2024/11/03 意志の力争奪ミドルスクール決勝 kurofuji(Benzo)vsMasaH(パララクス補充)
kurofujiのリアニメイトは懐かしさ漂うBenzoタイプ。
ミドルスクールのリアニメイトは最序盤に大型クリーチャーを出すというインチキ性はそのままに、釣る呪文についてはレガシーとほとんど同じ性能で動いているという驚きの構造。リアニメイトが(というか《再活性/Reanimate》+《納墓/Entomb》が)いかに完成されたシステムであるかの証左である。
MasaHのパララクス補充も事象の理不尽さで言えばなかなかのものだ。
《パララクスの波/Parallax Wave》《オパール色の輝き/Opalescence》の2種が揃えばほとんどのクリーチャーは生存権を失い、これに《パララクスの潮流/Parallax Tide》が加われば土地ですらも場に残る事は許されない。
多種多様なアーキタイプが活躍するミドルスクールにおいて「限りなく最強に近い」と評される補充デッキだが、ゆえに過剰なマークを受ける事も珍しくない。それほどにパワー・動きの再現性が高いデッキということだ。
珍しくコンボ対決となった今回の決勝戦。
それゆえにハイスピードな展開が予想される。勝つのはどちらのコンボデッキか。
【ROUND:1】
スイスラウンド上位のkurofujiが先攻。
このマッチではリアニメイト側が《パララクスの波/Parallax Wave》を受けないクロックを用意できるか否かが肝になる。
このエンチャントは少し重いもののドロー連打からの素出しや《補充/Replenish》から再現性高めに出現するため、被覆の《マローの魔術師ムルタニ/Multani, Maro-Sorcerer》や、そもそも《土喰い巨獣/Petradon》で減速させて4マナを出させないようにする事が求められる。逆に言えばそれ以外の大型クリーチャーは大きい「だけ」になりがち、役に立たないケースが多いため釣る必要はほとんどない。
補充側はそれらのエンチャントの先置きで一息つきたいところ。手札破壊で抜かれる事を勘定しつつ、それを上回るドロースペルを撃てるかによって変わってくるだろう。
その上で全てをぶち壊す可能性が高いのは《退去の印章/Seal of Removal》。リアニメイトという戦術の都合上クリーチャーが死んでも釣り直せば問題ないのだが、手札に戻ってきてしまうと再度ディスカードする等して対応しなければならない。これがMasaHの切り札となるはずだ。
kurofujiは捨てる要素も釣る要素もなさそうな7枚をマリガンし、6枚でキープ。
《強迫/Duress》で決勝戦の幕を開けた。
《オパール色の輝き/Opalescence》
《パララクスの波/Parallax Wave》
《調律/Attunement》
《大あわての捜索/Frantic Search》
《モックス・ダイアモンド/Mox Diamond》
《平地/Plains》
《溢れかえる岸辺/Flooded Strand》
と公開され、まずは《調律/Attunement》を捨てさせていく。
MasaHは《平地/Plains》セットランドのみで動かず、続けて放たれる《陰謀団式療法/Cabal Therapy》。
kurofujiは《大あわての捜索/Frantic Search》を抜き、同時に《パララクスの潮流/Parallax Tide》を確認する。
返すターンのMasaHは《溢れかえる岸辺/Flooded Strand》のみと少し寂しいが、実はkurofuji側もいまいち攻め手を欠いた状態。
《生き埋め/Buried Alive》から《ゴブリンの太守スクイー/Squee, Goblin Nabob》《Krovikan Horror》《土喰い巨獣/Petradon》と、どちらへも舵を切れるよう準備を進めていく。
相手の事情よりまずは自分の事情だ。祈るようにドローするMasaH、しかし痛恨のランドストップ。
開幕に3マナ域のドロースペルを咎められてしまっているため、もう1マナ増えてもまだ動けない厳しい状況だ。
あろうことか、ここで《再活性/Reanimate》をトップデッキするkurofuji。
《土喰い巨獣/Petradon》が降臨し、MasaHは残しておいたフェッチランドの起動で《島/Island》だけはなんとか確保するが、《平地/Plains》を失いマナスクリュー継続となってしまう。
更に残ったマナから《ゾンビの横行/Zombie Infestation》→先程の戻る2体を捨てて《陰謀団式療法/Cabal Therapy》で《モックス・ダイアモンド/Mox Diamond》を指定とやりたい放題のkurofuji。1ターンで一気に流れが変わってしまった。
ここで《退去の印章/Seal of Removal》ならワンチャンス、といったところでMasaHはまだ動けない。
一方でkurofujiは相手ターンにゾンビを作りつつ攻撃で7点与え王手をかける。
なんとか《島/Island》を引き込んだライフ12のMasaHだったが、正面にはゾンビ3体と《土喰い巨獣/Petradon》で見た目11点分のクロック。
そしてkurofujiの場には《知られざる楽園/Undiscovered Paradise》が。
リアニメイトあるある、5色ランドで火を吹く《土喰い巨獣/Petradon》。
kurofuji 1-0 MasaH
【ROUND:2】
MasaHの先攻でスタート。
7枚キープするMasaHだが、kurofujiは生物なしをマリガン。
続く手札も芳しくなく、
マリガン1回目→土地なし《水蓮の花びら/Lotus Petal》
マリガン2回目→土地なし《水蓮の花びら/Lotus Petal》2枚、中身特になし
と物凄い勢いでマリガンしていくkurofuji。
しかしながらMasaH側はこれでも油断ならない。《沼/Swamp》《納墓/Entomb》《再活性/Reanimate》さえ揃えれば回る、それがリアニメイトの恐ろしいところなのだから。
結局キープした手札は僅か4枚なのだが、中身は
《沼/Swamp》2枚
《納墓/Entomb》
《再活性/Reanimate》
…完璧。マリガンですり減らした甲斐ありというものだ。
まあそれゆえに緊張のみなぎるMasaHの第1ターン、《溢れかえる岸辺/Flooded Strand》。
MasaH「エンドです」
ここで《退去の印章/Seal of Removal》でも来れば心身共に砕け散っていたかもしれないkurofuji、俄然気合のマリガンが活きてきた形だ。
《沼/Swamp》でターンを返す。
MasaHは《アダーカー荒原/Adarkar Wastes》から《巧みな軍略/Strategic Planning》、少し悩みつつも《パララクスの波/Parallax Wave》《真実の信仰者/True Believer》を墓地に送る。
kurofuji、世紀の大チャンス。
エンドの《納墓/Entomb》から《土喰い巨獣/Petradon》、そのまま《再活性/Reanimate》で事実上の開幕王手である。
MasaHのセットランドは《古えの墳墓/Ancient Tomb》。
マナ数こそ確保したものの、色マナ無しも2点もかなり痛い状況だ。
返しの攻撃を受けつつここ一番でなんとかしなければ、というところで2枚目の《古えの墳墓/Ancient Tomb》。さすがに苦笑い。
これはもう…という雰囲気の中、kurofujiはダメ押しの《再活性/Reanimate》で《真実の信仰者/True Believer》すらも奪い取り、見事《土喰い巨獣/Petradon》ビートダウンを完走しきった。
kurofuji 2-0 MasaH