砂時計が刻む時、体が刻む時。
重力に魂を惹かれるかの様に
粒の揃った砂が時を刻むのを、
真帆は無心に見ているのが好
きだった。砂の最後の一粒
が落ちきって、上下を逆
さにする時、仏教的な
転生 をイメージし
てしまう。そこに
小さな哲学を感
じていた将に
其の時、
「あっ」
真帆は
理想的な括れ
を持つ砂時計の
フォルムと、以前と
は違う現在の自己の
ウェストの括れ状況に
気付いてしまったのだっ
た。その突然の天啓を得た
彼女にとって、砂時計がもた
らした崇高な哲学は、雑誌の3
行広告以下の存在として消去さ
れ、二度と転生する機会を失った。
〈掲載…2008年 掲載物確認中…!〉