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2024/05/03 意志の力争奪ミドルスクール決勝 スギウラユキ(カウンターオース)vsサイトウユウ(青白Parfait)

スギウラのカウンターオースは《ドルイドの誓い/Oath of Druids》をベースにしたコントロールデッキ。
《ドルイドの誓い/Oath of Druids》は現在ヴィンテージで活躍中であり、レガシーですら禁止されている凶悪なカードだ。
実体を伴うクリーチャーの攻撃は《ドルイドの誓い/Oath of Druids》から導かれる防壁によってほぼ通らず、逆に自身は実体のない《樹上の村/Treetop Village》などで合間を縫って攻撃する攻防一体の構成。
出てくるクリーチャーは《スパイクの飼育係/Spike Feeder》《スパイクの織り手/Spike Weaver》のような「堅い」生物たち。たまに《変異種/Morphling》が出てきて急にゲームがスピードアップしたりする。

ベースは《ガイアの祝福/Gaea's Blessing》でライブラリーをループさせる構成ではあるものの、かつてのエクステンデッドのそれと違いマナベースが弱いため青緑2色にまとめられている。とはいえ弱い点ばかりでもなく《ミシュラの工廠/Mishra's Factory》の追加もあり、《ドルイドの誓い/Oath of Druids》が機能しない相手へのフォロー要素は純粋にパワーアップ。


対するサイトウは青白Parfait
本人曰く「プレモダン(※)から輸入した」とのこと。日本のミドルスクールで言えばかなり珍しい、まったく新しいデッキだとも言える。

※カードプールはミドルスクールに似ているが、禁止カード諸々若干の差異がある非公式フォーマット。現状だと日本ではミドルスクールの方が人気ではあるが、海外だとプレモダンの方が人気(らしい)。

ベースは《土地税/Land Tax》から得られるアドバンテージを《巻物棚/Scroll Rack》で普通のカードに変換していきコントロールする構成。コントロール要素は各種カウンターと《剣を鍬に/Swords to Plowshares》が行う。これら単体では枚数が足りないため、《ガイアの祝福/Gaea's Blessing》で戻し上記アドバンテージエンジンに載せた上で再利用してしまおうというわけだ。
少し触れたが日本では《土地税/Land Tax》系デッキの人気は控えめ、対して海外ではそこそこ人気のアーキタイプ。最近プレモダンで《土地税/Land Tax》が禁止になった事も響いているかもとのことで、この辺りの人気の差も面白い所だろう。

余談だがサイトウといえばANTの化身、最近までミドルスクールでも《最後の審判/Doomsday》にご執心だったが今回はデッキが違うため、必死にストームを稼ぐ姿を見ることはなさそうだ。


注目すべきは両者とも減速を強要するデッキである点。スギウラはクリーチャーの展開を、サイトウは土地の展開を制限する。
引きにもよるが我慢勝負のような展開になるのは想像に難くない。
まあ今回のマッチでは《ドルイドの誓い/Oath of Druids》が機能する可能性は限りなく低く、サイトウ側の後半《自然発生/Spontaneous Generation》に対して貼れれば誘発するかもといった程度。

なお「減速を強要する」という表現には少し語弊がある。正しく書くと「減速してもしなくてもいい、でもしないと酷い事になる(かもしれない)」。
ゆえにアクセルを踏むかどうか、いつ踏むかはプレイヤー依存なのが面白いところだ。内容に期待したい。


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【ROUND:1】

スイスラウンド上位のスギウラが先攻。
お互い7枚の手札をキープすることに。

お前土地1枚多いから俺は3枚探すわはさすがに言いがかりが過ぎると思う(個人の感想)

メインボード・サイドボードを通してサイトウの《土地税/Land Tax》が場に定着するか否かが勝負の分水嶺になりそうだ。
スギウラのカウンターオースは《ドルイドの誓い/Oath of Druids》によるスローダウンの上でミシュラランド各種によるビートダウンを勝ち筋とするため、《ドルイドの誓い/Oath of Druids》がほぼ機能しないこのマッチでは一定数以上のセットランドが必須になる。その枚数は最低限戦う上でもサイトウが必要とするセットランド枚数より遥かに多く、《土地税/Land Tax》がひとたび通れば自動的にサイトウ有利に傾くのは間違いない。
スギウラ側が先攻とはいえ今回のデッキ内に《魔力の乱れ/Force Spike》はなく、1ターン目の《土地税/Land Tax》を切り返しうるのは《意志の力/Force of Will》のみ。その《意志の力/Force of Will》はサイトウ側にもあるわけで、失ったアドバンテージは《土地税/Land Tax》が多分なんとかしてくれるだろう。
そんなわけでお互いが7枚キープしたこの試合、最序盤にこそ見応えがあるような気がする。

…などという事を考えていたら、
スギウラ《フェアリーの集会場/Faerie Conclave》
サイトウ《島/Island》
スギウラ《島/Island》
サイトウ《溢れかえる岸辺/Flooded Strand》
スギウラ《ヤヴィマヤの沿岸/Yavimaya Coast》
と静かなセットランドが続く。上でゴチャゴチャ書いたのはなんだったのか。

一応フォローしておくとサイトウの構成では《モックス・ダイアモンド/Mox Diamond》を含めても白マナ源が多いというわけではなく、最速でなくとも道中に出す形で問題ない…といった具合。
《知られざる楽園/Undiscovered Paradise》《噴出/Gush》で自分の土地が減ることすら普通に起きるので後戻り可能、というわけである。

ともあれカウンター用のマナを準備したスギウラに対し、サイトウは後手3ターン目に仕掛ける。
《知られざる楽園/Undiscovered Paradise》から件の《土地税/Land Tax》を。
これにスギウラは《手練/Sleight of Hand》をコストに《意志の力/Force of Will》。3マナ立たせたままなので、サイトウが立てた2マナの奥に潜むカウンターが《マナ漏出/Mana Leak》であるならスカせる。かなりの好プレイだ。
中身が《マナ漏出/Mana Leak》であったかどうかは定かではないがこれが解決され、場に再び静寂が。

スギウラはターンを得るや否や《巻物棚/Scroll Rack》をキャスト。《意志の力/Force of Will》の使用後ではあるものの手札枚数は恐らくここから増えていく、はず。
サイトウはこれを通し、自身のターンに《モックス・ダイアモンド/Mox Diamond》から《巻物棚/Scroll Rack》を便乗。
スギウラは《巻物棚/Scroll Rack》で調整しつつ、迷ったもののスルー。

お互いに手札操作のツールが揃った所で我慢比べが再開される。

サイトウが手札の総入れ替えを図ったターンの終了時にスギウラは《嘘か真か/Fact or Fiction》で仕掛けるが、これには《マナ漏出/Mana Leak》。
直後のターンにもスギウラは《嘘か真か/Fact or Fiction》→サイトウの《マナ漏出/Mana Leak》と《デジャ・ヴュ/Deja Vu》な展開。
スギウラの仕掛けは続き、今度は呪文でなく《ミシュラの工廠/Mishra's Factory》群で攻撃開始。
サイトウはこれを受け入れる。手札で勝てない分場で勝負をかける算段だ。

…数日前にサイトウがTwitter上に上げていたリストを事前に確認していた自分、ここで脳内にて凄く嫌な予感でざわ…ざわ…し始める。
公開していたリストでは《悟りの教示者/Enlightened Tutor》から導く各デッキへのキラーエンチャントがメインサイドに散らされており、その中でも《基本に帰れ/Back to Basics》はこのマッチにおいて最悪に近いエンチャント、しかもその時はメインボードに入っていたのだ。

これほど出されたら嫌そうな場面も中々ないなあ、などと思っていると。

チョリースwwww

まあ嫌な予感というものは当たってしまいがちなわけで、サイトウが《巻物棚/Scroll Rack》で調整した山の中には《基本に帰れ/Back to Basics》がチラリ。
おまけに手札に保険の《意志の力/Force of Will》すら潜んでいる有様。

青マナを浮かせつつの《噴出/Gush》、そして《基本に帰れ/Back to Basics》。
これにはスギウラもギャラリーも苦笑。通ってしまう。

スギウラは《島/Island》のセットランドで最低2マナだけは立てておき抵抗を試みるが、サイトウはエンドに《悟りの教示者/Enlightened Tutor》で追い討ちを。
《土地税/Land Tax》サーチから自ターンにそのままプレイ。

続くターンからサイトウは「土地をサーチ→《巻物棚/Scroll Rack》で不要分を入れ替えてシャッフル×n」というプレイに徹する。これにより最終的には手札が有効牌(≒対処札)だらけになり負けなくなる、という寸法だ。
その間にもスギウラの土地も少しずつ伸びるが、サイトウの手札のリフレッシュスピードにはとても追い付かない。

サイトウは既にディスカードを検討するレベルになった手札から《浄化の印章/Seal of Cleansing》を放つが、スギウラの《巻物棚/Scroll Rack》には使用せず。
そんな《浄化の印章/Seal of Cleansing》だが前座も前座、サイトウは《モックス・ダイアモンド/Mox Diamond》《謙虚/Humility》とやりたい放題。
何故なら手札が尽きないからである。

そんなサイトウダンスも《自然発生/Spontaneous Generation》に辿り着いた事で終焉、1/1トークンがずらりと並ぶ。クリーチャー警察の《謙虚/Humility》が目を光らせるがこの軍団には影響がないようだ。
《基本に帰れ/Back to Basics》のせいで動きすぎると土地を失うスギウラ。さすがにこれには動かざるを得ず、手札の大半を《巻物棚/Scroll Rack》に叩き込み対処法を探しに行く。

かくて《火薬樽/Powder Keg》を見つけたスギウラだが、

スギウラ《火薬樽/Powder Keg》
サイトウ《対抗呪文/Counterspell》
スギウラ《意志の力/Force of Will》
サイトウ《意志の力/Force of Will》
スギウラ《意志の力/Force of Will》
サイトウ《意志の力/Force of Will》

…と最後の攻防を制したサイトウがまずは1本。

スギウラ 0-1 サイトウ



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スギウラは当然ながら《帰化/Naturalize》を追加。置物を挫きにかかる。
一方サイトウのサイドボードにはコンボデッキやアグロデッキに対する追加カードが多く、このマッチではあまり機能しないようだ。

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【ROUND:2】

互いにマリガンを挟みつつ6枚でスタートし、序盤は1本目と同じく《土地税/Land Tax》なし、土地を並べ合う静かな動き。

先に動いたのは後手3ターン目のサイトウ。
2マナ浮かせて《噴出/Gush》《モックス・ダイアモンド/Mox Diamond》《巻物棚/Scroll Rack》と一気に畳み掛ける。

《黄塵地帯/Dust Bowl》を置くスギウラ。
サイトウの場にはタップ状態の《知られざる楽園/Undiscovered Paradise》が今にも戻りたそうにこちらを見ているが、これを割るべく土地を寝かせると数多の爆弾パーマネントがちらつくため手が出せない。
サイトウはこの間にも《巻物棚/Scroll Rack》で入れ替えを行いつつ、《噴出/Gush》で戻した分を取り返していく。

そうしていくうちにスギウラの土地が7枚に達し、ここからならと判断したか《ミシュラの工廠/Mishra's Factory》が突撃。
サイトウはこれを二度受けつつ土地を二度置いて返すが、三度目の攻撃にはいい加減にしろと《剣を鍬に/Swords to Plowshares》でお叱りを飛ばした上で使った分は《噴出/Gush》で補充。

今度は自分の番だとばかりに《噴出/Gush》で戻した手札を糧に《自然発生/Spontaneous Generation》で切り返すサイトウ。
スギウラは《禁止/Forbid》で防ぐがサイトウは《対抗呪文/Counterspell》で許さない。

このまま1/1トークンの蹂躙が始まるかに見えたが、ここでスギウラは《火薬樽/Powder Keg》!
この即起動がサイトウの《モックス・ダイアモンド/Mox Diamond》をも巻き込んで大爆発。先程までほぼ自由行動だった動きも制限されることに。

このイラストのゴブリン「わしらはどうやって逃げるんで?」的な結末を迎えそう

ならば先を見据えたゲームを。
《ガイアの祝福/Gaea's Blessing》を試みるサイトウ、《意志の力/Force of Will》で返すスギウラ。それを《対抗呪文/Counterspell》するサイトウ、《嘘か真か/Fact or Fiction》を重ねるスギウラ。
この《ガイアの祝福/Gaea's Blessing》に対する謎の手厚い対応の末、結局サイトウが《巻物棚/Scroll Rack》で諸々を入れ替えたのちに手がストップ。
スタックの上から順にスギウラの《嘘か真か/Fact or Fiction》から解決される…のだが、これが
《蓄積した知識/Accumulated Knowledge》
《意志の力/Force of Will》
《対抗呪文/Counterspell》
《帰化/Naturalize》
《ドルイドの誓い/Oath of Druids》

ラーメン二郎トッピング全マシのような内容。

サイトウ「まって、強い強い強いw」

さすがのサイトウも取り乱すが、落ち着きを取り戻し
《蓄積した知識/Accumulated Knowledge》《対抗呪文/Counterspell》
or
《意志の力/Force of Will》《帰化/Naturalize》《ドルイドの誓い/Oath of Druids》
と分け、スギウラは前者を選択。

最終的にスギウラが手に持っていた《意志の力/Force of Will》により《ガイアの祝福/Gaea's Blessing》は成らず、ということでこの攻防は一旦終結した。

スギウラにターンが移り、《蓄積した知識/Accumulated Knowledge》の手札補充から《樹上の村/Treetop Village》アタックでゲーム再開。
サイトウも《ガイアの祝福/Gaea's Blessing》2枚目で再構築にかかるが、すぐに《剣を鍬に/Swords to Plowshares》を用意できずしばらくは《樹上の村/Treetop Village》の独壇場だ。
その間に《巻物棚/Scroll Rack》で総入れ替えを決行したサイトウ。ついに《土地税/Land Tax》を手に入れるがスギウラの《帰化/Naturalize》に即座に叩き壊される。
序盤の《ミシュラの工廠/Mishra's Factory》、そして《樹上の村/Treetop Village》の猛攻も蓄積しサイトウのライフは5。

…とここでサイトウ、スギウラのエンドに《悟りの教示者/Enlightened Tutor》を。この瞬間サイトウ以外の全員冷や汗。

悟った(全員が)

満を持して《基本に帰れ/Back to Basics》のご登場である。
更に《土地税/Land Tax》まで追加し逆転お祭り状態だ。
この時点でカウンターも除去もないスギウラはかなり苦しいが、唯一の救いは現段階で土地がそれほど寝ていない点だ。アタックが全力でなかったこともあり特殊地形はまだ生きている。

ミシュラ系統のカードで唯一生き残った《フェアリーの集会場/Faerie Conclave》が休眠前のラストパンチを刻んだことでサイトウのライフを3とした代わりに、スギウラは現状の場で攻撃できるカードを全て失ってしまう。とはいえ殴れるうちに殴っておくしかない。

ついにサイトウの《土地税/Land Tax》が動き出し《巻物棚/Scroll Rack》の贅沢な入れ替えが発生。《浄化の印章/Seal of Cleansing》を起きつつディスカードまで進む。
スギウラのデッキの中には《基本に帰れ/Back to Basics》環境下で攻撃できるのはアンタップインする《ミシュラの工廠/Mishra's Factory》と《ドルイドの誓い/Oath of Druids》からのサーチ用に入っている数種類のクリーチャーのみ。故にこの《浄化の印章/Seal of Cleansing》だけでもかなり足が止まってしまうと思われる。

スギウラは《ガイアの祝福/Gaea's Blessing》で《帰化/Naturalize》2枚を戻し未来に賭けるが、既に《土地税/Land Tax》+《巻物棚/Scroll Rack》という《Ancestral Recall》自動発生不思議ツールを所持しているサイトウはお構いなし。
《ガイアの祝福/Gaea's Blessing》による回収を挟んだ上でどんどん強くなるサイトウの手札に対し、スギウラは通常ドローで戦わねばならない。
《蓄積した知識/Accumulated Knowledge》は引くもののサイトウの《対抗呪文/Counterspell》に弾かれていく。

《ガイアの祝福/Gaea's Blessing》諸々の回復ターンを終え、サイトウの起きている土地は3枚。
このマナの少ないタイミングに注目したスギウラ。ここを仕掛け時と見たか勝負をかけることに。

《帰化/Naturalize》
《対抗呪文/Counterspell》
《マナ漏出/Mana Leak》
《意志の力/Force of Will》
…と、このゲーム何度目かもわからないカウンター合戦が発生。
最終的に《意志の力/Force of Will》でライフを2まですり減らしたサイトウが《帰化/Naturalize》を射止めた。

スギウラは再び貯金生活がスタート。
一方でサイトウは不労所得を得続けることとなる。

不労所得に待ったをかけるべく、スギウラはさほど時間の立たないうちにもう一度仕掛けることに。
サイトウのエンドに《転覆/Capsize》で《基本に帰れ/Back to Basics》を対処にかかる。
これが通ると当然サイトウの負け、故にサイトウは《対抗呪文/Counterspell》。

この仕掛けこそ成就しなかったものの、スギウラはここしかないとばかりに《変異種/Morphling》!

…だが、サイトウは他の青いカードを持っていない代わりに5マナと《意志の力/Force of Will》を持っていた。

今更ですが賞品です

ここまでの攻防でほとんどのリソースを消費してしまったスギウラ、返すターンの《自然発生/Spontaneous Generation》にはさすがに対処できない。

サイトウは数ターンに渡り手札の調整をしつつトークンで攻撃。
最後まで手札を鉄壁に調整しつつ、ビートダウンを完遂した。


スギウラ 0-2 サイトウ



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優勝はサイトウ ユウ(青白Parfait)!おめでとう!


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