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パンやへいらっしゃい 前編
1.しょくぱん
「あっち!」
そう言ったのは、森のおくでパンやをやっている、かおり。
長いスカートがとくちょうです。
よこにいるパンを力づくでこねているのは、わかば。
セミロングのかみのけがとくちょうです。
今、人気のパンはくるみパンです。
「シャリン」
ドアについている、すずがきゃくきたぞ、とつげるかのようになりました。
わかばがパンのたなのほうへいきました。
来ていたのは森にすんでいるまじょ。森の友だちがいがいには、自分のそんざい、まじょだということをかくして、くらしています。
まじょはパンをえらびはじめました。
「これにする。」
そういって、まじょがゆびさしたのは、しょくぱんです、
まじょは、今ぜっさんダイエット中なので、いちばんさとうが入っていなそうなパン、しょくぱんをえらんだのでしょう。
「さとう、あんま入ってないでしょう?」
「うん。さとうはあんま入ってないよ!」
まじょの名前もいちおういっておきます。さえです。
お金をはらい、ふくろにしょくぱんを入れています。
まじょはついてきたあいねこ、まっくろのくろたと帰っていきました。
夜のことです。
夜中におきてしまったわかばが、かおりをおこしているとき、ドアをトントン、いえ、バシバシたたく音がお超えてきました。
こんな夜中なのに。とけいを見るともうごぜん1時になろうとしています。
ドアをわかばがあけると、そこには顔を真っ赤にした、まじょがたっていました。
「ど、どうしたの?」
「この食ぱん!めっちゃあまかったと!さとう入ってるんじゃないの!?」
そういって、まじょは食ぱんがまとめられていたふくろを見せました。
わかばはおっちょこちょいなので、まちがえてしまったのでしょう。
「ご、ご、ごめんなさい!」
「こんどのダイエットつきあってもらうからね。まほうでやるとつかれるんだよ!」
「は、は~い~。」
「じゃ、こんどよろしくね。」
まじょが赤い顔をうすだいだいにもどしながら、帰っていきました。