呪いのコストパフォーマンス

呪いのコストについて以前話しましたが、もう少し詳しく説明します。
例えば、皆さんが旅先でどうしても酒を飲みたくなり、近くの歓楽街に向かったとします。
酒が飲みたい、と強く思っているところ、
知らない人から「ここの店にいい酒ありますよ」と声をかけられたとします。

何も考えずについていきたくなりますが、痛い目に遭う可能性がありますね。
店に欲しい酒がないかもしれませんし、ぼったくりに遭うかもしれません。
逆に、大当たりの店かもしれません。
店に入る前に商品と値段を確認する知性があれば、危険を多少は回避できるかもしれませんね。

また、飲んだ酒の支払いをしないといけません。
酒は自分だけが楽しむものなので、他の人は代わりに払ってくれません。
飲み逃げをしたり、無断で他の人に払わせたりすることが許される場所は、まずないでしょう。
あったとしたら、そこの社会秩序は崩壊しているはずです。

呪いはこの例え話の酒に相当します。
多くの呪いは自分の利益のためにするものなので、自分で対価を払う必要があります。
呪いの対価の相場は、見知らぬ土地の酒の相場と同様に、素人にはわかりません。
信頼できる者が近くにいれば教えてもらえるのですが、多くの方にはそのような縁はないでしょう。

原理もわからずに、非効率的な呪いをすると、同じ結果を得るために必要な対価は大きくなります。
そのため、穴二つとか言われているわけです。
極端な話、全てを失うことになれば、その失ったものを対価に、強い呪いがかけられます。

呪いを代行する者もいますが、その世界で生き延びている者は対価を依頼者に払わせています。
対価を呪いの対象者に払わせる、いわばタダで呪いを仕掛けることが許される例はないわけではありませんが、
公益のために必要だと私たちの社会のコンセンサスが得られている、例外的な場合だけです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?