパルナス駅、ここからアンバリッドへ。ちょっと午後遅くなってきたので、駅に着いたら急ぎ足でオランジェリーへ。途中、公園の高台からコンコルド広場の方を見ていると、何やら黄色い服の集団と警察が揉めている。
交通整理にしちゃ人が多いし、なんだかものものしいな...なんてのんきな事を考えてたんですが、これが、例のアレだったんですね。この時はまだ全然なんだか分かりませんでした。
騒動を不思議に思いつつ、美術館へ。
オランジェリーの入り口もかなり警備が厳しくて、空港みたいに手荷物検査がありました。
モネの睡蓮の部屋。
やっぱり圧倒的でしたが、最近私は少々目が老眼気味なので、晩年モネが白内障になり、その為か作品がアブストラクト的になって新たな魅力になっていく事にある種の切ない親近感というか、天才は困難をこのような美の境地に昇華していてすばらしいな、でも思うままにならない苛立ちは相当のものだったろうな。などとひとりごちてしまいました。
怒りのジヴェルニー。
わたしも、自分には老眼なんて関係ない、むしろ絶対老眼なんてなるもんか、認めないもんね!と思ってたんですがね。若さというのは傲慢さよ(そして天才と自分をすぐ重ねるこの傲慢さよ)。そう、寄る年波は非情なのであった。わたしはといえば、どーにもこーにも目がしょぼしょぼするので、100円ショップでとりあえず買った老眼鏡でしのいでます。まだちゃんとしたのを誂えるのは早いし、と思い込みたい無駄な抵抗。
さて、他にはマスターピースもいろいろ。
マチスはいつもすてき。
ピカソもいつもすてき。
ルソーがいっぱい見られて嬉しかったですね。ルソー大好き。
やっぱりここが気になる。よね。
企画展ではPaula Rego という作家の展示をしていてなかなか興味深かったです。童話のような作品世界の中に、ちょっと不穏でグロテスクな空気があって、物事の二面性を描いてる感じの作風でした。
こういう、見ていてドキッとする作品というは、とても惹きつけられる部分もあるのですが自分の中で「好きでひっかかってるのか居心地の悪さにひっかかってるのか分からない」みたいなところがありますね。作品の背景などももう少し知りたいと思いました。
ちなみに、その企画展の中で、童話をモチーフにしたアートの流れの一環でホックニーのラプンツェルの絵もありました。
ホックニーはストレートトゥマイハートにいいなあ...と思ってしまいます。やはり好みってあるもんですね。
帰りはメトロでホテルから3駅のSentierまで戻り、ヴィーガン料理店「JANINE loves SUNDAY」に。
(入ったのは夜ですが、行きに通りががりに場所を確認していました)
今回の旅は、私が普段ヴィーガン的な食生活をしてるので、外国のヴィーガン事情も知りたくて、ほとんどのお店でベジタリアンかヴィーガンオプションを選んでいたのですが、一緒に行ってくれた友人はそうではないので付き合ってくれて本当にありがたかったです。ただ、今まで行ったお店には大体両方のオプションがあって、ヨーロッパでのベジタリアン・ヴィーガンの広がりを実感しました。日本もこのぐらいになってくれると私も助かるなー、と思いました。特にパリは、以前行った時はそういうお店はあまりない印象でしたが、今回すごく増えた感じがしましたね。で、このお店は、全部の料理がヴィーガンだったんですが、パスタやピザ、揚げ物など種類豊富な普通のブラッセリーという感じで、料理も美味しく、友人にもとても好評でした。
散らかっててアレですが。
お客さんもおしゃれな若者が多くて、店員さんもフレンドリー、お店の雰囲気も活気があって感じがよいのでおすすめです。ちょっとなんとなく風邪気味かも、という感じがしてきたところだったので、スパイシーなホットワインがすごくおいしく感じましたね。
ホテルに戻ってテレビを何の気なしにテレビを付けると、どうやら分かってきました。電車が止まってたり、広場で見たアレは、ジレ・ジョーヌの一連のデモ行動とその影響だったのですね。番組ではひっきりなしにこの問題について賛成反対議論が行われて白熱してるようでしたが、そこまで聞き取れる語学力は残念ながらなく、権利闘争の行方も気になるし、自分的にも今後の日程に影響あるかなあ…という事もちょっぴり心配になりました。思い起こせば私、はるか昔に地下鉄サリン事件の日にパリに旅行で来ていて、しかも食あたりで寝込んでいた事がありました。しかしあの頃の「一体何が起こってるのかさっぱりわからん!」という不安に比べれば、今はネットで状況確認がすぐ出来て格段の安心感ですね。とはいえ、ジレジョーヌの影響がどのぐらいか、把握はできませんので不安ではありますけども。さて、明日は早い。なんにしても早く寝ようっと、というわけですぐに就寝しました。