若者のアントレプレナーシップが街を変える~地域と共に歩んだ創業体験Sta-sh 6年間の軌跡~
Sta-shとは?
Sta-sh(スタッシュ)は、地域全体でアントレプレナーシップ教育を実践するプログラムです。2019年に福山市で始まり、行政、教育機関、経営者、起業家が一体となって若者の起業家精神を育む取り組みとして、6年間で250名以上の高校生・大学生が参加してきました。
このプログラムの特徴は、単なる起業家教育にとどまらない、深い地域との結びつきにあります。参加する高校生・大学生は、自分たちが暮らす地域の課題に向き合い、若者ならではの斬新な視点でビジネスプランを考案します。これは、地域の課題を「誰かが解決するもの」から「自分たちが解決できるもの」へと意識を転換させる重要な機会となっています。
持続的な成長サイクル
プログラムの大きな特徴は、参加者が後に運営側として関わる「人材育成の循環」です。OB/OGの学生たちが運営スタッフとして参画することで、自身の経験を次世代に還元し、プログラムは年々進化を続けています。この循環は、若者たちの継続的な成長の機会となるとともに、プログラムの持続可能性を高めています。
エコシステム形成の実績
エコシステムの成長事例
参加者から支援者への成長
Sta-shの特徴的な成果として、プログラム参加者が後に運営側として関わるようになる「参加者の循環」が挙げられます。以下は、Sta-sh05の参加者が06ではサポーター(KO役)として参加した際の感想です:
継続的な学びの場としての価値
プログラムが単なるイベントではなく、継続的な成長の場となっていることを示す声も寄せられています:
エコシステムの持続可能性
参加者が支援者として戻ってくることで、プログラムの質が向上し、新たな参加者への還元が行われる好循環が生まれています:
第三の居場所の創出
Sta-shは、学校や家庭とは異なる「第三の居場所」として機能しています。地域の経営者、行政職員、各分野の専門家など、普段は接する機会の少ない多様な大人たちとの対話を通じて、参加者は新しい視点や価値観に触れます。この経験は:
キャリアの選択肢の広がり
多様な生き方・働き方への理解
社会人としてのロールモデルとの出会い につながっています。
郷土愛の醸成
プログラムを通じた地域との深い関わりは、参加者の郷土愛を自然に育んでいます。具体的には:
地域課題への当事者意識の芽生え
地域の人々との信頼関係の構築
「いつでも帰ってこられる場所がある」という安心感 が生まれ、これらは若者の地元定着や、進学で地域を離れても「帰ってきたい街」という意識の形成につながっています。
地域エコシステムの形成
Sta-shは、単なる教育プログラムを超えて、地域全体で若者を育む場となっています:
行政:政策立案者との対話、まちづくりへの参画機会
企業:地域企業の経営者との直接対話、実務家視点からの助言
教育機関:学校の枠を超えた学びの場の提供
地域社会:多様な世代・立場の人々との交流 これらの要素が有機的に結びつき、持続可能な地域人材育成の基盤となっています。
創業体験を通じた教育
全国から集まる高校生・大学生が参加
2日間で地域課題解決型ビジネスプランを作成
職業選択の幅を広げる機会の提供
実践的なプログラム構成
1日目:創業学習、起業家講演、グループディスカッション
2日目:事業計画作成、プレゼン準備、公開プレゼンテーション
アントレプレナーシップ教育の価値
実践的スキル
地域課題解決型ビジネスプラン作成
プロジェクトマネジメント経験
プレゼンテーション能力の向上
メンタリング効果
現役の経営者・起業家からの直接指導
社会課題への深い理解
実務的な知見の獲得
コミュニティ形成
地域社会との連携
企業とのネットワーク構築
参加者同士の絆形成
キャリア支援
活動証明書の発行
入試・就職活動での活用
ポートフォリオ作成支援
6年間の軌跡
2019年-2020年度:創設期(Sta-sh01-02)
参加者:24名(高校生8名、大学生16名)
特徴:福山市初の本格的な学生向け創業体験プログラム
成果:参加者の一部が地域企業への就職を実現
2021年-2022年度:発展・確立期(Sta-sh03-04)
Sta-sh03:コロナ禍での柔軟な対応とSTUilyの誕生
オンライン展開による継続性確保
高校生の居場所づくりプロジェクト始動
地域課題への具体的アプローチ
Sta-sh04:グローバル展開と具体的な起業実績
国際的な参加者(ネパール、ブルガリア)との交流
学生起業家の実践的成果
せとうちビジネスコンテストで参加者は初受賞
2023-2024年度:進化・拡大期(Sta-sh05・06)
Sta-sh05:学生主体の企画運営と多様な成果
学生による完全自主企画の実現
まちなかアスレチック等の具体的プロジェクト
地域資源の積極的活用
Sta-sh06:テーマの多様化と実践的な提案
社会課題に対する多角的アプローチ
OB/OGの運営参画による循環モデルの確立
より実践的なビジネスプラン策定
コミュニティプログラムの展開
Sta-sh(2019年~)
高校生・大学生向け創業体験プログラム
プレイベント・アフターイベントを含め250名以上が参加
全国各地からの参加者を通じた広域ネットワークの形成
STUily(2021年~)
Sta-sh03をきっかけに誕生した中学生・高校生の居場所づくりプログラム
学校間を超えたサークル活動や生徒会サミットを展開
350名以上の学生が参加し、学校の枠を超えた交流を実現
STUily学生プロジェクトメンバーがSta-shの運営にも参加
せとうちビジネスコンテスト(2022年~)
Sta-shから40名以上の学生が参加
Sta-shで培った経験を活かした実践の場
地域ビジネスへの挑戦機会の創出
コミュニティの持続的発展
Unlimited Youth Fest(2024年~)
OB/OG、メンター、審査員、協賛企業との継続的な関係構築
次世代を担う若者の交流促進
2025年度は3月30日開催予定
独自のエコシステムの特徴
重層的な人材育成
中学生から社会人まで切れ目のない育成環境
参加者が支援者として成長する好循環の形成
世代を超えた学びと交流の実現
多様な連携の実現
教育機関との連携(高校10校以上、大学19校以上)
地域企業との協働
行政との連携体制の構築
継続的な発展
5年間で600名以上の学生が参加
参加者の社会人・メンターとしての回帰
地域に根ざした持続可能なエコシステムの形成
Sta-sh総合実績
参加者総数(2019-2024)
イベント参加学生:250名以上
参加校:高校10校以上、大学19校以上
リクルート実績
Sta-sh01参加者:ベイシス株式会社、有限会社山陽不動産へ就職
Sta-sh03参加者:デニム縫製士として修業後、独立
関連プログラム実績
STUily:350名以上参加
せとうちビジネスコンテスト:40名以上参加
総参加学生数:600名以上
Sta-shへの想い
私たちのSta-sh(スタッシュ)は、あえて「創業体験」というワードを使い続けています。
今、世の中には「スタートアップ」「ベンチャー」「起業」という言葉があふれ、どう稼ぐか、どう成功するかという話ばかりが目立ちます。しかし、本当に大切なのは、その前にある「なぜ」という部分です。誰かのために、地域のために、日本のために、家族のために—困っていることを解決したい、楽にしてあげたいという想い。これこそが、すべての創造の原点になるべきだと私は考えています。
2019年にSta-shを始めてから、すでに6年の歳月が流れました。この間、プレイベントやアフターイベントを含めて250名以上の高校生・大学生・専門学生が参加し、実際に起業した人もいれば、地域活性化のプロジェクトを立ち上げた人もいます。しかし、私たちが最も誇りに思うのは、参加した若者たちが「自分にもできる」という可能性に気づき、地域のことを自分事として考えられるようになったことです。
特に印象的なのは、プログラムを経験した学生たちが、今度は運営側として後輩たちを支援する立場になっていることです。まさに、想いと経験が次の世代へと循環していく—これこそが、私たちが目指していた姿でした。
「創業体験」という言葉には、大きな意味が込められています。必ずしも起業家になる必要はありません。しかし、課題を見つけ、解決策を考え、実行に移すという起業家精神は、人生のあらゆる場面で必要になります。だからこそ私たちは、起業に全く興味がない人にこそ、この体験をしてほしいと考えています。
Sta-shの特徴は、地域の大人たちとの「リアル」な繋がりにあります。学校の先生でも親でもない、第三の大人との出会いは、若者たちの視野を大きく広げます。地域の経営者、行政職員、専門家たち—彼らとの対話を通じて、参加者たちは新しい視点や価値観に触れていきます。
この6年間で、私たちの活動から「高校生の居場所づくりSTUily」や「せとうちビジネスコンテスト」など、新しいプロジェクトが次々と生まれました。これらは、すべて若者たちの「誰かのために何かをしたい」という純粋な想いから始まっています。
世界に通用するイノベーターを育てるためには、まず、創業というものに関心を持つ人の裾野を広げていく必要があります。そして何より大切なのは、その過程で育まれる「人間力」です。応援してもらえる人になるために必要なのは、利益を追求する前に、誰かの役に立ちたいという想いを持つことです。
これからも私たちは、この想いを大切に活動を続けていきます。Sta-shを通じて育まれる体験と繋がりが、必ず未来への懸け橋となると信じています。
地域から、次世代のイノベーターを。
それは、決して夢物語ではありません。
すでに、確かな歩みは始まっています。
具体的な成果事例
まちなかアスレチック
Sta-sh参加者による実践プロジェクト
街中への遊び場設置
コミュニティスペースの創造
STUilyプロジェクト
学生の居場所づくり
中高生主体の運営
大学生によるメンタリング
参加者の起業・就職
地域企業への就職
新規事業の立ち上げ
継続的な地域貢献
未来への展望
プログラムの発展
地理的拡大
他地域への展開
地域間連携の促進
モデルケースとしての確立
内容の深化
テーマの多様化
支援体制の強化
実装支援の充実
社会的インパクト
地域創生
若者の地域定着促進
新規事業の創出
地域の魅力向上
教育モデル
アントレプレナーシップ教育の実践
産学連携の好事例
地域人材育成の基盤
コミュニティの核心:大切なのは継続性・持続性。Unlimited Youth Fest
プログラムの重要な特徴として、Unlimited Youth Fest(無限の可能性を楽しもう)の存在があります。このイベントは単なる同窓会を超えて、Sta-shが目指す「いつでも帰ってこられる場所」を体現する核となる取り組みです。
Unlimited Youth Festの意義
1. 永続的なつながりの場
Sta-sh、STUily、生徒会サミット、せとうちビジネスコンテスト参加者の集いの場
世代や所属を超えた交流の機会
いつでも誰かがいる安心できる居場所
2. 新たな価値の創造拠点
参加者による新企画のプレゼンテーション
仲間との出会いと協働の機会
次のプロジェクト創出の起点
3. コミュニティの持続的発展
定期的な開催による継続的な関係維持
新旧参加者の自然な交流
経験と知見の世代間共有
学び合いから生まれる、新しい街の形
この創業体験プログラムSta-shは、実は双方向の学びの場として機能しています。
若者たちが成長するキャリア教育の場であることはもちろんですが、それ以上に、企業や地域にとっても新たな気づきと価値を発見する機会となっています。学生たちの自由な発想や斬新な視点は、企業のイノベーションの種となり得るのです。
そのため、Sta-shでは2日間のプログラムに企業の若手社員がサブメンターとして参加できる仕組みを用意しています。ここでは、学生の新しい発想や考え方、グループワークの手法から、社会人も多くを学んでいます。年齢や立場を超えて、お互いがフェアな関係で新しい価値を創造していく—これこそが、私たちの目指す「街の新しい形」なのです。
学生の挑戦は、企業や社会人、地域の人たちの挑戦心も刺激します。そして、その相乗効果は地域全体の活力となっていきます。フェアな関係での学び合いと成長。この循環が、若者から選ばれる街づくりの核心となるのです。
Sta-shを通じて、私たちは福山市がそんな街になることを目指しています。一人ひとりの小さな気づきや挑戦が、確実に未来への歩みとなっているのです。
そして今、Sta-shは新たな進化を遂げようとしています。2024年度のSta-sh07では、「なんで?」という素朴な疑問から始まり、実際のプロジェクト始動までを6つのステップで実現する新しいプログラムを展開します。
特筆すべきは、従来の2日間集中型から、半年にわたる継続的な探求と実践のプロセスへと発展したことです。「なんで?」を集めることから始まり、街の探検、ビジネスプランの作成、チーム結成、コンテストへの挑戦、そしてクラウドファンディングまで—参加者は自分のペースで、興味のあるステップから参加することができます。 この新しい取り組みは、まさにSta-shが大切にしてきた「想いからの出発」という理念を、より実践的な形で具現化するものです。「なんか違う」と感じる気持ちや、「何か新しいことを始めたい」という想いが、確実にまちの未来を変えていく—そんな可能性を、私たちは信じています。
Sta-shは、これからも若者たちと共に、新しい価値の創造に挑戦し続けます。
運営体制
企画・運営:Sta-sh実行委員会
プログラム作成:福山ビジネスサポートセンターFuku-Biz
主催:株式会社山陽管理(2019年)
一般社団法人ふくやま社中(2020年-2024年)
*(現在)一般社団法人スタイリィ
一般社団法人ミライゴト(2025年度より)
共催:福山市・公益財団法人ひろしま産業振興機構 創業サポートセンター・福山ビジネスサポートセンターFuku-Biz
特別協力:ソフトバンク(株)