【経理業務紹介】月次決算:当月20日ごろから月末までの業務(後半)
この記事では、月次決算の中で、前月の月次決算が完了して、当月の月次決算処理スタート~月末までに行う業務(後半)をご紹介いたします。
1)月末振込手続き(当月25日~月末まで)
概要:支払期限が当月末日の請求書について、請求書を取りまとめて、振込内容を登録し、承認を受け、取引先へ支払いを完了するまでの手続き
業務フローは、
①振込対象の請求書をまとめる
②ネットバンキングで支払い内容を登録する
③請求書と登録内容の一致を確認する
④振込内容を申請する
⑤振込内容を承認する
というような流れで行っています。
①~⑤までで、大体1週間程度かかる想定です。
月末振込手続きは、経理のメイン業務の1つとも言える支払業務です。
多くの会社では、毎月月末に振込手続きを行っているでしょう。そして、この月末の振込手続きを漏れなく完了させることは非常に大切です。
その理由は、取引先が関係しているからです。取引先への支払いは契約書に記載された重要な約束です。支払いが漏れるということは、取引先との契約違反につながってしまうことを認識しておきましょう。支払いが漏れたからといって直ちに大変になることは少ないと感じられる方が多いと思いますが、取引先が、自社の入金をあてにしていることもあります。特に、支払金額が大きい場合は、自社の支払もれから取引先の借入返済不能、結果として倒産、のような最悪なケースもありえます。取引先の状況まで想定できるようになると、取引先との信頼関係が厚くすることができるでしょう。
振込手続きは、単純な作業のように見えますが、もし、ミスをしてしまった場合の影響をどのくらい想定できているかで経理としての深みがわかるような気がします。
振込手続きのポイント
一番大事なことは、「振込内容を間違えないような工夫をする」ことだと思います。行っている業務はシンプルであるものの、件数が増えてくると処理誤りが出てきてしまうことも実態としてあります。なので、請求書の内容が正確にネットバンキングに登録されている状態を作るために、登録時の工夫、チェック時の工夫を考えましょう。
私自身が行っていたことは、請求書にマーカーを引くことでした。紙で請求書を管理していたこともあり、請求書に直接書き込める状況だったので、以下の項目にマーカーを引き、チェックポイントを明確にしていました。
〇振込先(口座名、口座情報)
〇振込金額
〇支払期限
誰に、いくら、いつまでに、という情報をはっきりさせているだけなのですが、請求書のレイアウトがバラバラなため、目印がないとチェックするときにチェック漏れが発生する可能性が増えると思います。
承認を受けるときのポイント
一番大事なことは、承認者は「基本的に時間がない」と考えることです。いかに短い時間でチェックを完了するのかを事前にすり合わせおくことをおすすめします。
例えば、①チェックしてもらう箇所を決めておく、②チェックするスケジュールを決めておくなどです。
①チェックしてもらう箇所を決めておくことは、役割分担と考えて良いです。担当者と承認者の責任の範囲を決めておくことで、担当者が承認者に丸投げすることも減りますし、承認者もやることが決まっているので、負担が限定されます。ありがちなのは、担当者が「全部見てください」と言うケースです。これは、承認者の負担が大きいです。間違いが起きそうなところをおさえておいて、どうやったら負担を少なくチェックできるか(システムで行えることも含めて)を考えていくことが大事です。
②チェックするスケジュールを決めておくことは、振込誤りの防止につながります。よくあるケースとして、承認者が確認を行う時間を確保できないケースです。この場合、振込実行を優先して、チェックが不十分になります。
担当者としてできることは、事前にチェックの時間をスケジュール登録して確保してしまうことです。担当者自身も承認者に連携しやすくなりますし、承認者も時間を確保できるので、ぜひ行いましょう。
※支払期限が、月中に設定されている請求書の振込手続き
これに関しては、基本的に請求書に記載されている支払期限までに振り込むことが必要ですが、一方で、「月末振り込みに集約することはできないか?」と考えることも大切です。
理由は、
①振込手続きの手間軽減
②処理漏れ、処理誤りの防止 です。
振込手続きは、取引先への支払いを行うというとても重要な業務です。そのため、振込内容に間違いがない(振込先の誤り、重複振込、振込忘れなど)ことを確認して、承認を受け、支払いを行うことになります。
慎重に作業することを求められるため、何回も振込手続きが発生してしまうと、それだけ、誤るリスクも増えてしまいます。
ですので、なるべく、月末振込で行えるように、社内への周知と取引先の協力をいただけるように対応進めましょう。
2)振替処理(当月月末まで)
概要:毎月、定例で行う振替処理(仕訳入力)を行います。
具体的には、
〇減価償却費の計上
〇前払費用の費用振替
〇前受金の収益振替
などが、あります。
これらの処理は、月末に行うことが必須ではないですが、毎月処理することが決まっているものなので、時間に余裕があるタイミングで行ってしまうのが良いと思います。
場合によっては、1年分まとめて入力してしまう、という方法もありだと思います。
3)現金実査(当月月末)
概要:月末に残っている現金を数えて、帳簿の残高と一致していることを確認する
現金は不正やミスにつながりやすいため、2名で実施するのが望ましいです。(入出金の記録が不十分な場合に、差異が発生してしまうと、内容確認をするのが困難になりやすい。かつ、差異を埋めるために、自分の手持ちの現金で調整してしまう。)
業務フローは、
①現金を2名でそれぞれ数える
②金種表に結果を記載する
③帳簿の残高と一致しているかを確認する
④経理承認者に実査結果を報告する
というような流れで行っています。
以上の流れで、現金の残高を確認して、毎月管理しましょう。
最後に
今回は、月次決算の中で、月次決算のスタートから月末にかけての業務(後半)をご紹介いたしました。
ここまでお読みいただきありがとうございます。
少しでも参考になるものがあれば幸いです。
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