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【宣伝会議賞】代表が語る桜風を届けることで描く未来。

「棺のことを考えて、ワクワクしませんか?」

2024年宣伝会議賞の課題の一つとして、三和物産から「桜風」という棺の魅力を伝えるキャッチコピーの募集を開始しました。

この記事では、代表取締役社長 西河誠人氏へのインタビューを通して、桜風を生み育てる土壌としての三和物産や様々な角度から桜風についてお届けします。

特徴だけではなく、桜風が生まれた背景やかけられた思いを感じていただけると幸いです。

三和物産株式会社 代表取締役社長 西河誠人氏

業界にイノベーションを起こしてきた三和物産、よりエンドユーザーを向いた開発を。

ーー葬祭商社という業界に対して多くの人は意識をする機会が少ないと思います。まずは具体的な事業内容について教えてください。

祭壇などの葬儀で使うもの一式や、葬儀を運営するにあたって必要な設備を全て、葬儀会社に販売するという事業を行っております。商品を仕入れて販売するだけではなく、自社で開発もしています。

飛躍したきっかけは、創業者が白木祭壇にデザインを持ち込むような、これまでにないものを作っていこうと始めたことです。棺に布を貼ることも、うちの創業者が考えたと言われています。

要は、業界にイノベーションを起こしてきた会社だと僕らは捉えています。

ですが、会社の規模が大きくなるにつれて、どんどん「商社」っぽくなっていったんです。オリジナルのものを作るというよりも、必要なものを届けるためにたくさんのものを扱うような。そうすると、他の商社との差別化もできないし、三和じゃなくても良いよねと思われてしまうようになっていきました。

そこから、もう一度商品開発に立ち戻ろうと進み始め、オリジナル商品がたくさんできていきました。実は、今回お話しする桜風以外にもかなりの数の商品を展開しています。

ーー直接エンドユーザーと関わる業界ではないものの、温もりや想いが届く商品が多い印象を受けます。

たくさん開発してきた中で、今も販売している商品は、デザインや形が良いだけではなく、それに加えて思いがこもっていたり、優しさや温かみがあったりするものなんです。

ビジネスとしてはBtoBなので、直接のお客様は葬儀社さんです。これまでの私たちは葬儀社さんが求めるものを作ってきました。主力だった祭壇は特に、葬儀社さんが使うものでありアピールするものだったので、そのやり方で良かったんだと思います。

ですが、葬儀で求められることの比重が祭壇から棺へ、形式からより故人に近くなっていくような時代の変化がだんだんと起こってきました。そうなると、一般の方が必要としているものと、葬儀社さんが必要としているものはズレてくるんじゃないかと。

例えば、葬儀社さんが求めているものは、棺をできるだけ軽くして持ち運びできることや少ない種類の棺で効率的に在庫できることだったりします。

そういった業務的な改善ではなく、エンドユーザーに向いた商品開発に意識的に変えていきました。

桜風を通して死生観のリデザインを。新たな問いを世の中に打ち出していきたい。

ーー棺としてのシリーズも多く、棺以外にもたくさんの商品を開発されています。その中で、今回桜風にスポットを当てた背景を教えてください。

桜風が、三和のフラッグシップだと思っているからです。

桜風は今年10周年を迎えましたが、今も伸び続けており、三和を牽引しています。だからこそ、まずはこの桜風をもっとたくさんの方に知ってもらいたいと思ったことが背景の一つです。

もう一つの背景は、棺といえば桜風だというポジションを取りたいこと。おそらく、今「棺といえば?」と聞かれた時、想起するものはありません。

そもそも、どんな棺が良いかという問い自体がないのではないでしょうか。今回の宣伝会議賞に出すことは「棺ってどんなものを思い浮かべますか?」「それぞれの方がどんな死生観を持っていますか?」のような、世の中に対する問いかけでもあります。

桜風を売り出したいというよりも、棺が選べるという考えや、葬儀や死について社会で考えるという選択を世に打ち出していきたいんです。

三和物産オリジナル棺 桜風

ーーそんな桜風の開発が始まった時のことを教えてください。

10年ほど前になりますが、桜風ができました。

当時、棺は中性的なデザインが主流でした。中性的なデザインにしておくと、在庫もそこまで負担にはならないことが理由です。白色のシンプルなものか、色がついていても紫や青。なので、エンドユーザーは価格を基準に棺を選ぶことが一般的でした。

そこに対して私たちは、価格ではなく、故人らしさで棺を選ぶことができるのではないかと考えました。

例えば、お母さんの性格や雰囲気を思い浮かべながら棺を選ぶような。遺族が棺を選ぶという行動に、故人への思いを込められたり、選ぶ理由を付けられるのではないかと考えたんです。

そうして開発が始まった棺が、桜風でした。

最初はお母さん像を日本の美で具現化したものを作りたいと考え、やわらなか曲面の蓋のデザインを考案したり、満開の桜ではなく散り際の桜を表現することで人生の儚さを表現したりしました。

ーー価格帯で選択していた棺を、故人らしさで選ぼうという視点は、業界にとっても大きな変革だったことと思います。

そもそも斬新なデザインであるということに対して、社内外でいろいろな声をいただきました。例えば、曲線のデザインは、棺の上に花を置く風習があるところでは置きづらいと言った意見です。

そうした社内外の評価を変えたのは、エンドユーザーの声でした。入棺体験や展示を通して、ユーザーが「かわいい!」と言ってくれたこと、葬儀会社が初めて棺のことで喜ばれる経験をしたこと。そんな声が原動力になって選ばれるようになっていきました。その応援を頂けていなかったら、普通の商品と同じようなものになっていったのかもしれません。

今でも忘れられない、嬉しいメールをいただいたこともあります。
若くして亡くなった妹の葬儀で、母子家庭で最低限の費用しか出せない中、葬儀屋さんの特別な計らいで桜風の棺をいただいたと。それに対して、素敵な棺を企画、製造されたことを感謝いたしますとわざわざメールを送ってくださったんです。

私たちは、普段直接エンドユーザーと関わることはありません。だから、私たちの会社を探してメールをくださったことに、みんなで泣いて喜びました。

商品を受け入れてもらう以上に、価格ではなく故人らしさで棺を選ぶという意識の変革は難しいと感じています。

身の回りの方を亡くして、急に葬儀について考えなくてはいけない状況になる。選び方も分からないものを選ばないといけない状況に、いきなり故人らしさで棺を選ぶことは難しいのが現実です。棺は選べること、その選び方を知ってもらう必要があるのが現状の課題です。

また、葬儀社さんによって、どのように棺が紹介されているかを私たちが知ることはほぼありません。商品ラインナップに桜風を入れてもらうことはできても、故人らしさで棺を選ぶことを現場の方に理解してもらえない限り、エンドユーザーに桜風を選んでもらうことはできません。

なので、僕らも現場に足を運んで、資料を見せてもらったり、見せ方の改善を一緒にやっていくような動きをしています。そんな時に桜風のキャッチコピーがあれば、葬儀社さんの担当者の方にもスムーズに桜風について伝えられるのになとも思っています。

ーー桜風の魅力はどこにあるとお考えですか?

多くの説明がいらないこと。

ぱっと見てかわいいと思える、普通ではないけど、派手すぎもしない、ちょうど良いデザインが良いと思っています。いろいろな方のお母さん像にハマりやすいような、馴染みやすい色合いやデザインなんだと思います。

ーー桜風のこれからをどう描いているか教えてください。

まずは、「棺といえば桜風」を目指しています。

それだけではなく、死生観をリデザインするところに繋げていければと考えています。

「生まれてきた以上、いつかはみんな死ぬ」という、若い人ほど目を背けがちな事実があります。絶対に考えなければならないことではありませんが、考えることで今を見つめ直せたり、大事にできたりすることがあると思っているからこそ、桜風のような商品を通して問いを投げかけるような存在になりたいんです。

こうした問いかけを持つようになったのは、この業界で働く中で、自分も家族もいつかは死んでしまうという避けられない事実はあるものの、その実感があまりないと気がついたことがきっかけでした。それは社会全体としてもそうだと思っています。

だからこそ、この業界はアップデートされていかないんだと実感しました。いつか自分も家族も死んでしまうという事実を実感する機会も少なければ、葬式自体が形骸化した儀式になってしまっていることも多く、疑問や違和感があっても言い出しづらい。

裏を返せば、この業界はすごく面白いんです。業界自体や葬式に対して暗いイメージやネガティブな認識を社会が共通して持っているからこそ、ギャップを作りやすいんです。そういった理由から、そのギャップを狙うような仕組みや問い直しを三和物産は始めたと考えています。

この業界でもっといろいろなことができることを多くの方に知っていただきたいですし、アップデートの余地があることを社会を巻き込んで発信していきたいです。

共に挑戦できるキャッチコピーを。

ーー最後に、宣伝会議賞に期待していることを教えてください。

業界のイメージにとらわれず、自由な発想でコピーを書いていただきたいです。

お葬式に関わる業界ということで、「これを言うと、非常識かもしれない」と考えられることもあるんじゃないかなと思います。ですが、これからも挑戦していきたいと思っている私たちなので、一緒に新しい常識を作ってやるというようなキャッチコピーをお願いしたいです。

型にはまらない発想を期待しています。

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