圓窓高座本 第86号        「厩火事」

あの人はホントに私の事好きなのかしら?

まるで恋人のように旦那さんを想うおかみさんが、仲人に相談に行きます。今も昔も変わらない恋の悩み。解決されるのでしょうか。

★★★圓窓師匠の生徒による「厩火事」考察★★★

[厩火事] 噺っ子連・有難亭 真仮名まかな
(2014・12・26)
[厩火事]の髪結いのお崎さんは憧れだ。仕事が出来て七歳年下の亭主がいる。早合点でおっちょこちょい、そして亭主に一途に惚れているお崎さんを可愛いと思うのは演者の自分にそういう要素がないからだろうか・・、少し落ち込んだ。(笑)
ある日の稽古終了後、お崎さんの性格についてメンバーと話す機会があった。そこで意外な感想を聞いた。有難亭は私以外全員男性だ。「お崎さんは俺たちの憧れだ」と異口同音に答えるものだと思っていたら、「だらしない亭主に引っかかったアホな女」という感想を言った人もいてビックリした。
私はお崎さんをそこまでは思わないが、登場人物の性格についていろいろな視点から考えられるので、こうした意見交換はおもしろいと思った。
可愛いお崎さんにしようと頑張ったし、少しはうまく行ったかと思ったが、 しかし「仲人との掛け合いが男同士が喧嘩しているみたいに聞こえる」と言う人もいれば、「粋さが足りない」とも言われた。だが、これが今の自分が出来るお崎さんなのだろう。もっと年齢を重ねて色々な経験を積んだら、可愛いお崎さんになれるかも・・。その時は「真仮名のお崎さんは男の憧れだ」と言わせたい。(笑)
そして亭主の最後の「お前に怪我でもあってみねぇな。遊んでて酒が飲めねぇや」の一言は本心なのか照れなのか、ここも迷った。メンバーからは「本心に決まってるよ」と言われたんで、そうなのか・・男心も美化しているのかも。(笑)
とにもかくにも十年後に自分が演じる[厩火事]に期待したい。
最後に一ついいことも。これまで演じた[お花半七]のお花と[芝浜]の女房が、お崎さんの影響なのか、少し明るく人間らしく演じられるようになったと思う。
落語を稽古しているといろいろな人生を生きられる。これは素晴らしい。
次に稽古する噺は[お見立て]。さて、どんな人になれるかな。

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