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ピリカ目線~優しさってなんだろな
「優しい人がいいですね」
好みのタイプや理想の上司、などの質問でそう発言している方が多いような気がする。
私ももちろんそう思う。
いっしょに何かをするなら物腰が柔らかくて、気配りできて、笑顔で話を聞いてくれる人がいい。
…と、そう思うのだがそれは果たして優しさなのだろうか。
人に気を配れる、ということは素晴らしい。それだけ人を見ていないとできないことだし、先読みの力も必要だ。笑顔で話を聞いてくれる、のも然り。とても大事なスキルである。
しかし、それは私の思う優しさであって、隣の人にとっての優しさではないかもしれない。
という話を今日は書く。
若いころ働いていた会社で、とても苦手な先輩がいた。仕事はできるが感情の上下が激しく、機嫌の悪いときはロッカールームに入ってくる靴音でわかるほど。
その人とペアの支店に配属されたときはもう毎日が苦痛で、気を遣いすぎて胃が痛くなるほどであった。
ただ、この人は仕事には潔かった。機嫌の悪いときは話しかけられても返事もしないけれど、自分のしたミスは隠すことなく謝罪したし、その対応は後輩の私にも同じだった。
でも私の仕事に対して誉めてもくれないし、自分の仕事だけしたらすっ、と帰る人だったので
「早く辞めてくれ」なんて同期と愚痴ってたりもした。
そして。配属されて3年。
全然仲良くなれないまま、私の異動が決まった。
内心小躍りするほど嬉しかった。
やっと離れられる!
次の支店では優しい先輩がいいです。3年地獄でしたよ~、なんてポロッと主任に話したら、逆にたしなめられた。
「ピリカさん、あの人がどれだけピリカさんのことを見ていたかわかる?」
は?と思った。仕事以外では世間話もろくにしてくれず、自分の仕事だけしたらさっさと帰るあの人が?
「あの人、確かにあんまり柔らかい人じゃないけどさ。今までは若手にかなり負担がかかる仕事配分だったんだ。それでかなり人も辞めたしね。ピリカさん、自分の仕事量、いまそんなにきつくないでしょ?」
主任はしっかりと私を見て言った。
「確かに和気あいあい、という雰囲気でないのは良くないけど…あの人、1.5人分くらいの仕事こなしてくれてるよ。そして、ピリカさんに回す仕事も程よくコントロールしてくれてる」
え、と私は目を丸くした。
「僕が見るに、同期より融資分野もピリカさんはかなりできる。この年次で窓口以外をこなせるのは、後々強いよ。量と質をよく考えて回してくれていると思うよ。ピリカさん、ニコニコ笑っておしゃべりするだけが優しさじゃないからね」
頭をがん、と打たれたようだった。
痛いところをつかれたと思う。
ニコニコ笑うだけが優しさじゃない。
早く帰るのは高齢のお母さんがいて、食事を作らなければいけないから、とのことだった。偏頭痛もちで、機嫌の悪い日は体調もきつかったらしい。
先輩に対して全然興味を持ってないのは私のほうだったのだ。
もちろん、気分の上下は出すべきではないと思うが、先輩もぎりぎりのところで頑張ってたんだろうな、と思った。
冒頭に戻る。
それぞれに求める優しさがある。
私は「笑顔で話を聞いてくれるのが優しい人」という思い込みがあった。
でも、人それぞれ優しさのアウトプットはちがう。にこやかに受け入れる優しさ、厳しく指導する優しさ。
遠くから見守る優しさもあるだろう。
それに気づくか気づかないかで、過去の出来事も解釈が違ってくるものだ。
優しく誉められたい人が、「厳しく諭す優しさ」の人に出会っても、それは正しく伝わらない。「嫌なオヤジだったな」で終わるのもまたもったいないではないか。
おたがいに優しさのバリエーションを持てたらいいと思う。
受け取り方も、出し方も。
決めつけないでやってみればいくつものやり方があるのではないだろうか。
世の中は、自分が思うより優しさに溢れている…のかもしれない。
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