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まだまだあるぞ!日本が誇る発酵調味料「酢」と「魚醤」
発酵調味料・発酵食品と聞いて、皆さんは何を思い浮かべますか?
最初に思い浮かべるのは味噌や醤油だと思いますが、冷蔵庫の中を見渡すと、意外とあるものです。キムチ、納豆、ヨーグルト、漬物、お酢(冷蔵庫外?!)などなど。「お酢が?」と思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、れっきとした発酵調味料なのです。原料が米と水なら米酢に、りんご果汁であればフルーティーなりんご酢になります。
酢造りで大事なことは、液体の表面に『菌膜』を発生させること。この菌膜とは何かと言いますと、原料(米・米麹・水)の発酵過程でできる薄い菌の膜です。余りキレイではない川の井樋(とい)に棒切れなんかが引っ掛かって、川面に膜みたいなものが浮いているのを見かけたことはありませんか。ぷくぷくと泡を含んだ感じで薄らと濁った膜。変な表現になってしまいますが、見た目はアレです(お酢屋さんすみません!)。
その菌膜で、空気に接している上から酸素を取込み、下ではデンプンから糖に分解され、糖がアルコールを経て酢の主成分である酢酸に変わり、酸味が生まれるのです。動物の殆どは酸っぱい食べ物を避けるのですが、人間は酸の有益性を学び、調味料として生活の中に取り入れたのでしょう。
伝統的な発酵調味料と言えば、秋田の「しょっつる(塩魚汁)」も有名ですね。最近は物流が良くなって、秋田で朝獲れたハタハタなんかも翌日には九州で食べられるようになりましたが(あまりの美味さに激減して数年間禁漁になったことも)、そのハタハタ鍋に欠かせない調味料がしょっつる。6~7倍に割って、サッと煮たハタハタをつけて食べます。しょっつるはイワシなどの小魚を塩水に漬けて発酵させたもので、その濃い塩分濃度のため、腐敗菌は増殖できません。石川県能登地方で造られているイカを原料にした「いしり(いしる)」も、しょっつると同じ魚醤(ぎょしょう)の一種です。
タイの「ナンプラー」やベトナムの「ニョクマム」など、海外にも同じような発酵調味料があります。以前現地に視察に行ったことがあるのですが、巨大屋外発酵タンクでバンバン製造しており、その需要は相当なものなのだろうと想像しました。お土産に買ったものの、その匂いと塩辛さに使い切ることができませんでしたが。世界にはまだまだ面白い発酵調味料がありそうですね。
さて、次回は、味噌の秘めたる力についてお話させてください。
(2020.4.3公開)