競馬愛好家なら読んでおきたいお金の話。

どうもー!さんたろーです。

今回はちょっと真面目な話をしてみたいと思います。ここでする話は、いつもの得意の妄想ではなく現実に起こっている話です。競馬愛好家の皆様にも関わる重要な内容となっておりますので、つまらないなーと思っても最後まで読んで頂ければと思います。

(専門家ではありませんので、一部至らない点があるかもしれませんがご了承ください。)

本記事には価格がついていますが最後まで読めます。参考になった!と思えた方だけで結構ですので、ご購入頂ければ大変励みになります。よろしくお願いします。

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ではさっそく本題に入りますね。

今日は、馬券購入で得た払戻金に対する所得税についてお話します。


ちょっと待ってください!まだ離脱しないで!回収率マイナスだから自分には関係ないわ!と思ったあなたにこそ最後まで読んでもらいたい話です。

これからする話は、回収率マイナスでも所得税が発生するケースがあることを国側が主張し、それを高等裁判所が判決として認めた(国側が勝訴した)という話なんです。

・・・・・は??

ってなりますよね。まぁ一からお話しますので続きをご覧ください。

ではまず、実際の判決について確認してみます。

【判決】
東京高等裁判所は11月4日、競馬の馬券の払戻金に係る所得区分等について争われた裁判において、「雑所得」に該当すると判断していた一審の判決の一部を取り消しました。
つまり、国側の逆転勝訴ということです。(11/10時点では被控訴人は最高裁への上告は行っていません。)

馬券に関する裁判について全く知らない人にとっては、国側が勝ったとっても自分にどんな影響があるのかなんてちんぷんかんぷんですよね。まず、これはいったいどんな裁判なのか、争点は何なのか、その前提から見ていきたいと思います。

・どんな内容の裁判なの?

本件の被控訴人は、自身で設定した選別条件に基づき馬券を自動的に購入できるソフトウェアを使用し、5年間で2,000万円を超える利益を得ていました。これについて、一旦は「一時所得」として申告を行いましたが、後に「雑所得」に該当するとして更正の請求を行ったところ、国がそれを棄却した為に裁判に発展することになりました。

いやしかし5年間で2,000万円の利益ってまじですごいですよね・・・

・争点となるのは?

この裁判で争われているのは、まぁめちゃくちゃ平たく言うと税金の支払い額についてです。馬券によって得られた利益については、当然税金を納める必要があります。ただ、得られた収益というのは、その収益性によって課税のされ方が違うんですよね。これを区別する為のものが、「課税区分」というものになります。先程出てきた「雑所得」とか「一時所得」とかいうやつですね。この「課税区分」がどれに当てはまるかによって支払う税額が変わってきますので、これを争点として争っているということです。

・課税区分の説明

課税区分について一から書くと大変なので、争点として争われている部分のみ競馬に特化して記載してみます。

「雑所得」
営利を目的とする「継続行為から生じた所得」
→馬券の購入を「継続行為」として捉え、利益を出す為には外れ馬券についても一連の経済活動として認識する。よって、外れ馬券を販管費(経費)として計上できる。

「一時所得」
営利を目的とする継続行為から生じた所得「以外」の所得
→馬券の購入は「継続行為」としては認められず、一時の偶発性によって利益を得たものと捉える。よって、納税額は的中馬券でのみ計算するべきで、外れ馬券は販管費(経費)としては認められない。

どうでしょうか?早い方はもうこの違いのヤバさが何となくわかってきたと思います。もっと分かりやすく、この違いによる税額への影響を簡単に書いてみます。

・課税区分による税額への影響

例えばあなたが、年間を通じて回収率110%の+収支を達成したとします。金額は、1,000万円の馬券購入に対して1,100万円の払い戻し。ですが、実は年間で馬券が的中したのは1回しかありません。あなたは爆穴狙いタイプで、100回違うレースで馬連1点10万円掛け、当然人気薄の組み合わせで狙い続け、当たったのは110倍の1回だけ。このような場合の税額の違いを見ていきます。

「雑所得」
雑所得であれば、外れ馬券も経費に含まれる為、「1,000万円」を使って「1,100万円」を得たと捉えます。よって、利益額は100万円。税率は、給与等の所得と合算して求める為一概には言えませんが、ここでは一般的なサラリーマンの方に多いとされる税率20%を適用してみます。すると、競馬の利益からは20万円を所得税として納めることになります。納税後の利益は、80万円ということになります。

「一時所得」
一時所得では、外れ馬券は経費として認められない為、「10万円」を使って「1,100万円」を得たと捉えます。よって、利益額は1,090万円。一時所得の場合、この利益から課税対象となるのは特別控除50万円を差し引いた金額をさらに半分にした金額なので、520万円になります。520万円の場合の課税税率は20%なので、104万円を所得税として納めることになります。納税後の収支は、マイナス4万円ということになります。

この違いのヤバさ、お分かり頂けましたでしょうか。一時所得では、納税まで含めるとなんと収支がマイナスになるんですよ!!

もっと言うと、そもそも競馬の回収率が80%で負けている場合であっても、所得税が発生するケースがあります。一時所得の場合は、いくら競馬にお金をつぎ込んでいようと、経費として認められるのは的中した馬券分のみですから。

例えば10万x100レースで計1,000万円馬券を購入していて、そのうち的中は1回、払い戻しは800万円で回収率が80%だとします。収支はマイナスですが、一時所得の観点からは790万円の利益が出ていることになりますので、所得税を支払う必要があるんです。

こんなの、競馬で勝つなんて不可能だろ・・・・と思いたくもなりますよね。

でも今回の判決は、この「一時所得」こそが正しいとする判決なんです。びっくりしすぎて鼻毛が飛び出ますよね。

まぁ、とはいえ雑所得にするとしても難しい部分はあるんですよね。外れ馬券を経費と認めると管理上無理が出てきます。競馬場で落ちている外れ馬券を拾って経費計上するなんてこともできそうですし。

でもまぁ、今回の裁判の内容はそうじゃないですよね。「ソフトウェアを使って自動で馬券を購入」しているわけですから、しっかりと外れ馬券についても嘘偽りなくデータとして残っています。それに、ソフトウェアによる自動購入ということなら、雑所得の定義にあたる「継続性」はクリアしている気がします。当然、儲けたいからやってることですから「営利目的」でしょう。

それなのになぜ、一時所得という判決がくだされたのでしょうか。ここを理解することで、我々競馬愛好家の馬券購入の際の注意点が見えてきそうです。

【判決の根拠】

本件の判決の最大のポイントは「営利を目的とする継続的活動」であるかどうかです。これを判決のベースとして、雑所得か一時所得かを判断しているようです。

まず、一審で「雑所得」と判断された時の判決の根拠についてお話していきます。

一審では、「雑所得と認めるものの、一部は一時所得とする。」という趣旨の判決が下されました。

【雑所得として認めるもの】
通常馬券による払い戻し

【雑所得として認めないもの】
WIN5による払い戻し

通常馬券を雑所得に該当するとした理由として、馬券の購入金額が一般的な競馬愛好家と同視できる金額ではない点(趣味と言えるレベルではなく、営利目的であるとの判断)、5年間の収支状況から、継続性を認められる点の2点が挙げられます。5年間の収益状況は以下の通りです。

被控訴人の5年間の通常馬券による損益
平成22年  +約584万円
平成23年 +約1,376万円
平成24年  △約790万円(ただし、回収率は80%以上)
平成25年  +約516万円
平成26年  +約601万円

本当に素晴らしい成績ですね。平成24年は損失となっていますが、回収率80%以上ということなので、少なくとも控除率には勝っておりますし、これらの成績から営利目的として利益を上げる為のノウハウが詰まっていることは言うまでもなく、継続性も高いと言えると思います。こんなソフトウェアあるならマジで欲しいです。ノーザンの思惑が~とか言わずに自動で馬券買います(笑)

冗談はさておき、一方でWIN5を一時所得とした理由は、的中確率が極端に低く、回収額も終わってみなければ分からないという偶然性が高い特性上から、営利目的とは認められないということでした。

この一審の判決は、非常に理にかなっているなぁと個人的には納得のいくものだったのですが、二審の東京高裁では鼻毛が出ます。

二審の判決はこうです。


被控訴人の馬券購入行為は、全面的に営利目的とは認められない。よって、全ての内容について一時所得に該当する。

もうね、あんぽんたんかよと。

上の「課税区分による税額の影響」で具体例を示して書いた通り、一時所得となると、収支がプラスでも納税まで含めるとマイナスになるケースがあります。この被控訴人もマイナスに転落するのかもしれません。

このような判決に至った理由は以下の2点です。

平成24年の△790万円という金額は、平成23年を除く他の年の利益額より多額であり、営利性の存否の判断としては看過できない否定的な事象であること

1年間というある程度の長期間で集計しても△790万円という多額の損失が計上されることは、継続的に回収率100%を超えることが期待し得るノウハウを有していたとまでは認められず、偶然性の影響を排除しきれていない(継続的な営利活動とは認められない)こと

これらの理由から、全てを一時所得とする判決に至ったとのことでした。


はっきり言って、この人が一時所得なら、競馬による利益が雑所得と判断されるチャンスはもう今後ないと思います。無理です。判決下した人は競馬のこと全然分かってないか国の犬なんだと思う。

自動購入により収益を出す独自のノウハウがあって、趣味の範疇を超える金額(明らかな営利目的)で馬券を購入していて、5年間1度も回収率80%を割っていない(控除率考えたら十分に回収率向上のノウハウを有している)にも関わらず、これを継続性のない偶然性による利益で片づけるとかね。

頭、大丈夫ですか?(口悪いですごめんなさい)

どう考えたって、雑所得で定義するところの「営利を目的とする継続行為から生じた所得」に該当してると思うんだけどなぁ~。国を違法とするとすごく面倒なことになるから回避しただけだろ・・・

これだけ雑所得に該当しそうな条件が揃っている本件の被控訴人ですらダメなのだから、僕のようにアナログで妄想馬券を購入している人間は当然ダメです。頭で考えている時点で継続したノウハウがあるなんて証明出来ないし、しかも5年の内1回でも回収率100%を割るとダメっぽいとか。

そんなん無理!!!!!!

ついでに言うと、指数派の人も抗う余地はないと思いますよ。一見、独自のロジックによって自動的に算出していて良さそうな気がしますが、結局オッズを見て指数3位を狙ったりとかしてますよね?毎回指数1位の馬の単勝を買い続けているだけということならまぁ雑所得に該当する可能性はあるかもしれませんが。

というか僕がどうこう言っても、本件の結果が正義となってしまいますからね。僕らは全額を一時所得として認識して、その中で出来ることを考えるしかないです。

以下に注意すべき点を書いておきますので、参考にして頂ければと思います。


【我々競馬愛好家が注意すべき点】

やるべきことははっきりしています。競馬による所得税を回避するには、一時所得の特性をしっかりと認識して、それに準拠して競馬を楽しむほかありません。

一時所得は、20万円以下(実質70万円以下)なら所得税の確定申告は原則不要なんです。これはしっかり覚えておきたいところ。

給与を受け取っている人のうち、そのほかの所得金額の合計額が20万円以下の場合は、原則として確定申告を行う必要はないんです。一時所得は特別控除50万円を差し引けるので、一時所得の対象となる金額が70万円以下であれば、確定申告は不要ということになります。

以下の数式に自分の成績が収まっているか確認してみましょう。

「総払い戻し金額」-「的中馬券の購入金額」=70万円以下

収支に関わらず、これさえ守っていれば確定申告を行う必要はありません。(他に一時所得が無ければですが)

ちなみに、パチスロと合算すると超えちゃうんだけど・・・と思う方もいると思いますが、その心配は必要ありません。パチスロはあくまで遊技でありギャンブルではないとされている為「全額非課税」です。換金出来ることをお店の人や警察が認知していないという事になってますので、それに課税するなんて無理がありますもんねwww

合算して考えなきゃいけないのは、競艇等の公営ギャンブルだけです。競馬以外に競輪、競艇、オートレース、ボートレースなどいろいろ手を出している人は、大変ですが合算して考える必要があります。

で、こっからはグレーな話です。実際、上記の数式を超えてしまう人も結構いると思うんです。でもそれらの競馬ファンが全員きっちりと確定申告してると思いますか?

絶対、そんなことないと思います(笑)

というかそもそも、悪意は全然無く自分の収支が分からないし確定申告してないって人もいるでしょうね。収支がよく分からない!という人は、最低でも「一撃70万円を超える利益を出す」ことはやめましょう。これ1発で課税の対象になりますから。収支が分かりませんでしたじゃさすがに済まされません(笑)

まぁ、とはいえ度が過ぎるほどの大金でなければ問題ない気もしますけどね。もちろん推奨しているわけではありませんが。麻雀でも以前話題になったじゃないですか。テンピン(麻雀の賭けレートのことです)までは暗黙の了解でセーフになる可能性が高いとかいう話です。若干論点がズレている気がしますが、これって競馬にも当てはまると思うんです。

だって考えてもみてください。PATのデータを見れば、一時所得があるかどうかなんて簡単に分かりますよね?対象者には毎年確定申告してくださいね~と通知が来てもいいような気がします。でも実際そんなことは実施されません。これってなんでだと思いますか?

そんなことしたら、JRAが売上激減で成り立たないからです。課税とはいえ、白黒はっきりさせられたらユーザーからしたら競馬なんてやめたくもなりますし、やっても70万円は超えないように馬券購入額が減ります。70万円をこえて勝負する人は、納税しても利益を残す自信がある人だけ。そんな人、いったいどれだけいるんでしょうね。どう考えてもJRAの売上は激減します。

麻雀もそうです。賭博は違法とはいえ、全部取り締まりされたらお店がやっていけないし、国民の反感を買うのは目に見えています。だから、グレーゾーンが設けられているんだと思うんですよね。競馬もそれは該当すると思います。ただ、競馬はどこまでがグレーでどこからが黒なのかははっきりとはわからないのが苦しいところ・・・(笑)

JRAが税金を納めて、ユーザーは非課税扱いにした方がよっぽど透明性と公平性が高いのになぜそうしないのか疑問ですねほんと。

とにかく、現状私たちが出来ることと言えば、上記の数式の範囲内で競馬を楽しむことしかありません。超えてしまったのなら仕方ないですから確定申告をしましょうね。

大金勝負する時はPAT以外の方法で馬券を買うだとか、大金の払い戻しを受けることができたら絶対に口外しない、ましてやSNS上でアップしないとか、グレーの範囲内で出来そうなことあるかもね〜なんて、絶対考えちゃいけませんからね!w

さんたろーはしっかり確定申告を行うことを推奨しています!

以上です。最後まで読んで頂きありがとうございました。
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100円よりも価値があると感じた方がもしいれば(いないと思いますが)、投げ銭して頂けるとすごく鼻毛が出ます。

よろしくお願いいたします。

さんたろー

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