「わたしを大切にするサポート」性教育講師・セルフラブコーチ おおとめなつこさん
性教育講師・セルフラブコーチのおおとめなつこさんにインタビューしました。北海道北見市在住で、現在高校生と中学生のお子さまがいらっしゃるなつこさん。「自分を大切にしたい女性のサポートを」と活動され、たくさんの方の心のよりどころとなり、大人気の先生です。ご自身のこれまでの経験や、これから届けていきたい想いをお伺いしました。
体と心の自己肯定感を育む
ー受講生さんたちからも大人気のなつこさん。現在ご提供されているサービスを教えていただけますでしょうか。
「性教育講座」「自己肯定感を育む講座」「女性のためのメンタルサポート」「ママのためのお茶会」を開催しています。北海道北見市での開催や、オンラインでもご受講いただいています。
性教育「1DAY講座」はこれまでママたちだけでなく、保育士さんなど子どもたちに関わるお仕事をされている方も多数受講してくださっています。家庭でできる性教育や日本の性教育の現状を学ぶことができ、ママも子どもも自分を大切にできるようになる講座です。自己肯定感講師でもあるので性教育と自己肯定感との関わりもお話させていただいておりご好評いただいています。
「継続講座」は3ヶ月の講座で、性教育についてより深く学ぶことができます。これまでご受講いただいた方々にこのような効果や変化がありました。
①子どものためにと学び始めた講座でしたが、自分を癒すことができた。過去の自分を振り返り、思春期に感じていたことなどを思い出し、戸惑ったことやこうされたかったなという思いに気づき、自分自身が癒されていった。
②子どもを見守ることができるようになった。それまでは子どもの行動や言動にすぐ反応してしまっていたけれど、知識がつくことで子どもを信じて見守ることができるようになった。
③子どもからの性の質問にも自分の言葉で答えられるようになった。それまでは子どもから性のことを聞かれてもなんて答えれば良いのか迷ってしまったり戸惑ってしまうことがあったけれど、自分の中に学んだことが落とし込まれていて、自分の言葉で答えられるようになっていった。
④パートナーとの関係性が良くなった。人との関係性や男性の体と心を学ぶことで、こういうことを感じているかもしれないとパートナーの気持ちに立つことができるようになったり、思いやりを持つことができるようになった。
⑤相談できる受けとめてもらえる場所ができた。他では話すことができない話ができて、どんな話も受け止めてもらえる場所があることが日々の安心感にも繋がった。
このような変化を講座生さんたちに実感していただいています。講師である私自身も性教育を学ぶことで同じように変化を実感してきました。
"わたしを大切にするサポートを"きっかけとなったこと
ーなつこさんが今の活動をするようになったきっかけはありますか。
実は育児中に不安症、過呼吸やパニックの症状が出るように。仕事もしていたので、仕事と家事と育児とすべてをがんばり過ぎていたと思います。その頃から本を読んだりして心のあり方を学ぶようになりました。どの学びや本にも「自分を大切にすることが大事」と書かれていてはっとしました。それまでは自分を後回しにしてしまっていたけれど、それから少しずつ自己犠牲や自己否定、完璧主義などをやめていけるようになりました。「自分ががんばらなきゃ!」から「できる時にできることを」がモットーとなって、ダメな自分も少しずつ認め、自己受容ができるようになっていきました。
自分を大切にあつかうようになることで、まわりのことももっと大切に愛おしく思えるようになりました。人のためにがんばる前に、まずは自分が先なんだと実感して、自分を尊重すればするほど他者も尊重できるようになると気づくことができました。そして、自分と同じように悩んでいる人がたくさんいるのではないかと思いました。まずは自分を大切にして良いということが広まっていけば、みんな生きやすくなるのではと確信しました。
それから、仕事をしながらでも、誰かと会った時も、顔で笑って心で泣いていないかな?と今悩んでいる人を気にかけるようになりました。悩んでいそうだったり、気になる点がある時は、あとでメールをしたり手紙を書いて勇気づけをしてきました。その時にいただいた感謝の言葉や手紙を、今でも大切にとってあります。
日々続けているうちに、これはもう自分の本能だと思いました。そして以前私が心身不調だった時、同僚であったり、音楽であったり、言葉であったり、たくさんのことに救ってもらいました。その時の恩を返していきたいという思いから恩送りをすると決めました。恩返しは1対1のやり取りですが、恩送りは1対多数の人に自分が受けた恩を渡すことができます。
メンタルトレーナー、自己肯定感カウンセラー、HSPカウンセラーの資格を取得し、資格取得後も仕事をしながら夜、カウンセリングの実践的な練習を仲間と重ねていきました。それまでは会社員としてフルタイムで働いていましたが、子どもとの時間をもっと大切にしながら自分の知識と経験を活かして対人支援を行いたい、そして私を必要としてくれる人は他にもたくさんいるのではないかと感じ、退職を決意!起業し、現在に至ります。
活動の原点は高校生の時から
ー悩んでいる人を救いたいという気持ちはいつ頃からありましたか?
高校生の時に「困難はそれを乗り越えられる人だけにやってくる」という言葉に出会いました。『勇気をくれた このひとこと』という本の中にあった言葉です。悩むことが多かった高校時代、この言葉に何度も救われました。
言葉でこんなにも救われたり勇気をもらえるんだと実感し、その頃からまわりで悩んでいる人がいたら、その人に合う言葉を見つけて贈ってきました。今思えば、当時から悩んでいる人や困っている人へ新たな視点探しや、勇気づけを行ったりとカウンセリングをしていたのだなと思います。
高校を卒業して就職先を考える際には「人の心を軽くするお仕事がしたい」と思っていたのですが、母から、やりたいことがあるならば働いてお金を貯めながら勉強する方法もあると言われ地元の企業に就職しました。そこで働く中で、公私ともにさまざまな経験を積むことができました。どんなに辛い経験をした時でも今は辛いけれど同じような経験をしている人の気持ちがわかる自分になることができている、とマイナスもプラスの力に変えてきたと感じています。
今は「困難は乗り越えるばかりではなく、別の道を探すこともできる」とも思っています。これまでのさまざまな経験があったから、今この活動が出来ている。今までのすべてのことに意味があると実感しています。
勇気を積み重ねることができるようになったその理由
ー行動力と勇気のあるなつこさん。そのきっかけはありますか。
一時期は外に出かけることができないほど不安症がありました。そんな私が変わるきっかけがありました。それはもともと大好きだった沖縄のバンドHYが、北海道に来ることになりそのライブに行ったことなんです。北見市から札幌まで移動も不安でしたが、夫から後押しと付き添いもしてもらってライブに行くことができたんです。音楽だけでなく、人柄にも魅力されて帰ってきました。それまでは不安が頭の中でいっぱいでした。でもそれ以来音楽を聞いたり夢中になることが見つかることで、不安感が少しずつ減っていきました。翌年には1人で沖縄までファンクラブのイベントに行くこともできるようになったんです。勇気を振り絞って沖縄まで行ったことで想像以上に楽しい時間を過ごすことができ、また全国各地にHYファンの友達ができたりとたくさんの喜びと感動を味わうことができました。
勇気を出した先に味わうことができるもの、送り出してくれた家族への感謝、自分の好きを大切にすることで心が元気になることなど、HYと出会えてからたくさんのことを実感することができました。この経験が今の活動にもたくさんいかされていて、勇気を出して行動し続ける自分でいることができています。
性教育との出会い
ーなつこさんが性教育講座を学ぼう、そして教えていきたいと思ったきっかけはありますか。
ある日子どもから「お母さんから生まれたのに、どうしてお父さんに似ているの?」という質問がきて、なんと答えていいかわからないという出来事がありそのことがずっと気になっていました。日本の性教育が世界から見ても遅れていることを知り、これはまず自分が学ばなければ!と思ったことがきっかけです。
性教育を学ぶと、私が大切にしている「どの人も大切」という価値観がたくさん詰まっていました。「包括的性教育」という言葉もここで初めて知りました。包括的性教育とは、日本でイメージされる性教育とは違い、人権がベースにありウェルビーイングを目的とした幅広いテーマを包括的に扱う教育です。
3ヶ月かけて包括的性教育を学び感じたのは、包括的性教育が日本でもあれば、この社会にある問題をどれほど減らせるだろうかということです。これまで多くの人の悩みを聞いてきたからこそ、その悩みを解決する鍵も、そもそも悩みに至らないようにもできるマインドの形成や関わり方も、包括的性教育にはある。日本人の自己肯定感が低い原因は様々あるが、包括的性教育が取り入れられていないことも大きく関係していると強く感じていました。
自分が学び我が子に実践するだけでは、足りないと思いました。みんなが知っている必要がある。自分も包括的性教育を伝えていきたい、伝えていかなきゃと思いました。
北海道の上士幌町で助産院をされているマミー助産院の渡辺雅美さんから性教育講師養成講座を学び、2023年秋に性教育の講師としての活動をスタートしました。
“わたしも大切、あなたも大切”が広がっていくように
ー性教育を受講されているお客さまから、どんなお声やご感想をいただきますか。
これまでご受講いただいた方々からこのようなご感想をいただいています。
「自分が自分を認めてあげれば、自然と子どもの自己肯定感も上がって、自分も他の人も大切にできる親子になれると思った」
「子どものことの前に自分をもっと大切にしよう、褒めてあげようと思った」
「性教育というと構えてしまうところがありましたが、自分を大事に思う気持ちが根底にあれば性のことも自分で選択できるとわかった。」
「とっても大切なことに気づくことができた。大変わかりやすくここでしか聞くことのできない内容だった。自己肯定感があっての性教育だと再認識できた。」
など、みなさまがご自身を大切にできるようになっていく変化を感じていただいています。
自分がこういう関わり方をすると相手はどうだろう、どう感じるだろうか、自分がされたらどう感じるだろうかと考えることができる。どうやったらお互い心地良い関係でいられるかや、それぞれに大切にしている価値観があることも。お互いを尊重することにも繋がる。ちゃんと知るからこそ、自分も相手もどうやって守っていこうか考えることができます。
それを小さい時から積み重ねていくことができる学びだと思います。お互いNOな部分があること、大切にしていることがあること、性教育を通してあなたはそう思うんだね、私はこう思うよとお互いを大切に尊重していくことを積み重ねることができる。一部の人だけが知っているのでは意味がなく、一人ひとりが知る必要がある。だから広めていきたいです。性教育を学ぶと「私も大切、あなたも大切」が広がっていく。そして社会も変わっていくと思います。
これからの夢
ー性教育や自己肯定感を中心に現在セルフラブコーチとして活動をされているなつこさん。今後の夢はありますか。
「性教育」と「セルフラブ+自己実現のサポート」をこれからもしていきたいと思っています。「自分を大切にできる、自分と仲良くできる人を増やす」ことがミッションで、セルフラブを広めることのできるスクールを作りたいというビジョンもあります。セルフラブ、自分を大切にして生きるという大きな傘の中に、自己肯定感や性教育、メンタルサポートなどの学びがある。グリーフケアも学んでいるので、赤ちゃんからお年寄りまでの「生きる」に寄り添っていきたいです。
ーセルフラブコーチとしてこれからも伝えていきたいことがありましたらぜひ教えてください。
セルフラブとは自愛、自らその身を大切にすること、そして自己受容はありのままの自分を認め、受け入れることです。私たちは自分を大切にしていいと教わってきていなくて、常に他者を大切にするように教わってきました。自分の気持ちよりまわりへの配慮、自分は後回しでも他者を助ける。そしてありのままの自分では認められなくて、もっともっとがんばるように教えられてきたと思います。そんな教えが今、多くの人の悩みや生きづらさのもとになっていると感じます。誰かのために自分を犠牲にしすぎていたり、自分はまだまだ十分じゃないとがんばりすぎていたり。以前の私もそうでした。
でも今は違います。自分の体も心も感情も自分だけの大切なもの。自分が自分のことを一番よく知って守る。自分が自分を尊重し、どんな自分もこれが自分なんだと認める。それが心からできれば他者を尊重することができ、自分もまわりも大切にすることに繋がると実感しています。
まず、自分。すぐには難しいかもしれませんが、少しずつセルフラブができる人が増えれば社会は優しく生きやすくなると信じています。
高校生と中学生のお母さんでもありたくさんの方々の心のよりどころとなっていらっしゃるなつこさん。インタビューいかがでしたか。ご自身の経験や変化、そして活動への想いを伺うことができました。オンラインでもご受講できます。ぜひ連絡してみてくださいね!