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昔の音楽紹介と現在 サヌカイトライブ / 土取利行

2012年2月29日 MUNE's Wonderstone SANUKITEより

1987年とか88年とか忘れたが 京都先斗町のどこかの路地二階 小さなジャズバーに入った(誰かの紹介かなあ)記憶があやふやになっているが小さなカウンターと壁にはアナログレコード おじさん一人で常連客を相手にしているのか たしか京都大学出身とか(言わないけど話の内容で判った)トランペッターの近藤等則が来るとか何とか(彼も京都大学)そこで聴いたかんかんこんこん打楽器が鳴るレコード 私は当然サヌカイトかなと感じておじさんに訊いてみたら このジャケットのLPが目の前に 土取利行 話には聞いていたが実際その音楽を聴くのは初めて 土取さんは香川県出身の打楽器奏者 フリージャズドラマーとして70年代近藤等則や阿部薫(伝説だあ)坂本龍一などと活動していた

84年の高松でのライブがレコードになり 86年には香川県青の山での演奏(CMで使われた)リマスタリングされたCDが今は手に入りやすい 私たちが開発してきたサヌカイト楽器とは全く違う考え方(宮脇磬子さんのサヌカイト) でも好きな音でもある 日本的仏教的でアフリカングルーブ 自然で風も感じる この楽器はこの音になる気がする 彼はその後 銅鐸や縄文土器壷を叩いたりしていた 1983年に出会って86年まで サヌカイトへの時間は短かったのは何故だろう 高松でのライブのお手伝いをした方から 良い思い出だと言って厚紙にきれいな布を貼ったチケットを頂いた 机の引き出しの中にまだある 1984年4月ヤマハホール2500円 打!サヌカイト

そして現在

土取さんの事は学生時代から知っていた 阿部薫さんとの演奏 坂本龍一とのレコード(ハテルマ) ギラギラしたフリージャズのイメージが強かったが意外にも彼はフリージャズの人たちとは距離を置いていたとインタビューで答えている この映像で宮脇磬子さんのサヌカイトを叩いているが私はこの音が好きだ ゆったりと瀬戸内海の夕陽と霞んだピンク色の風景 縄文人がこんな感じでサヌカイトを叩いていたら嬉しいのにといつも思う そしてヤマシタさんではなく土取さんが前田仁と出会っていたらどうだったか(私たちの作るサヌカイト楽器には興味がないかも)想像する

一度土取さんと会って話がしたいと思って数十年たった 薄くはがれる金山のサヌカイトで板状の楽器を作ってみたい つたで縛って吊って素朴な音色と作り出せたら

土取さんの言葉を思い出す

「子供時代に見たお遍路さんの歌 あの体験がなかったら 私は今こういう音楽をやってない 私はいつも 闇を求めてきた 闇が生きていた時代を知っている 芸能の原点は闇 闇こそが芸術なんです」

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