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✨ピリカグランプリ✨本選 受賞作品発表!!
さあ、いよいよ本選の発表です!
審査途中、ほんとに胃が痛くなるほどでした。いい作品とは何か。考え続けた日々でした。
しかし!心を鬼にし、私情を捨てて我々が選んだ方たちは、こちら!
🏆️特賞🏆️(さわきゆり賞)
賞金3000円サポート+
ピリカの個性学鑑定(希望されなくても可)!
🏆️講評(さわき ゆり)
ショートショートはその短さから、気軽に書けそうに見えますが、実は小説の中で、最も難しいジャンルだと、私は思っています。
小説である以上「物語が始まり、広がって、終わりを迎える」という流れは、原稿用紙3枚でも、300枚でも同じです。
しかし、300枚なら、いくらでもエピソードや情景を詰められますが、たった3枚では、すぐに埋まってしまいますので、ごく限られた素材しか織り込めません。
従って、本当に良いショートショートには、高いレベルの「何を書くかの判断力」「短く表現する文章力」が求められるのではないでしょうか。
今回の「ピリカ☆グランプリ」に、たくさんのご応募をありがとうございました。
お寄せいただいた物語の熱量に、審査員一同のほうが感動した、素敵なコンテストになりましたことを、心から感謝申し上げます。
私は、その熱い作品たちの中から、薊さんの『需要と供給』を選ばせていただきました。
「睡眠 高価買取」という、不思議な宣伝文句から始まる物語。売買方法は、店員と主人公の会話により、過不足なく説明されます。
そして、睡眠売買にはまった主人公の喜びが語られた直後の、暗転。
最後には、主人公がどうなり、誰がその睡眠を買っていたのか、その皮肉な結末が、短い会話だけで明かされるのです。
このリズミカルで、流れがはっきりとした物語は、薊さんに高いレベルの「何を書くかの判断力」「短く表現する文章力」がなければ、綴れなかった作品だと思います。
その技術が編み上げた、不思議な物語には、私を引き寄せる強い魅力がありました。
とても面白く、私自身の創作活動においても、素晴らしい教科書となりました本作へ、拍手に代えて、特賞を贈らせていただきます。
❇️shino賞❇️ 1000円サポート
❇️講評(shino)
私は、幼いころ就寝時によく「羊数え」をしていた。
「羊が1匹、羊が2匹、羊が3匹・・・」
私の脳みそを右から左に渡る羊は、1匹ずつのときと、1匹、2匹、3匹と都度増えるときがあった。
増える場合は、空はそのうち羊で満タンになる。満員電車並みの羊がぞろぞろと渡る。
そんな幼年時の「羊数え」を今回、見事に再現してくださったのが、穂音さんだ。
眠れない穂音さん、幼い頃の私と同じ「羊数え問題」に直面。
そして、眠れなくなる。
とき同じく、私は私の妄想に入る。
羊たちは「寺子屋・穂音」の黒板の上を、マグネットになってめくるめくのだ。
A little bit 高飛車 taste 穂音 teacher による「英語」「算数」「数Ⅰ」「社会」。
授業終了。あれ?やけに表が騒々しい。揺れる。
あらん、寺子屋の運動場は、羊だらけ! こわっ。
もうこの世界観、最高です!
私の文章を読むときの癖は、文字列が直結で映像に切り替わること。
別の言葉でいえば「瑞々しい映像にならない文章は理解に苦しむ」。
羊・教室・先生の姿・口調・イントネーションまで、私はリアルに想像できる。
行替えもほぼなく、畳み掛ける単語、数字、記号の羅列。
絶妙な句読点の打ち方。
生意気な口語調。
キリリと締める体言止め。
外務省ページへのリンク貼り。
それらの方法を駆使した、圧巻な作品。私は大好きです。
このような作品を、どうもありがとう、穂音さん。
最後に「私も数学、き・ら・い!」
「村上春樹はお好きです」(今回のはハルキを越えた笑)
🐦️ピリカ賞🐦️1000円サポート
講評(ピリカ)
miyuma noukoさんの本作を読ませていただいた時、この話が一年後、普通に政府の施策として出ていてもおかしくないな、と思いました。
世の中が微妙にずれはじめている今、このとき。
ありえないよね、と思っていたことが現実化していく過程を経験している現在、あまり違和感のない設定だと思いました。
「私はこの時ちゃんと9時に寝るだろうか?コーヒーが禁止されたらしんどいな。」
などとお話のなかに、
自分を置くことができました。
私は、作品の裏にお人柄が透けて見える作品が好きです。
普通に見せて、ちょっとブラック。
たぶんmiyumaさんも、ご自身の中に「うっすらブラックな感じ」が一部存在していて、上手に乗りこなしてる方なのではないかと想像しました。
アイデアが超奇抜とか、文章がキレッキレ、とか特別に派手な作品ではないけど、静かな存在感がありました。
日常に、ホラーな要素を絶妙にブレンドされている本作を、私ピリカは選ばせていただきました。
ありがとうございました。
🦀カニ賞🦀(1000円サポート)
講評(カニ)
武川蔓緒さんのこの作品を読ませていただいた時に思ったのは、この方は絶対にファッション好きな方だという確信だった。
それと同時に文章から放たれる少し古風な中にピリリと光る個性が、抜群にセンスが良いと思いこの作品を選んだ。
23年種という新しく斬新なスタイルの店員が魅惑的。
『聴き心地のよい、ファルセットの声で言う』
というくだり、店員の声が今にも聞こえてきそうな心地よさ。
『微かながらほんとうに、薔薇があまく香る』
の部分を読めば、本当にブローチからあまい香りが漂いそうで、さらにそんな素敵なブローチがあれば良いなと思った。
この店員は、23年前と46年前も同じ店におり、3つの時代をリミックスしたファッションに身を包む、というアイデア。
百貨店は今、本当に元気がないが、素敵な店員はきっとこうやって時代を超えて愛されると信じたい。
ドラマティックな素晴らしい作品でした。
🐶戌亥賞🐗(1000円サポート)
講評(戌亥)
中三男子の気持ちを丁寧に、そしてまるで律子さんが中三男子なのかと思えるほどリアルに書かれているところに驚きました。
そしてとても読みやすい文章や構成など更に驚きました。
何度読んでも共感しかない。と、ずっと頭の片隅に残る作品。
中三男子、しかもいじめられているわけではないが学校ではぼっち。
みんなとは違う高校へ行って高校デビューしたい気持ち、わかるよ!
この時期の友達作りって難しいよね・・・と自分の中学の頃を思い出し胸がちょっとチクッとしました。
それぐらいリアルな描写に感嘆です。
お母さんに塾をやんわりと勧められ、自分から家庭教師を提案。
あっという間に話が進み家庭教師が来ることになります。
どんな人がくるのか考え始めたらだんだん憂鬱になって、やっぱ辞めたいなとなる。でもそんなこと今更言えない。考えすぎて眠れないとか、共感以外の言葉が見当たらない。
対となる作品【君の瞳に全力で応えると決めた夜】を読んでからこちらの作品を読むと、より一層世界観が広がります。
主人公と家庭教師の関係や心の動き、家庭教師側の気持ちもわかると、主人公に対して、良かったね!!って言ってあげたくなる。
心の中がホワンと温かくなる作品でした。
🐨ねじり賞🐨(1000円サポート)
講評(ねじり)
月山六太さんのこの作品は、私を夢中にさせてくれた。
物語の軸となるねむの木についてよく知らなくても
すぐに興味をもたせてくれる入りだ。
そしてこの物語を読み終える頃には
私の中にしっかりとねむの木は根を張っていた。
月山六太さんの書くねむの木は、本当に人間のようだった。
暗くなると閉じるねむの葉っぱと、夕方に咲くねむの花。
てんでバラバラにも思えるその関係は、なんとも面白い。
また、眠るようにぴったりと閉じる葉っぱは
愛する人との繋がりを感じるさせる姿として
丁寧で美しい文章によって表現されている。
主人公はそのねむの葉っぱを
どんな気持ちで眺めていたのだろうか。
中盤は主人公と「彼」との生活が詳細に語られている。
愛する人と一緒に眠ることができない日々。
始めにねむの木に感情移入した読者は
今度はそのまま主人公にすっと感情を合わせる。
ねむの木と彼との記憶が、主人公に涙させるのだが
胸があれ程苦しくなろうとは。
そんな読者に最後の一文がプレゼントされる。
そしてまさか一緒に咲かないはずのねむの葉っぱとねむの花が…
ねむの葉っぱのように
ふたりが一緒に眠ってほしいと願わずにはいられない
全てが本当に愛おしい作品でした。
月山六太さん。
素晴らしい物語をありがとうございました。
そして、ねむの木よ。ありがとう。
📻️すまスパ賞📻️
500円サポート×4本
🌸講評(さわきゆり)🌸
命を永遠に眠らせる役割を担った、死神の物語。
しかし、この死神は、遺された人々の悲しみに、深く深く傷ついています。
「握りしめた光を空に放ち」命を終わらせる自分自身に、彼が限界を迎えた時、ひとりの女の子が、彼に教えるのです。
人は「たくさんの涙」と「ながーい眠り」を経て、再び綺麗なお花になること。
死神はそれをくれる「眠りの王子」だということ。
そして彼女は「王子がいないと ママお花になれないでしょ?」と、死神を肯定します。
彼女自身のママの光も、かつて、空に放たれたというのに。
そして、その肯定で救われた死神は、手に握る光から「ありがとう」の声を聞くようになりました。
「人は誰もが、傷つきながら生きている」
これは、よく耳にする言葉であり、だからこそ人は「救い」を求めるのだと思います。
「花になれ」は、まるでパステルカラーの水彩画のように、やわらかく美しい表現で描かれた、私たちが探している「救い」そのものではないでしょうか。
世の中が滞り、くすみ、活気を失った現代に染み渡る、あたたかな物語。
ひとりでも多くの方々に、このぬくもりが届くようにと願って、賞を贈らせていただきます。
🌸講評(ピリカ)🌸
まず一読させていただいて、びっくりしました。花丸恵さんが、こんなにビターな作品を書かれるとは!
こんな引き出しもっとんたんや!すげーな!がひとつめの感情。
男性ふたりの仕事のあいまに繰り広げられる会話から、いま彼らがどんな状況にいるのかじわりじわりと、理解できてきます。
この辺の、読者の引き込み方がまたウマイ。
無駄な文など一文もなく、でもしっかり読ませていただける。
「なるほどね!」と膝を叩いてつぶやきたくなるような展開で、上質な怖さを味あわせていただいたあと、
こんな世の中にはなってほしくはないけれど・・
でも、ばれなければ・・フフッ・・あれ?
なんて、ダークな自らの感情が引き出されてきてまたびっくり。
丸恵さんに転がされっぱなし!
でもまた、あのヒタヒタ感を味わいたくて、読んじゃう私でした。
🌸講評(戌亥)🌸
普段エッセイを執筆されている、つる・るるるさんがショートショートを書かれました。
エッセイを拝読している時から、この人はただ者ではないと感じていましたが、今回のお話を読んだらやはりただ者ではありませんでした。
夏休みも残すところあと2日。まだまだ宿題が残っているお姉ちゃんのところに弟の歳三くんが五円玉を握りしめながら、催眠術にかけてあげると無邪気にやってくるところからお話は始まります。
宿題に追われてそれどころではない状況なのに、弟の遊びに付き合ってあげるやさしいお姉ちゃん。催眠術にかかったフリをしたお姉ちゃんの結末に既視感を覚えたり、終始リアルに感じました。
情景が浮かぶ文章、言葉のチョイス、心情、どれをとっても素晴らしく、最後まで淀みなく読めました。
顔を上げると畳から引き離された頬がぺりぺりと鳴って、痛痒い。
畳で眠ったことのある人なら、体験したことあるある、とその光景が目に浮かぶであろうこの一節。素晴らしい。こういう文章が出てくるのは、想像力、表現力ともに豊かな証拠。
初めてのショートショートに挑戦してくださりありがとうございました。
この作品に出会えたことが本当に嬉しい。
これを機にまた作品制作に挑戦していただきたい。わたしは俄然読んでみたい。
🌸講評(ピリカ)🌸
眠りの妖精ネムが、一人の男性にいたずらをしかけるお話。
このネムがチャーミングに書かれているので、お話のなかにすうっと誘導されていく不思議な感覚を味わいました。
ファンタジーは、設定が甘くなると全体がぼやけてしまうものだと思うのですが、
yuca.さんの本作は、きちんとしている上に、「力まず書きましたよ」というラッピングがしてある。
時代劇でいうと(言わなくていいけど)
「おぬし、やるな!」という感じで・・おやおや、急に眠気が・・ネム、私のとこにも来てる?・・ムニャムニャ。
以上、10作品の受賞者のみなさま、おめでとうごさいます!
迅速にサポートの作業も行わせていただきますね!
ほんとにほんとに、ご参加いただきありがとうございました!
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