見出し画像

【11球目】事業承継

今日は事業承継について書いてみようと思います。
中小企業の事業承継は2つ必要です。

1つは、実務の承継

そしてもう1つが、株式の承継

その2点について、今日は書いていきます。

実務の承継

父親の父親、私から見ると祖父はTHE創業者タイプでした。
私の考えるTHE創業者タイプを一言で言うならば、

わがままだけど魅力的

です。

これもやりたいあれもやりたい。

そんな中で多くの人とのご縁に恵まれて、最終的に三陽工業を創ります。
そして、そこでも縁に恵まれます。

会社のお金を持ち逃げされたり、
人にお金を貸して返ってこなかったり。

でも、入院する前の日まで、ベッドの上で仕事してました。

短い期間でしたが、同じ会社にいれたことは、私にとってとても良い想い出になっています。

そうそう、一度だけ。
私がまだ大学生の頃の話です。

佐賀から1月1日に帰ってくる事が定番になっていました。
そのまま祖父の家を訪れる。

年越しは決まって、ハウステンボスのカウントダウンです。
当時、ハウステンボスは経営不振でしたから、毎年最後になるのではないかと思いながら行っていた記憶があります。
(復活して何よりです)

本当に1回だけ、祖父が新神戸駅まで迎えに来てくれました。

新神戸駅で会うや否や

ご飯まだやろ?

ほぼ徹夜で遊んで帰って来てるので、当然ご飯はまだです。
そのまま二人で、新神戸にある中納言というお店へ行きます。

この中納言新神戸店は、2021年3月28日で閉店だそうです。
会社の新年会をここでやったこともあり、想い出が数多くあるのでさみしい限りです。

この中納言というお店、伊勢海老のコースがメインです。
なので必然的に、2人でいくとコースを2つ頼みます。

コースを2つ頼んだ後に祖父が一言、

【祖父】わしはさっきおせちを食べて来たから、あんまいらんわ

【  私  】えっ!まじでΣ(・□・;)

さすがは20才の私です。

2人分食べましたよ。

わがままだけど魅力的。
そんな人でした。

そして、父親と言えば。
一言でいうと祖父の真逆です。

口数少なくて照れ屋です。
でも、ちょっとした所が、祖父と親子だなと思う時もあります。

口数少なくて照れ屋。
でも真面目で一生懸命です。
職人さんみたいな感じですね。

リーマンショック以降は、実務についてあれこれ言われた記憶はありません。

岐阜営業所が出来て滋賀営業所が出来たころには、完全に実務面での承継は終わっていました。ありがたい。

岐阜営業所は当初、子会社アイコムでしたし、アイコムの社長は私でしたので、それもプラスに働きました。
ちょっとした社長の予行演習です。

製造部でもありがたかった。
元々あった研磨物流の事業も、私が入ってから形を変えました。

研磨のみだった工場で、研磨に加えて塗装メッキも追加されました。
物流についても元々の規模からM&Aを経て何倍もの規模に拡大しました。

そして、その立ち上げ全てに関わることができました。

派遣事業においては、新しいことだらけです。

ですので、承継したというよりは新しいものを創ってきた感じです。
もちろん、元々それがあったからこそできたことですが。

なので実務面については、とてもスムーズに承継が出来ました。

株式の承継

実務面と比べて、株式はスムーズにはいきません。
いつかどこかで行動しなければと思いながら、ズルズルと来ていました。

そして、38期の進行中です。

常に現場での動きを肌で感じていましたので、このままいくと売上・利益がとても大きくなる。
前期は24億程の売上です。

慌てて会長(父親)の部屋に行って、

株式を全部集約させてください

とお願いをしました。

一般的には、ここでひと悶着あるのでしょうけれど、全くそんなこともなく快諾頂き、2人で金融機関等と面談を重ねていき、ベストな状況で全株式を私に集約することが出来ました。

でも思うんです。

父親にとって自分が元気な時に全てを息子に渡すことは、一般的には抵抗があるだろうと。

そんな中で、自分自身よりも三陽工業の未来を考えてくれた。
だからこその行動だったと思っています。

結果、とてもスムーズに株式承継も実行されました。

事業承継者とは

事業承継者って、この日本中にたくさんいらっしゃいます。
私もその1人でした。

事業承継者の強みってなんだろう?

それを考えると、既に経営資源(ヒト・モノ・カネ)があるということです。

先代の番頭が・・・みたいな話も一般的に良くあります。

でも、まずもってあるものに対して愚痴っている時点で、事業承継者としては失格です。

もちろん、引き継ぐより自分で創った方がやりやすい時もあります。

でも創業者のメリット・デメリット、事業承継者のメリット・デメリットを比較したときに、間違いなく事業承継者のメリットが一番大きいです。

本来であれば、時間をかけて築かないといけない信頼がそこにある。
それを十分に使うことができる。

そんな幸せないですよ。

創業者には創業者の大変さがあります。
事業承継者には事業承継者の大変さがあります。

でも、事業承継者の使命は

先代の残してくれた経営資源を基に、自社を発展させること

だと考えています。

決して拡大だけではありません。
内部統制の仕組みを作ることも発展ですし、減収増益であっても、目指すべきものが明確であれば発展です。

一番やってはいけないのが

何もしないこと。

成功の反対は失敗ではありません。

何もしないことです。

本日はこの辺で。

いいなと思ったら応援しよう!

井上社長|三陽工業株式会社
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!