媒介契約書による固定資産情報の取得
媒介契約書を提示することで固定資産課税台帳の閲覧や評価証明書の交付が可能になる制度は、宅地建物取引業者にとって重要な手段ですが、実際にはあまり活用されていない現状です。この制度の背景や利用状況、課題について詳しく見ていきます。
制度の概要
2004年4月の地方税法施行規則の改正により、宅地建物取引業者は媒介契約書を提示することで、固定資産課税台帳の閲覧や評価証明書の交付を受けることができるようになりました。
この制度は、業者が依頼者(売主や買主)に対して必要な情報を迅速に取得できるようにすることを目的としています。特に、媒介契約書に特約事項が記載されている場合には、業者は市町村の窓口でこの契約書を提示する(実際はコピーも持参提出)ことで、必要な情報を受け取ることができます。
2022年5月18日からは、媒介契約書の電磁的方法による提供も開始され、業者は紙媒体だけでなく電子的な形式でも契約書を利用できるようになり、利便性が向上しました。
2024年8月には、特約事項が記載されている場合には、この電磁的方法で提供された媒介契約書でも従来通りの手続きが適用されることが明確化されました。
利用が進まない理由
認知度の低さ・・・ 多くの宅地建物取引業者や依頼者がこの制度を知らず、利用が進まない。
手続きの煩雑さ・・・ 媒介契約書の作成や特約事項の記載に手間がかかり、業者が利用をためらうことがある。
デジタル化への移行・・・ 一部の業者や依頼者が依然として紙媒体での取引を好むため、制度の利用率が低迷している。
これらの要因から、制度は理論上便利であるにもかかわらず、実際にはあまり活用されていません。