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フリーランス歴1週間

 会社を退職して、フリーランスになって、1週間が過ぎた。
 少しずつではあるけれど、なんとか仕事をいただくことができて、毎日何かしら「仕事」をしている。

 今のこの生活は、会社員だった時よりも格段にストレスが少ない。
 鉛のように重い身体を引きずって、薬を何種類も飲みながら、目眩や腹痛、頭痛に耐えながら仕事をする必要がないだけで、天国のようなものだと思う。
 好きな時間に好きな場所で、自分で選んだ仕事をするのは、なんて快適なんだろう。

 会社勤めをしていた時、私の手取り月収は約17万円だった。賞与はない。
 地方だとは言え、自分で部屋を借りて水光熱費や通信費を払って暮らしているので、余裕があるとは言い難い。月に数度の飲み会や懇親会があれば、いとも簡単に赤字になる。
 どうにか貯金をしてはいたけれど、それだって十分な額ではなかった。そのまま勤め続けても、昇給はほとんど望めなかった。残業代も支払われておらず、月に100時間近い時間外労働をしても、手当はほとんどつかなかった。
 望んでついた仕事だった。やってみたい事もさまざまあった。けれど、結局やっていることは、トップのやりたい事を実現するための下働きのようなことばかり。そんな待遇が続いていくにつれ、「わたしは何のために仕事をしているんだろう」と思うようになった。そうしてやがて、身体を壊した。

 そんな風に働いていた時に比べたら、好きなことを仕事にして、頑張れば頑張るだけ「収入」という形で還元される今は、格段にやり甲斐がある環境だと言える。
 書く事で食べていきたい、という一つの夢を叶えたいいってもいい。

 でも、それでも、不安が拭い去れないのは確かだ。

 全然仕事ができていなかったとしても、とりあえず会社に行けば、毎月一定の金額の給料を保証するというのは、それが少額であったにしろ、なるほど確かに安心なことだったのだなと思う。
 今はどうにか仕事をもらえてはいるけれど、それが10年・20年と続く保証はない。発注側の都合によっては、ある時突然打ち切られる事も、ないわけではない。一つのミスも許されない、というわけではないけれど、それでも、何が仕事を失う原因になるかはわからない。

 仕事がなくなったらどうしよう。
 お金がなくなったらどうしよう。
 収入がなくなったらどうしよう。

 フリーランスでやっていく、ということはそういう不安と常に隣り合わせだという事だ。現に今、資金繰りが楽だとは言い難い。
 もちろん、そういったことも織り込み済みで退職したので、特段不満ではない。だけど、改めて「自分の力だけで戦っていく」という事の不安定さと難しさを実感している。

 これから私はどうなっていくんだろう。
 1ヶ月後、半年後、1年後、5年後、10年後。
 ちゃんとやっていけるのだろうか。

 いつか、こんな毎日も良い思い出だったと、笑える日がくればいい。

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瀬奈サヲリ
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