【930球目】三陽工業の研磨技術について
=社長ラジオ【4球目】の内容です=
皆さん、お疲れ様です。三陽工業株式会社代表取締役の井上です。
さて、今日もテーマに沿ってお話をしていきたいんですけども。実はね、これ今日は私が喋るより誰か違う人が喋った方がいいんじゃないかっていうところなんですけど(笑)今日のテーマは三陽工業の研磨技術についてです。
本当は坂本さんに話をしてほしいところではあるんですけど、きっと彼は今現場でなんか磨いてるでしょうから、私が代わりに話をさせていただこうと思います。
▼研磨技術のプロローグ
三陽工業の研磨技術、どっから始まったのかっていうともうこれはずいぶんと昔の話にはなりますけれども、Kawasakiのオートバイっていうところからスタートしてます。
いろんなきっかけがありました。いろんなご縁をいただきました。いろんなご縁があって、外で工場を構えて現場の仕事をさせてもらうことになったのが、今から35年ぐらい前の話ですね。そこから少しずつ幅が広がってきて、今では工場の中で研磨をしつつ、表面処理、クリア塗装やメッキまでやってるという状態になってます。オートバイの研磨技術っていうのは、実はすごく奥が深くて、かつメーカーさんによっても様々です。
要求される品質っていうのが非常に高いところにあったんです、Kawasakiさんっていうのは。それが実はすごく良かった。最終的にそこからいろんなところに飛躍をして、今様々なものを磨いています。品質で足りない、不足しているって感じたことは一度もありません。逆にいかにして我々が持ってる要はできることをいかにして下げていきながら、いわゆるコストとの兼ね合い、納期との兼ね合い様々なバランスをとって最適化をしていくかっていうところで、「いや、これはちょっと自分たちには難しいな」って思ったこと、実は一回もないんです。それぐらい高品質を求められる中で、我々の技術というのは鍛えられてきた。
▼大きな転機
なので品質で困ることっていうのは一切ありません。もともと100%オートバイの部品を磨いてたっていう状態からスタートをしています。大きな転機になったのはそこから今も工場でやってますけれども、ガスタービンのブレードを磨き始めたんですね。いきなりガスタービンのブレードが磨けるのかっていうと、決してそんな甘いものではないです。
最初はガスタービンを作っているメーカーさんに、今で言うと森友工場という工場があるんですけど、研磨工場の工場長を連れて行くわけにはいかないんで、工場長を除いた3人の若くて生きのいい研磨職人を引っこ抜いて派遣しました。最初は派遣です。派遣という形で送った私と3人。
2000何年だったっけ?2005年?リーマンショックが2008年なんで2007年だ。2007年5月25日、間違いないはずです。違っていたらごめんなさい。
その日に私と3人の仲間たちで某重工業の門を「せーの」でくぐり抜ける予定だったんですけど、雨降ってたんでそんなこともできず、すっと入っていったっていうのが始まりなんですね。
▼2つの大きな違い
ガスタービンのブレードとオートバイの部品の研磨の大きな違いってなんだっていうと寸法を出していくことなんです。オートバイの部品っていうのは最終仕上げていく中で、基本その公差内に入っている前提で磨いていくんですけど、ガスタービンのブレードっていうのは、プラス公差よりも分厚いものなんかは、実際に削っていく中で交差の中に入れていかないといけないので、今度逆に削りすぎるとマイナス公差外れてしまうと。
1回磨いて1回削ってマイクロメーターで計って、削って測って削って測ってを繰り返していくような仕事も出てきます。私はできる、彼らならできるっていう思いはあった。自信じゃないです、想いです。
彼らができなければ、「もう我々はオートバイ部品以外のガスタービンのブレードの仕事なんかはできないんだ」っていうぐらいの腹のくくりを持って、そこにチャレンジですね。完全にチャレンジをしていきました。
結果的にその時の3人が、1人事情があって辞めてしまったんですけど、残ってる2人っていうのが今、GT製造部において2人とも責任者をやっている。物流の責任者、研磨の責任者っていうのをやってくれてる中心人物です。
そんな彼らを持って、我々は初めてオートバイの部品っていうところからガスタービンのブレードっていう形で幅を広げることができた。そこからその2つで培った技術っていうのを融合しながら、今いろんなものを磨いています。
▼研磨の魅力はここだと思う
びっくりするぐらい多品種になったと思ってるんですね。もちろんオートバイ部品も未だに磨いてますし、ガスタービンもどんどんどんどん磨いてるんですけれども、それ以外の仕事っていうのが非常に増えています。
これすごくいいことで、研磨職人の難しさって決まっていることを決まっている通りにしっかりとやり続ける。これもすごく大事なことなんですけど、一品物の研磨の部品とかってなると、そもそも工法が決まってないんですね。いわゆる工法を設計するっていうところからスタートします。
これ実は答えがないんですよ。答えがない中で、お客様が求める品質とコストを満足させるその工法っていうのを設計していかないといけない。当然素材の良し悪しっていうのもありますし、この素材に対してどういう形でそれを仕上げていくのが一番いいのかっていうことを考えるのが多分めちゃめちゃ面白いんだと思います。
▼坂本さんの凄いところ
なので冒頭でお話をした坂本さんっていうのは、そういうことを考えながら、実際に自分でも磨いたりする。多分すごく楽しいんだろうなと思いますし。彼は私とまあまあ年近いんですけど、18歳ぐらいから研磨をしているのでもう研磨歴が約30年弱と…。
約30年弱研磨をしてても、その研磨に対してはまだまだだって言います。これ多分ね、できる人の共通項なんじゃないでしょうか?何でもできるぜって言ってる人って、多分そこから成長しないと思うんですよね。「まだまだだ」って言ってるから成長していくんだと思います。坂本さんを見ながら若い研磨職人たちは「いやいや、この人がまだまだだっていうんやったら、俺らもまだまだだよなってなるわけですよね。」いい影響がきっとそこにはあるんだと思います。
▼三陽工業の「研磨」
凄く貪欲に、自分自身の研磨の技術を追い求めている。そんな人たちが集まってくれてる三陽工業の研磨工場。根っこにあるのは当然「人」です。その人たちが持っている技術・技能というのをいかにして伸ばす環境をつくることができるのか。いかにしてそういう仲間を増やすことが出来るのか。それが我々の仕事だと思っていますし、今後もそれは伸ばしていきたい。
いま日本の研磨会社は小規模の所が多いですから、どんどん高齢化で廃業して行ってます。「既存の研磨会社が廃業してしまって困っている」というご依頼をよくいただきます。
三陽工業では20代の若い力が研磨をやっていたり、はたまた研磨女子がいたり…。私たちの研磨技術の追求っていうのは、これからももっともっと進化をしていくものだと思ってます。 是非そこにも注目をしていただければと思う次第でございます。
今日はね、入り口冒頭で「お疲れ様です」という言い方をしました。今後はこれを継続していこうと思いますし、最後のワンフレーズというのも、少しこれを継続しながらずっと続けていこうと思います。
本日はこの辺で終わりたいと思います。
ご安全に。
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