マガジンのカバー画像

ちいさな詩たち🌜

36
詩をつらつらと投稿しています💭※写真は「Pixabay」さんというサイトから使わせていただいています。
運営しているクリエイター

#つぶやき

🕊️2024.9.10🕊️ 欲しかった本を買うとき。それはまるでお守りを買うときのような、宝物をお出迎えするときのような、そしてまるでその本がわたしを救ってくれるような。そんな気持ちになる。その一冊に込められた願いや祈りを一粒でもとり零さないように大事に抱えながら連れて帰ってゆく。

部屋の明かりを消してキャンドルにそっと火を灯す。枕元にはお気に入りの詩集。ふわふわのふとんにくるまりながらページをひらくと、キャンドルの炎とともに言葉もゆらゆらと揺れていた。それはそう、まるで水面に映る月のように。暖かい光とやわらかな言葉に守られながら、今夜もまた素敵な夢をみる。

ねえ、この世界では、枕についた涙の跡は消えないんだ。どんなに洗っても、どんなにこすっても、ずっとずっとそこに跡を残し続けるんだ。だからほら。いつかのきみと一緒に目を閉じる夜も、なんだかムードがあっていいんじゃないかな。

懐かしい香りに、懐かしい音色、懐かしい景色。それに、長いまつ毛。それらをもう一度すべて揃えられたら、あのころのわたしに戻って、またあなたと同じ空間にいられるのかな。黒鍵を撫でる長い指に見惚れながら、お互い他愛もない話をした時間に。…なんて考えてしまうわたしはきっとおばかさんだね。