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AIをデザインに活かす方法 -毎日同じプロンプトを入力して分かったこと-

こんにちは。santas代表の宮崎です。
今回の記事は、以前投稿した『AIは名建築をデザインできるか』の続きです。

AIは名建築をデザインできるか』では、建築家の言葉とデザインの関係を考察するために、ル・コルビュジエが提唱した近代建築の五原則を入力すると、サヴォア邸の画像が生成されるか試してみました。残念ながら、サヴォア邸が生成されることはありませんでしたが、それ以上に興味深い結果が出てきました。

ただ、AIは日々成長しているはずなので、いつかはサヴォア邸の画像を生成してくれるのではないかと期待し、新しい考察をしてみました。今回の記事は、その考察結果を元に、AIが建築デザインに与えてくれることをお伝えします。


考察1:1週間同じプロンプトを入力してみた

AIは日々大量の学習をしているはずなので、人間の指示が変わらずとも、AIが指示者に寄り添ってきてくれるかも?という淡い期待を抱き、近代建築の五原則を毎日プロンプトとして入力しました。結果は以下の通りです。

Prompt:
Pilotis, free planes,free elevations,horizontally continuous windows with free-standing frames,rooftop garden
ピロティ、自由な平面、自由な立面、独立骨組みによる水平連続窓、屋上庭園をdeepLで翻訳

7月14日~20日の変化

結果は、まったくサヴォア邸に近づいておらずガッカリしましたが、木造になったり、ボックスが突き出ていたりと、微細な変化が見られました。この変化は、素材や階層など、基本的に指示していない範囲で起きていて、AIは指示していない内容をどの様に判断しているのかが気になりました。そこで次の考察です。

考察2:建築のトレンドと比較

次の考察は、考察1と同じ期間「建築」「トレンド」と入力して生成された画像との比較です。

左側画像のPrompt:
Pilotis, free planes,free elevations,horizontally continuous windows with free-standing frames,rooftop garden

右側画像のPrompt:
architecture, Trend


7月14日
7月15日
7月16日
7月17日
7月18日
7月19日
7月20日

意外と近しい画像が生成されています。つまり、指示していない内容は、その他大量の画像生成結果やWeb上のトレンドから補完している可能性が高そうです。

結果:AIは言語化したデザインに、言語化されていないデザイン要素をトレンドを加味してリ・デザインしてくれる

少し乱暴な結論ですが、以上の考察からAIは言語化できていないデザイン要素に対して、他で学習した結果を加味して画像を生成してくれる可能性があることが分かりました。これはつまり、自分のデザインが、どうしたら今の流行に合わせらえるかを検証するツールにもなりますし、時代を先行してデザインを考えることが容易になったとも言えそうです。

また、プロンプトを変えずに毎日画像生成すると、その時々の流行が分かり、これを数か月、数年単位で行えば、魅力的なリサーチ結果につながると思います。

余談:未来のトレンドを生成してみた

最後に、未来のトレンドを画像生成してみました。

Prompt:architecture, 2025's trend
Prompt:architecture, 2030's trend
Prompt:architecture, 2035's trend
Prompt:architecture, 2100's trend

どうやら2030年に目掛けて曲線ブームが起こり、35年には積層のブームが起こりそうです。

2100年は、建物も空を飛んでいるのかと思いきや、意外と古典的なデザインが目立ちます。いつの時代も、古典から学ぶ姿勢は変わらないのかもしれません。

■筆者
宮﨑 敦史 / Atsushi Miyazaki
慶應義塾大学大学院修了後、Speac、日建設計、Arupを経て2022年にsantas Inc.を設立。「クリエイティブ」「マネジメント」をコアスキルとして、主に建築・都市における企画、設計、プロジェクトマネジメント業務に従事。さらに、コミュニティ・エンゲージメント活動、環境建築に関する書籍の出版など、幅広く活動中。様々な専門家と協働し、社会に新しい価値を生み出すことを信念としている。

https://santas-inc.jp/


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