沙織の忘れられない恋について2
知り合って、17年にも及ぶ。
その間、サイレントに似た音信不通は何度かあった。
お互い、既婚者だったり、相手だけ、既婚者だったり、
私たちの先輩が沙織に惚れ、
男同士の飲み会で、沙織の取り合いなのか、
譲り合いなのかが行われていた。
そんな障害もあった。
感情の揺さぶりは山ほどあった。
執着なのか、未練なのか、愛なのか・・・
憎い、と思ったこともある。
何度も告白されているのに、付き合ってもらえない…
相手の気持ちが抑えられなくなった時に
告白するだけで、逃げられた。
二度目にフラれたときだろうか・・・
大泣きして、食事ものどを通らず、眠れず…
でも、友人たちからは「羨ましい。」と言われた。
そうか?!これは、【羨ましい】ことなんだ?と立ち直った。
憎いと思ったこともある。
愛の反対は無関心だから、憎しみもまた、愛…
記憶を消す消しゴムがほしい。
でも、消したら、また、同じことになるから、イヤだ。
そんなことを考えていた。
妻には申し訳ないと思っていた。
【心の不倫】というか、【頭の不倫】というか、
欲に任せての不倫より、タチが悪い。
【プラトニックラブ】って、精神的な結びつきが強いから、イヤだろうな…と思っていた。
とはいえ、身体的な結びつきがない以上、不倫とは言えないのである。
夢の中ですら、彼は抱いてくれなかった。
不倫ですらなかった。
続きます…