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70's Rockアルバム 地球空洞説 1975
朝7時半、教室にシンセサイザーの音が流れ出す。私の机の中にすっぽり納まったラジカセから発せられているのは、ファー・イースト・ファミリー・バンド/Far East Family Bandのデビューアルバム「地球空洞説」。学校に一番乗りでやってくる私(勉強が好きだからではなく、汽車の時間の為)は毎日音楽を流して登校してくる受験勉強に疲れた友人たちをねぎらっていた。私は深夜放送の聴きすぎで眠たかったが、がらんとした教室に流れる静かな音楽を机からちょっと離れてぼーっと聴いていた。ラジカセがSONYのCF-2700という名機だったのも良かった。
流せるのは長い時間ではないが、プログレ系インスト曲が多かった気がする。当時は今のようなヒーリング系サウンドはなく選曲は難しかった。で、一番評判が良かったのがこの「地球空洞説」。和の感じとスペイシーなサウンドが心地よかったが、「これから勉強するぞー」ではなかったはず。
ファー・イースト・ファミリー・バンド(FEFB)の事、世界的にこのアルバムが発売されて、ワールドツアーもやったが疲れたようで数年で解散した。私が買ったのもこのアルバムだけ、後にCD化された物も買った。サヌカイトで活動を共にしていた、ツトム・ヤマシタさんとスタッフ達(コスモス・ファクトリーでドラム叩いていた方もいた)で昔のロックの昔話・裏話をするのはとても楽しくて盛り上がった。ヤマシタさんは70年代ロンドンの大スターだったから、このFEFBがツアーに来た時もお世話をしたとか言っていた。細かいことは分からないが翌年クラウシュ・シュルツとFEFBはアルバム「多次元宇宙の旅」を作ったから関係はあったのだろう。(ヤマシタさんはGOでクラウス・シュルツと一緒)
FEFBのメンバーは宮下文夫(Vo.&Gr.)、福島博人(Gr.)、深草彰(Bs.)、高崎静夫(Dr.)、高橋正明(Kb.)、伊藤明(kb.) の6人。宮下さんはその後ヒーリング音楽の第一人者となったが2003年お亡くなりになり、高橋正明はのちに喜多郎としてNHKのシルクロード番組の音楽を担当するようになる。恥ずかしながらこのアルバムから20年近くたって宮下さんが何枚もCDを出されていることを知り購入したり、お亡くなりになった後に元マネージャーだった方と知り合いになった。四人囃子の「一触即発」と共にジャパンプログレ創世記の傑作です。「時代から時代に~」と歌い揺れる彼らのノリは日本人そのもの。レコードは手元もあるし、CDもたまにですが聴きます。