【837球目】大社高校
高校野球のお話です。
以前のnoteにも書きました島根県代表の大社高校。県立高校であり、地元の選手、しかも三陽工業の島根営業所から近いという理由と初戦の相手がプロ注目の投手を有する兵庫県代表の報徳学園。その様な理由で大社高校を応援していますというnoteを書いた後、報徳学園を撃破、その次の試合も勝ち、気づけばベスト8へ進出しています。
昨日はそのベスト8の試合がありました。惜しくも昨日は敗れてしまいましたが、ベスト8を決めた試合で感じたことを書いていきます。
VS早稲田実業・9回裏
8月16日に行われた試合です。私は用事があって移動していたのですが、ラジオで途中経過を聞きながら、最後はバーチャル高校野球を開いて動画で見ていました。お互いにミスもあり、素晴らしいプレーもありましたが、大きな学びをいただいた1戦となりました。
この試合で2つの異なるマネージメントを見せていただきました。簡単に言うと指揮官の思考と行動の違いです。
9回裏大社高校の攻撃。
9回裏開始時には2-1で勝っていた早稲田実業は2-2に追いつかれてなおも、1アウト2・3塁のピンチです。スクイズでも外野フライでもエラーでも1点が入る状況の中で、早稲田実業はレフトを交代させて、ピッチャーの横に置きます。本来であれば投手・捕手を除くと外野手3人、内野手4人の所を外野手2人、内野手5人にしたのです。
外野フライだと1点入る状況ですから、そこは割り切る。それよりもスクイズを含めたボテボテの内野ゴロでは1点をやらない。とても思い切った作戦ですが、これがはまります。その5人目の内野手の前にゴロが飛んで行き、結果としてはダブルプレーで延長戦に突入します。あの当たり、普通のショートの前進守備では1点入っていた気がします。その決断は素晴らしいと思います。そしてそれをやりきった選手達も素晴らしいプレーでした。
VS早稲田実業・11回裏
今の高校野球は延長戦になるとタイブレークという方式になります。ノーアウト1・2塁から攻撃が始まり、点が入る確率が高まります。11回表の早稲田実業の攻撃を0点で抑えた11回裏。1点入るとその時点でサヨナラ勝ちです。その為には、送りバントで1アウト2・3塁を作りたい。
その時に大社高校の監督が選手に伝えた言葉は、『この場面で3塁線にバントを決める自信があるものは手を挙げろ』です。そして、この夏一度も試合に出ていない選手が手を挙げてバッターボックスに向かいます。結果は完璧なバントで自身もセーフになります。その後のセンター前ヒットで大社高校のサヨナラ勝ち。
初戦でもその布石がありました。新聞記者が選手達にインタビューした際に、報徳学園の好投手・今朝丸投手の事前対策をやっていたという情報を聞き、監督にインタビューした際の話です。
記者:『今朝丸投手の対策をやっていたと聞いていますが、具体的にはどの
ような対策だったのですか?』
大社の監督:『それは知りません。選手同士でやっていたことでしょう』
この選手達の能動的な思考と行動。片方で、指揮官としての責任感はどうなの?という声も聴こえてきそうですが、選手たちが自ら考えて、行動をするというプロセスは間違いなく成果へと繋がる道です。
昔であれば、指揮官の絶対的な指示がマネジメントの基本でした。答えにすぐ辿り着くことができたからです。現代では、自分達で考える、行動する、そしてそこに誘導することが大切だと言われています。多様性と言われる時代、答えに辿り着くことが難しいからです。現場で能動的に思考して行動するから修正も容易になります。
私たちも能動的な思考と行動ができる集団を目指しています。高校野球を見ながら、改めて学ばせていただきました。ただ、どちらの高校も頑張りましたし、たまたま今回は大社高校に勝利の女神が微笑んでくれた。9回裏の先頭のセカンドゴロ。きっと、早稲田実業のセカンドであれば、100回あの打球が飛んで来ても100回処理ができるはずです。そんな状況でエラーが起きる。それが甲子園なのかなと思っています。
昨日の試合で残念ながら敗れてしまいましたが、この夏を楽しませてくれた島根県の大社高校には感謝です。そして、ここで学んだこと、気づいたことを改めて仕事でも生かしていきます。
本日もありがとうございました。
明日もよろしくお願いします!