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人生が変わった旅があるとするならば

人生が変わった旅があるとするならば、私の場合は7年前のこの季節。
カンボジアの学校で映画を上映し、それを観ている子ども達を見た旅だ。

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カンボジアに旅立つ前は、日常と絶望の間のような場所にいて、カンボジアで子ども達に会ったら、彼らに映画を上映したら、何かが変わるのではないかと信じていた。

とても自分勝手に、ひとすじの希望を賭けたような旅だった。

子ども達の笑顔を浴びて、アンコールワットで朝日を浴びて、トゥクトゥクで滑走し風を浴びて、バックグラウンドも年齢も違う仲間達と、遅れてやってきた青春を謳歌したような旅が終わり、心地良い疲れと共に成田空港に着いたとき、絶望している暇などなくなっていた。

やりたいことややらねばいけないことでいっぱいで、とにかく駆けだしたくて仕方なかった。

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あの旅はいつからか「子ども達に映画を届けるスタディツアー」となって、私がぼんやりしている間にも、仕事ができるしっかり者のメンバーと、株式会社ピース・イン・ツアーの皆さまが、学生から社会人まで多くの方をカンボジア映画配達人の旅に送りだしてくださっている。


ツアーに参加された映画館の仕事をしている方は、ツアー参加から4年経ち、本社に栄転になった今も、「あの旅で、自分の仕事の意義がわかった気がするんです」と言ってくださっている。

ミニシアター巡りが趣味だった大学生の青年は、ミニシアターの片隅で、ツアーのチラシを見つけた。
ツアーに参加して心打たれたという彼は、メンバーとして団体に参加して、団体運営の酸いも甘いも経験し、あれから3年経って、
来年、念願の映画会社に就職する。

映画と旅は似ていると言われることがある。
きっと終わったあとに少しだけ、心が豊かになっているところとか。
時には人生が変わるきっかけになることもあるところとか。

子ども達に映画を届ける旅に出た人の、人生もまたどうか、より良いものになりますように。


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教来石小織
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