三重奏
私には愛すべき番組がある。若手芸人にありがちな、誰にでも鋭く毒を吐くことが美徳としていた時期を乗り越え、川の中流に漂っている石のように程よく角が取れた時期に出演しはじめた番組である。そこにはベテランのコメンテーター達がそれぞれの個性でいろいろなことを意見する。中でも師匠クラスのトリオがおり、コントのようなやり取りを毎回繰り広げてくれるのだ。ポジション取りはそれぞれ決まっている。
普段の物腰は非常にソフトではありながら、これと決めたら一切引かないという姿勢。時折、笑いながら怒る人のコントをたまに思い出させてくれる教授。
普段は物静かで冷静だが、何かしらのスイッチを押すと爆笑モードになるファッション評論家。
小学生のような純粋な心を持ち、思い立ったら即行動をモットーとしているベテラン内科医。
今日も、それぞれに怒られるか怒られないかのギリギリのラインを見極めるというチキンレースを自らに課しながら、今日も楽しく全力でツッこんでいるのである。
〈掲載…2018年6月25日 週刊粧業〉
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