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蒼空の兵よ

この映像が初公開されたときのことについてはこの先何度も振り返ると思う。
コロナウイルス対策をバッチバチにして公演が行われていた科白劇の千秋楽を配信で見ていた。もちろんそこに推しが呼ばれるとは1mmも思わずに、単に作品のファンとして。
終演後に次回作の発表がされるのはお決まりの流れで、どうなるんだろうな~なんてまぁのんきに、それはのんきにストレッチをしながら見ていた。
「物語はー豊臣」の文字の後に映しだされた一期一振の後ろ姿。そして33秒ころに見覚えのある横顔が。脳の処理が追いつかなかった。見覚えはある…いやそんなまさか…
その時の私のツイートはこちら。

めちゃくちゃキレてる。「まてや」とか言ってる。ガラが悪い。



なぜか私が緊張しながら迎えた初日。維伝が初めての刀ステ観劇だったと話していたれおくんが、この期間でどんな風に役作りをしてどんないち兄を演じるのか、これだけ大きなタイトルの主演を任されるプレッシャー、どんなに思いを馳せてもこちらでは想像しきれなかった。短い間ではあるけど私が見てきたれおくんは、当たり前に板の上で想像以上のお芝居を見せてくれる。
「西暦2205年、歴史の改変を目論む〜」何度も聞いたこのセリフをれおくんが言っている。真ん中に立っている。「はじめるか」を言っている。
座長だ。紛うことなき座長だ。
一幕最後の自らの名を元の主である豊臣秀吉の子、秀頼に名乗る名シーン。あのシーンは役者として彼が築き上げてきたものを最大限に発揮する場だったし、そしてこの三ヶ月で更にそれをバッチバチに練り上げる場であったと思う。アクロバットばかり取り上げられがちだけど、彼の役者としての真骨頂はあの熱演にこそあると実感した。
二幕にはそれぞれの刀剣男士に見せ場の殺陣があって、れおくんは傾斜を使った演出で反復横跳びのように飛びながら切るし、そしてアクロバット(お友だちも自信ないと言っていたけど、いわくチートエアリアル?という技らしいです。怪我前のアクロもこの技をしてたかはちょっと記憶が曖昧‥)刀を宙に投げてまた掴む。彼が元々持ち合わせているバネが半端じゃない。圧巻。ついさっき熱演こそ真骨頂と言っておいてすぐ手のひらを返してみる。分かっていても凄い身体能力なのでやっぱり凄い(語彙力の欠如)

チートエアリアル:この動画の32秒くらいのところで飛んでる技

1月にあった機構トラブルの日もステアラにいたが2月のあの日、再び二幕が始まらなかった時も私はステアラにいた。
アナウンスが入った機構トラブルの時とは違って、しばらくアナウンスの無い時間が続き、これは演者に何かあったんだとすぐにピンときた。それが推しのこととはつゆほども思っていなかったけど。誰が怪我をしたのか分からぬまま帰宅し、一幕最後の例の熱演シーンを完璧にこなしていたのでれおくんでは無いだろうけど、怪我された方大丈夫だろうか…と思っていたら、まさかのれおくんが当事者だった。
瞬きした時間以外は一秒も漏らさずにれおくんを観ていた自信がある。それなのに全く気が付かなかった。
その夜、数公演の公演中止とれおくんのぎっくり腰が発表された。
いつ、どの場面で起きたのか全く分からなかった。どうしたって理解し切れるわけはないけど、コロナ禍になってからの演劇に対する気持ちを話していたれおくんの言葉とか様々な影響とか、色んなことを考えたら私が泣いたところでどうにもならないのに涙が出てしまった。
再開が発表されてすぐに再開公演のチケットを取った。あの二幕の殺陣はまるまるカットされた。いろんな演出が無くなった。分かっていたけれど、(れおくんの気持ちを想像したら悔しくて)また泣けた。


少しずつ演出が戻っていった3月。細かな殺陣や立ち位置、真剣必殺のシャツのボタン。思った以上に動けているれおくんの脅威の回復力に笑えるようになった。
そして、

アクロバットこそしないもののあの殺陣のシーンに一期一振が帰ってきたことをTLで知った。このツイートをして気合をいれたれおくんかわいいなぁ。

やれる演出は出来るだけ復活させたい、間に合わせたいという気持ちも伝わってきていたし、vs阿形との殺陣が日に日に迫力を増す。3か月もあれば当たり前なのだけれど初日とは比べ物にならないスピードと気迫に毎回圧倒された。すごいと思っている間に終わってしまうシーン。

迎えた千秋楽、れおくんが跳んだ。封印してたアクロバットをした。完璧な形で間に合わせた。最後の最後でこの技をどうしてもやりたかったという気持ちが伝わってきて、コンタクトが取れそうになるほど泣いてしまった。
きっとれおくんは怪我をしていなくたって当たり前に千秋楽までこのクオリティを保って、というか毎日進化させて演じきったと思うけれど、ひとつこの大きな壁が現れたことでいつも以上の集中力と熱量を持って板に上がっていたんだと思う。
腰に爆弾を抱えているような気持ちで客席から心配しながら観ていた時期もある。そんな体勢をとって平気なの?腰、大丈夫なの!?!?やめてよ???と思っていた時期もある。れおくんのおたくなのでそこはどうしても、信頼してると言っても心配はしてしまう。
本人もきっとそうだったよね、多分だけど。カレイべであれだけフィジオアクティブの話をしていたので、れおくんのお守りだったんでしょうね。笑

千秋楽の挨拶を聞きながら、よく頑張ったね。やりきったね。と一緒に乗り越えたような気持ちになった。私は客席から応援の気持ちを送りながら見守ることしか出来なかったんだけど、一緒に戦ったような気持ちでいたよ。

このロングラン公演とアクシデントを乗り越えてまた一つ経験を経たれおくんが何倍も強くなって何十倍も成長して、より楽しい時間を与えてくれると思うと嬉しいし楽しみ。

无伝の初日を観劇して、三日月を演じるひろきくんの偉大さに、この作品を創ってきた人の貫録に圧倒された。その一作品の座長をれおくんが任されたこと、本当にすごいプレッシャーだったと改めて感じた。れおくんがどこまでどういう風に感じているかは私にはわからないけど、当たり前にこなしているはずがないよね。これも想像の域を出ないけど。
れおくんも人間だったねと気付くことが結構あった。笑 役者として完璧だと見上げ過ぎていた部分があると最近気付いた。でもそれがれおくんへの信頼だから、ある程度はそれでいいんだと思ってる。反面人間らしい部分を感じるからこそ感動するし、心を動かされるのかな。自分のファンにだけ見せてくれるそういう一面も大好きだしね。

お疲れさまでした。楽しい3カ月だったよ。





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