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禅の道(50)正座
禅における「正座」の意義と効果
正座(日本座)は、禅や茶道、華道、武道などの伝統文化において、深い精神性と身体的な整えを象徴する姿勢です。正座は単なる座り方ではなく、心身を一つにする重要な役割を担っています。その意味と効果を、精神面と身体面の両方から掘り下げてみましょう。
1. 精神面での効果
① 心の静まりと集中力の向上
正座は、体を正中線に沿って整えることで、自然と心の安定感を生みます。膝を折り、足を床に密着させる姿勢は、地に根を張るような感覚を生じさせ、気持ちが揺れにくくなる効果があります。この静かな安定感は、坐禅や瞑想における集中力の向上にも繋がります。
② 謙虚さの象徴
正座は、身体を低くし、謙虚な態度を示す所作とされています。特に禅では、「己を低くする」ことが心の清らかさを育てると考えられています。この姿勢を通じて、周囲や自然、あるいは自分自身への敬意を学ぶことができます。
③ 忍耐力の鍛錬
正座中の「足が痺れる」感覚は、現代人にとってしばしば辛い経験と感じられますが、禅ではこれを「耐え忍ぶ心」の鍛錬と捉えます。辛いときほど呼吸に意識を集中させ、心を乱さない姿勢を保つ練習になるのです。
2. 身体面での効果
① 姿勢改善
正座は骨盤を適切に立て、背骨が自然なカーブを描くよう促します。この姿勢は猫背や反り腰を防ぎ、背中全体の筋肉を整える効果があります。禅では「腰を立てる」ことが心身を整える鍵とされていますが、正座がその基本姿勢となります。
② 血液循環の促進
膝を曲げ、足を畳に密着させる正座は、下半身の血流を一時的に制限する効果があります。この圧迫が解放されると、血液の流れが一気に促進され、全身の循環が活発になります。この現象は、足が痺れた後に立ち上がる際に「血流が回復する感覚」として感じられるでしょう。
③ 関節と筋肉の柔軟性向上
正座は膝関節を深く曲げる姿勢であるため、普段あまり動かさない筋肉や靭帯を伸ばします。特に太ももの前側(大腿四頭筋)や足首周りの柔軟性が向上します。これにより、関節の可動域が広がり、怪我の予防や足腰の強化にも繋がります。
④ 自律神経の整え
正座は、自然と深い呼吸を促す姿勢です。座骨が安定し、横隔膜が広がりやすくなるため、腹式呼吸がしやすくなります。これにより、副交感神経が優位になり、リラックス効果やストレスの軽減が期待できます。
3. 健康効果:膝を曲げることの恩恵
正座は膝を曲げる姿勢ですが、この動作には次のような健康効果があります。
膝関節の保護と強化
正座は膝周りの筋肉を適度に使い、安定性を高めます。これにより、関節痛や膝の老化を防ぐ効果が期待されます。リンパの流れの促進
膝の裏にはリンパ節が集中しており、正座による圧迫と解放のリズムがリンパの流れを改善し、デトックス効果をもたらします。脚のむくみ解消
正座後に足を伸ばすと、下肢全体の血流が一気に促進され、むくみが軽減されることがあります。
まとめ
正座は、精神面では心を静め、集中力や忍耐力を育む効果があり、身体面では姿勢改善や血流促進、関節の柔軟性向上など、さまざまな健康効果をもたらします。現代の椅子生活に慣れた私たちにとって正座は馴染みにくいかもしれませんが、禅や日常のひとときに取り入れることで、心身の調和を体験してみてはいかがでしょうか。
畳や床の上で直に正座するのは少々きついかもしれませんが、座布団の上で正座することから始めてみてはいかがでしょう。腰を立てるようにして座ると意外に足が痺れないものです。私は朝課(約40分間)のときには、昔ながらの綿入れ座布団のうえで正座しております。
和式便器や腰をおろしての蹲踞、あるいは正座や坐禅など、ほとんどの方は膝を深く曲げる機会が少ないと思います。近年までは正座が膝に良くないというのが一般的な見解(常識?)でしたし、椅子やソファーの生活に慣れてしまって、正座する日本の伝統が失われていきました。
その反面に、どんどん腰痛や膝の痛みを抱える方が増えてきました。普通の椅子やソファーは、腰にとっても膝にとっても胃腸などの内臓にとっても、決して好ましいスタイルを促しません。ところが最近では「正座が最も理想的である」といった声が多く聞かれるようになりました。
正座や和服など和式伝統文化が見直されています。一日に5分でよろしいので、仏壇や神棚のまえで、静かに正座してみませんか。線香をまっすぐ立てるようにして坐るだけで、こころがまっすぐなるように感じてまいります。じっさい真っ直ぐになります。これが修行の第一歩と存じます。
坐ればわかる。わかると慣れる。
ご覧頂き有難うございます。
念水庵
にゃんすいあん日記20日目
「ビリー」にカメラを向けると逃げてしまいました。
「ここ」はきょとんとしてカメラ目線です。
エアコンは効いているものの床暖房はないので、
断熱ボードを床に敷いています。
出かけるまえに「おとうさん行ってくるね」というと、
どこかさびしそうな表情になります。
(だまって出かければいいものを笑)
かってな思い込みに違いないですが、
あんがい猫にもわかるのかもしれません。
帰ってくると「みゃあ~」と、なきながら寄ってきます。
かわいすぎます。
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