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レコーディングの夢 24bit96khzとDSD

 ラックに収まっていたたくさんの機材を処分した。その中にst audioの8ch24bit96khzオーディオインターフェイスがある。20年近く前の機材でUSB接続ではなくPCIバス。使っているチップの良し悪しは別に、10万円程の価格でこの規格の中では安かった。写真にはマイクプリでdbx286が写ってるが組み合わせていたのはFocusriteの8chプリ。これも10万円+だったか。

 私はサヌカイトで楽器を作っていて、今はほとんど石から放たれる音を作る研究に時間を注いでいるが、かつてはレコーディングもコンサートPAもなんでもやっていた。1980年代後半のことでTASCAM33-8と33-2という録音機材でアナログ録音したのが最初。結構使い倒したが、2分の1インチや4分の1インチテープを斜めに切ってスコッチテープでつなぐなんて若い人はやったこともないかなあ。

 デジタルの時代になり自分が買える値段の機材で何枚かのCDをリリースしたが、クオリティの高い高級スタジオでのレコーディングにも参加した。まだハイレゾなんて言葉はなかったが、より高い規格で録音して編集しプレスの前にCDクオリティにするのが主流になってきたから自分もそうしようと思ったのだが、結局ほとんど使わなかった。デスクトップパソコンを現場に持っていくのが面倒だったからか。

 ソニーの乃木坂スタジオで24bit88.2khzで録った曲がmoraのハイレゾ配信とMP3配信の比較音源として使われたりしたので、違いがわかりやすかったのでしょう。嬉しくなかったといえば嘘になります。

TASCAM DS-D98

 私が作るサヌカイト楽器が出す音にはどうしても気になる(私だけだと思う)ネガティブな事があり、それは出てきた音が奥の奥で「ジンジンしてる」事なのです。生でも感じられるのですが録音するともっと感じます。それを無くしたいからすっとずっと精度の高い楽器を目標としているのです。ネガティブを消すような録音が夢。それを納得出来そうなレベルで実現したのがDSD録音。

 自分でレコーディングしたCDは9枚。もうCDの時代ではなくデータですが、優秀なエンジニアの才能と機材にお任せしたほうが結果は良いと自覚しています。気に入ったレコーディングの話を。

 上の写真のレコーダーでの録音ですが、マイクがDidrik de Geer Microphone。美しい大きなマイクです。いつかまたレコーディングで使いたい。 ヴィンテージパーツを使いデリケートながらサヌカイトがまろやかに聴こえる気がした。アナログミキサーStuder962からのDSD録音。しかし一本13000$。これを2本立ててホールで録った。このお金を出せば良い音が買えるのですが、最高だけどなかなか。この時のCDの音が良かったのはビクターのマスタリングルームでK2というシステムによりマスターCDを作らずに量産プレスするというのも理由の一つだと思う。

Didrik de Geer



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