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ピリカ目線~レモン論争の果て

この夏、みなさんの間に「男女の友情はあるか?なしか?」の論争を巻き起こした作品。それがあやしもさん作「レモン」である。

すまいるスパイスではコッシーさんが熱量高めに話題を展開してくれたので、みなさんの主義主張を聞くことができて楽しかった。

この作品の登場人物のどちらが悪いかは置いといて(笑)私も最近この作品に想いを馳せる出来事があった。
この記事はあやしもさんへのお礼として書く。

実際につきあっていたのは、もうウン十年前、独身時代の短い期間だったが、その後もなにかと腐れ縁で関わってる人がいる。
仕事だったりなんだったりで、数年に一度電話で話したり、立ち話したり。
その程度のつながりである。

だが、先日仕事の用件で連絡をした際、あちらがたまたま話したいタイミングで、ちょっと酔ってたからか、思わず長電話となった。

「昔は楽しかったね、みんなで飲んだとき」
「知ってる?あの人あれから○○したんだよ」
のような、身内の近況報告がある程度終わった後、ふたりが一緒に過ごしていた時の話になった。

「あの頃より腹が出たよ」
「私も白髪が増えたよ」
「なんか、あんたが横にいたらやっぱ楽しかったわ」
「なんのかんのいって、いいコンビだったよね」

もう忘れただろうな、と思ってたことをしっかり覚えてたり、その逆もあり。

彼がいちばん印象に残ってたのは、私が購入した傘のビニール包装(ぴーっ、と点線からはがすやつ)を必要最小限だけはがして、あとはそのまま付けて使っていたこと、だったらしい。

そんな女の子はあんただけだった、と言われた。

たしかに、今もやる。それ。

ひとしきり笑って、家族の愚痴もいいあって、切ろうとすると、切らせないように次の話題を被せてくるその人に、変わらないなあ、と
この「レモン」を思い出した。

家庭もあり、もちろんそこからはみだそうとする気もない。
その渦に飛び込む勢いも、意味もない。

私たちはずいぶん、年をとっていた。
でも、話ながら声はどんどん若さを取り戻していく。
お互いに、あったかい気持ちを抱えていたことはよくわかった。


だいぶ長話したあと、じゃあね、と彼は言った。

そうそう、この電話の切り方が好きだったんだ。ふわっ、と優しい「じゃあね」。

電話を切った後、私は独りごちた。

あやしもさん。
私、あの彼女のこと悪く言えないや。



あ、「レモン論争」流行語大賞狙いますから!


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