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「公道」と「私道」①

35条書面には、公道と私道の別を記載します

法律上、「公道」と「私道」の明確な定義は存在しません。一般的には、道路法上の道路を「公道」、私人が所有する土地で道路として利用されているものを「私道」と呼んでいます。
こんなに曖昧なのに、35条書面には、「公道」と「私道」の別を記載することとされています。

なぜ「公道」と「私道」の区分を記載するのでしょうか。それは買主が物件の価値を正しく判断できるようにするためです。
「私道」に接する土地には、建築制限や維持管理責任などの負担が生じることがあります。一方、「公道」に接する土地は、国や自治体が管理を行っているため、所有者の負担は軽減されます。なお、建物の賃貸借の場合は、私道負担が借主に直接影響しないため、35条書面に記載する必要はありません。

私道負担」とは、他人の私道に接する土地を宅地等として利用する際に発生する様々な負担を指します。具体的には以下のような負担があります。
1. 通行料の支払い:・・・私道を通行するために所有者に通行料を支払う必要がある場合があります。
2. 掘削・埋設費用・・・水道管やガス管などを私道に埋設する際、掘削費用を負担しなければなりません。
3. 固定資産税・・・ 宅地の一部が私道となっていても、その部分にも固定資産税が課税されます。ただし、特定の要件を満たす私道は非課税となることがあります。
4. セットバック・・・道路の幅員が4m未満の場合、建物を後退させる「セットバック」が必要で、その部分には建物を建てられません。
5. トラブルの可能性・・・ 私道所有者の承諾なしに工事を行うとトラブルになることがあり、売却時には買主や仲介する宅建業者から通行掘削承諾書の取得が求められることもあります。また、所有者から金銭を要求される場合もあります。
これらの負担は、私道を利用する際に考慮すべき重要な要素です。

35条書面作成における判断


「公道」と「私道」の区別は、一般的に・所有者・管理者・通行権・管理費用・法的規制等によって判断されます。
これらのうち、最も重要なポイントは、道路の所有者と管理者の関係です。

  1. 所有者の確認・・・公道は国や地方自治体が所有し、管理している道路です。これに対し、私道は個人や法人が所有している道路であり、所有者以外の通行は原則として許可が必要です。

  2. 管理責任の所在・・・道路の管理者が誰であるかも重要です。公道は国や地方公共団体によって管理されるため、公共性が高いです。私道の場合、個人や法人が管理しており、その利用には制約があることが多いです。

  3. 登記情報の確認・・・不動産登記簿や公図を確認することで、公道か私道かを判断できます。公図に地番が記載されている場合、その道路は私道であることが多いです。

  4. 建築基準法との関連・・・建築基準法第42条では、特定の条件を満たす私道でも「道路」として認められる場合があります。この場合、私道でも公共性を持つことになります。

  • これらのポイントを考慮することで、「公道」と「私道」を正確に判断し、35条書面の作成にあたることが必要です。


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