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#1 中年女フィンランド1人旅 ~やったらできるよ冬~
タイトル通り、平凡な中年女がフィンランドを1人で旅してきました。
初日から3日目までは首都ヘルシンキ、3日目の夜に寝台列車でロヴァニエミに移動して、4日目と5日目はロヴァニエミ。5日目の夜に再び寝台列車でヘルシンキに戻り、6日目は昼までヘルシンキで帰国というスケジュールです。
困ることも多々ありましたが、総合的には非常に充実した旅となり、「やればできる」という自信にもなったなと思います。ティモンディ高岸は本当のことを言っていました。
冬のフィンランド1人旅を迷っている人には「絶対に行った方が良い」と心からお勧めできます。
ただ、行く前は非常に不安で仕方が無く、「死ぬかも」と震えあがっており、日が近づくにつれて不安が高まりすぎて「なんで行くことにしたんやろ」と勝手にキレているときすらありました。自分で行くって決めたのに。
不安を少しでも打ち消すため、フィンランドに行く前にnoteやYOUTUBEでいろいろと冬のフィンランド情報を調べていたのですが、そのおかげでスムーズだったり助かったりしたことがたくさんあったため、「私も自分の体験が誰かの役に立つのであれば」と思い、noteに残すことにしました。
タイトルに「やったらできるよ」とつけたのは、「フィンランドに1人で行った」と言うと、「1人旅ができるくらい能力が高い人」と勘違いされることを懸念したからです。
実際、私のことをあまり良く知らない人にこの話をすると、「すごーい!」「1人で海外に行けるんやったら他はもう何でもできるね!」と言われるなどしました。
こちとら職場のタイムカードがまともに切れない女です。考え事をしながらトイレに行くと、トイレを流したどうか覚えていない女です。何でもできるわけが無いのです。
1人旅を迷っている人が「この人でも行けるんだったら私でも行けるんじゃないかな」と背中を押されるような気もちになってもらった良いなと思ってこのタイトルにしました。
逆に、1人旅慣れした人から見ると、私の要領の悪さにイライラするんじゃないかと思われるため、もしイライラした場合はそっとページを閉じてもらえると幸いです。距離を取った方がお互いに幸せでいられます。あなたの幸福を願っています。
覚えている限り、なるべく詳しく旅行のことや良かったこと、困ったこと等を書いていこうと思いますが、記憶違いもあるかと思うので、参考程度に留めておいてもらえると助かります。
あと金額は旅をした当時(2024~2025)のものであるため、物価高騰により値段が変わってくることがあると思います。
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手始めに私のスペックと詳しい旅行日程から。
【スペック】
未婚中年女性。日々衰えを感じている。最近はM字にハゲてきた。
英語は短い文章なら聞き取れることもあるが、長文の聴き取りは単語が何個か分かるくらいで、もはや語学と言うより推理。喋りに至ってはもっと無理。フィンランド旅行は「サンキュー」「イエス」「オッケー」でほぼ乗り切ったと言っても過言では無い。
不注意で落し物が多い。1年に1回は財布を落とす。
初対面の人にいきなり話しかけられると、頭の中が真っ白になり数秒固まるレベルで人見知りをするが、声は無駄にでかい。
汚れには強い。汚いところでも平気でご飯が食べられる。
海外1人旅は今までに2回。冬の台湾、夏のフィンランドと「気候が穏やかで治安の良い国」のみ経験。
ずっと帰宅部だがなぜか体力があり身体が丈夫。ただ、旅行では寝つきが悪くなる。
不安が高く、緊張しやすい。
【詳しい日程】
※12月28日と1月4日は日本時間で記載。その他の日はフィンランド時間。日本との時差は約7時間で日本の方が進んでいる。
2024年12月28日
21時台に羽田空港よりフィンランドに出発。約14時間飛行機に乗る。
12月29日
4時にヘルシンキ国際空港に到着。ヘルシンキまで移動し、チェックイン後ヘルシンキの街を観光。
12月30日
ヘルシンキ2日目。マリメッコアウトレット、ムーミンショップを回る。
12月31日
ヘルシンキ3日目。美術館巡り。21時台の寝台列車に乗り、ロヴァニエミへと北上。
2025年1月1日
10時ちょっと前にロヴァニエミ到着。街を観光。夜は事前に申し込んでいたオーロラツアーへ。
1月2日
ロヴァニエミ2日目。サンタクロースヴィレッジへ。20時台の寝台列車に乗り、ヘルシンキに南下。
1月3日
9時過ぎにヘルシンキに到着。サウナを体験。昼食を食べて13時45分頃ヘルシンキを出発し空港に向かう。14時15分頃空港到着。セキュリティチェック内のムーミンコーヒーへ。その他いろいろなお店でお土産を追加購入した後、17時30分の飛行機にて羽田へと戻る。
この日程って何て言うんですかね?5泊8日?合ってる?
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今回は冬のフィンランドに行ったのですが、一昨年は8月にフィンランドに行きました。
「迷っている方がいるのであれば、冬のフィンランド1人旅は絶対に行った方が良い」との旨を上述しているのにこんなことを言い出すのはどうかと思うのですが、もしこれを読んでいる方が「絶対に冬である必要は無く、季節はいつでも良いが、とにかく1人でフィンランドに行きたい。かつ、苦労は少ない方が良い」と思っているのであれば、夏のフィンランドに行くことをお勧めします。
夏・冬どちらも最高でそれぞれの良いところがありましたが、楽かどうかという点のみを考慮した場合、夏の方が準備も含めて10倍以上楽でした。
以下、夏の良いところを挙げます。
① 防寒の装備にお金がかからない
冬のフィンランドがどれほど寒いのかを経験したことが無かったため、フィンランドに行ったことのある人や雪山登山者の装備を参考に服を選びました。
上から下までいろいろなものを揃えましたが、揃えるのにかかった金額は約19万円です。もう一度言います。約19万円です。1か月余裕で暮らせます。
少しずつ買い集めていったため最初は気づいていなかったのですが、「そう言えばいくらかかったんだろう」と計算してみたところ、1か月の給料くらいの値段が算出され、ちょっと吐きそうになりました。
ただ、それだけお金をかけても、ロヴァニエミに到着するまでは「これでも装備が足りなかったらどうしよう」と気が気じゃなかったです。しかし蓋を開けてみれば「寒すぎて命の危険がある」という状態にはならず、何ならオーバースペック気味のものもあり、現地ではほとんど使わないものも出てくる始末でした。
それと比べて8月には「日本の初夏の服装」を持っていくだけで済みました。週間天気予報を見ても、「17度」とか「20度」とか、日本人にも馴染みがある気温が並んでいるので「旅行の日はこれを着よう」という見通しが立ちます。
冬は「マイナス19度」とか言われても、「マイナス19度に適した服って何のどれ?」と着る服のイメージすらつかない状態でした。
② 荷物が冬の半分以下
①で書いたことにも繋がりますが、冬はとにかく荷物が多くなります。
ヘルシンキだけであればまた変わってくるとは思いますが、真冬に北極圏の街にも行くのであれば、快適に過ごすためには2種類の上着が必要になります。それに加えてニット、フリース、カイロ、手袋、上下インナー…とまだまだ続く怒涛のラインナップ。かさばる服ばっかり。
私は「約29×46×66センチ(コロコロ含まず)」のキャリーケースを持って行ったのですが、冬は日本を出る時点でキャリーケースが満杯でした。案の定、予備のバッグを活用してもお土産が入らなくなり、途中で泣く泣く着古したパジャマと水着を捨てました。
また、お土産が増える度、無駄なスペースが出ないように荷物を綺麗に詰め替える作業が発生するので、異国の地で1人でテトリスをやっている気もちになりました。これが毎回地味に時間と神経を使うため結構大変でした。
それと比べて夏はスーツケースの片方ががら空き。冬の1/2の荷物量で済みました。何も考えずにお土産を詰めてもスペースが余るくらいでした。
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③ ムーミンワールドが空いている
フィンランドにはムーミンワールドというムーミンのテーマパークがあります。ムーミンのキャラクターと触れ合えたり、ショーがあったり、ムーミン谷を再現した建物があったりと、ムーミンオタクにはたまらないものがあります。
日本にもムーミンバレーパークというテーマパークはありますが、そちらよりも会えるキャラクターの数が多く、しかもキャラクターによっては着ぐるみでは無く人が演じています。言ってしまえばコスプレだけれど、それがめちゃくちゃ可愛い。
私が見かけたキャラクターで、(多分)日本におらず、かつ、人が演じていたのは「署長さん」「ロッドユール」「トフスランとビフスラン」「エンマ」「フィリフヨンカ」「トゥーティッキ」がいました。公式サイトを見てみると、他にもいるようです。
ムーミンオタクにとっては、血沸き肉躍る場所なのですが、なんと夏場しか開いていません。その年によって開いている日が変わるのですが概ね6月半ばから8月半ばの間のみ。
ただ、冬にも「スニフとソリをする」という馬鹿みたいに楽しそうなイベントがあったりもしたようですが、調べてもあんまり良くわからない上、1週間程度しか期間が無かったようです。
ムーミンワールドを楽しむとなると夏に行った方が良いと思います。
※私はムーミンオタクなのでテンションがぶち上がりました。ただ、「ムーミンは可愛いと思うしキャラクターに会いたいけど、主要キャラくらいしか知らない」という方であれば、電車とバスで片道4時間程度かかる上に、所用時間は多く見積もっても3.4時間といったところなので止めておいても良いと思います。ムーミンバレーパークが日本であなたを待っています。
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④ 明るい
夏は白夜であるため、21時頃までは明るかった記憶があります。夏の太陽に当たれることが嬉しいようで、たくさんの人たちが夜でも公園にレジャーシートを敷いて日光浴がてらお喋りをしていて、なんだかそれが可愛かったです。
一方で冬は極夜になるため、3~4時間程度しか太陽が出ていません。「太陽に当たることで体内時計がリセットされる」とは良く聞きますが、本当にこの言葉を実感しました。
冬のフィンランド1日目が小雨のため太陽が出ておらず1日中暗かったのですが、その結果、移動してきたばかりで疲れているのにも関わらず3時間程度しか眠れなかったのです。
幸いなことに2日目は晴れ、太陽の光を浴びれましたが、その瞬間に身体が喜んでいるのが分かりました。それに伴い気もちもどんどん上向きになっていく感覚もしてミニオンばりに「ウワァ~!」となりました。日光って本当にすごい。
天候の影響を受けやすい人は注意をした方が良いかもしれません。
⑤ シャワーでも平気
私は風呂大好き人間で、たとえどんなに忙しくても自宅では毎日湯につかりたいのですが、フィンランドの宿には基本シャワーしかありません。バスタブがある宿となると一気に数が絞られます。
夏冬どちらもシャワーのみの宿を取ったのですが、夏と冬で風呂に入れないことへの苦痛度が大幅に違いました。冬は芯から温まれないことが辛く、「風呂入りたいなあ…」というストレスが日が経つにつれじわじわと心にのしかかってくる感じでした。
ただ、冬のフィンランド旅行時、最終日にサウナにいったところそれが大変気持ち良く、「こんなことなら毎日サウナに入れば良かった」とさえ思ったので、サウナが代替品になるかもしれません。
夏の良いところばかりを書いて、アンチ冬みたいになってきたので、今度は冬の良かった点を書こうと思います。
① オーロラが見れる
激強コンテンツです。これだけで100万ポイントくらいあると言っても過言ではありません。
フィンランドは一部がオーロラベルトに入るため、オーロラを見ることができます。時期は11月~3月がベストシーズンだと言われており、夜が長ければ長いほどチャンスが高まるようです。
女神アウロラがその名の由来とのことですが、生で見たオーロラは「そりゃあ女神から名前もつくわ」となるくらい神秘的で美しかったです。
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② 雪がたくさん積もっていて、「異国の地に来たんだ」感がすごい
良いところと言うかもはや個人の感想ですが、旅には「住んでいる地域から出て違う文化や景色に触れることで、非日常を味わったり自分の中のキャパシティが広がる」という面があるように思います。
私は雪がほとんど降らない地域の住人であるため、「氷点下の中、雪道を歩く」という行為自体に、せわしない日常を忘れてリフレッシュしていく感覚を覚えました。ダイアモンドダストらしきものも舞っており、視界がキラキラしていてとっても綺麗。気分は中年プリンセスです。
自分がいる地域とは全く異なる環境でしたが、夜空に浮かぶ星座は日本で見れるものと同じものが見え、「あ、空ってちゃんと繋がっているのかー!!」と思いました。
文字で書くとアホみたいな感想ですが、体幹にしっかりと落ちて来る感想と言いますか、「すごいなあ…!!」とわくわくして気もちが暖かくなるような感覚と共に、心の底から沸いた感想でした。
言語化が下手糞で申し訳ありませんが、そういう感覚は夏よりも冬の方が強かった気がします。
③ サウナの良さが1番出る
夏にフィンランドに行った際は、飛行機に乗る10時間前に顔面からすっころび、右半身に大擦り傷と青あざをこさえてしまったためサウナに入ることができませんでした。そのため自分の中では比較ができないのですが、調べたところによると、どうやらサウナのハイシーズンは冬らしいです。
実際、私が行ったサウナにも「ハイシーズンだから入場を制限しているよ!」みたいなことが書かれた立て看板がありました。
フィンランドのサウナは、外に水風呂が設置されている施設が多く、中には温まった後に外の湖にそのまま飛び込むスタイルの野性味溢れるサウナもあるようです。サウナの高温と水風呂の低温の差が通にはたまらないんでしょうね。
私は外の水風呂には日和って入れなかったのですが、外気浴(と温水プール)だけでもすごく爽快でした。
④ トナカイソリに乗れる
日本の動物園には滅多にいないトナカイですが、サンタクロースヴィレッジにはたくさんいました。そしてトナカイが引いてくれたソリに乗ることができます。(サンタクロースヴィレッジだとコースは短めのようですが、ロヴァニエミの中でも安価で乗れるようです。)
乗る前は「爆速過ぎて荷物が吹っ飛ばされたりしたらどうしよう」と思っていましたが全然そんなことは無く、むしろ携帯片手にぱしゃぱしゃと写真が撮れるほど、ゆったりとしたペースで進んでいきました。たまに走るときはありますが。
ただただトナカイが可愛い。乗っている人間には毛ほども興味が無さそうですが、その感じも愛おしい。
雪が積もっているときしか乗ることができないため、そういった面でもお勧めのアクティビティです。
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次回は、冬のフィンランドに行くまでにした準備について書いていこうと思います。お付き合いいただけるととても嬉しいです。