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私が応援しているのはアイドルじゃなかったかもしれない

「そろそろ本業が何かわからなくなってきたかもしれない」
大阪マラソンで目標タイムを達成、タレント1位を掴んで、オールスター感謝祭の赤坂ミニマラソンで1位を取った、吉本興業所属ダンス&ボーカルグループOWVの佐野文哉さんが、ここ何ヶ月か何回も溢してきた言葉。
肩書きだけ聞いたらまさか本業が歌って踊ることだとはなかなか思えないような記録。そんな中やってきた前代未聞の走りの大仕事、「FNS27時間テレビ 100kmサバイバルマラソン。」佐野さんのお誕生日5月25日に発表されました。

佐野さんならやってくれるだろうな、一番最初に思ったのがそれ。100kmのサバイバルマラソンなんて実感がなさすぎて、漠然とものすごいことだとは思ったものの、聞いたことがない数字すぎてどこかで非現実のように思っていたのかもしれないです。だけど佐野さんならきっとそのためにものすごい練習をするんだろうなということと、持ち前の鋼メンタルで乗り越えてくれるだろうなという信頼で、最初はすごいすごいと騒ぎつつ、その実態をつかめていなかったのです。

“素の文哉”が浮き彫りになった2ヶ月間

それから約2ヶ月。つい半年前まで「パンっと張り切った二の腕」と称されていた儚いお顔についているにしては逞しくてしっかりした腕がだんだんシュッと細くなり、元々細身だった体がさらに痩せていき、ついに40kg台にまで減量。

「ダンスのためにつけてきた筋肉がなくなってきて、もちろん全力で踊ってるけど前に比べたら弱く見えるかもしれない」
長らくの間、踊るために体づくりをしてきたであろう佐野さんがそんなふうに言う日が来るとは。半分冗談のように「せっかく筋トレして鍛えてたのに悲しい」と言っていた時もありました。

どんなに仕事が終わるのが遅くなっても走り続ける日々。毎日10km以上、30kmを走る日もあると言っていて、たまにThreadsで深夜に走り終わった報告をしてくれていました。総走行距離1000km。実に東京〜大阪間を往復できる距離。そんな生活大変じゃないわけがなくて、たまに「走るのってずっと孤独だからしんどい」とか溢すことも増えました。

弱音を吐いてる佐野さんって初めて見たかもしれない。デビューしてからずっと、常にマインドを強く持ってメンバーとQWV(OWVのファンネームです)を引っ張ってくれていた佐野さん。自他ともに認める鋼メンタルの持ち主がしんどい、と言う姿があまりにも珍しかった。
踊っている佐野さんしか私は知らないし、本当にステージの上でパフォーマンスをするために生まれてきた人だと思っていたから、その佐野さんにここまでさせるのって本当に大丈夫なのか、と日々不安の気持ちが押し寄せて何故かこちらが緊張で壊れそうになったりもしました。

それでも、佐野さんは、赤坂ミニマラソンの時と同じように「OWVの名前を広めるために走る」と宣言をしてくれました。そして「絶対優勝します」とも言ってくれました。
彼が「夢を叶える秘訣」をインタビューで聞かれた時に、自信を持つ理由としてこう語っていました。

大口を叩いてみること。みんなに宣言して、自分を後に引けなくする、逃げ道をなくすことが、自分を夢に向かって動かす一つのガソリンになると思っています。

モデルプレス

100kmマラソン出場が決まった時から、表立ってはいつも強気で自信満々な言葉で「優勝」を宣言していた彼は、そうすることで自分への自信を高めて強くなっていたのでした。

6月が終わって、月の目標練習距離を達成できた佐野さんは深夜にインスタライブをしてくれました。この時は少しQWVの中でハレーションが起きていたタイミングでもあり、またメンタルケアされている…とちょっと泣きました。
また、7月半ばにも練習終わりのど深夜にインスタライブをしてくれて、労わるQWVに早く寝てと言われても、「これが癒しなんだから」と激甘仕様で1時間もお話をしてくれました。
佐野さん曰く、Threadsやインスタライブは「素の文哉」でプライベートだそう。とはいえ世の中に共有されるものなのはちゃんとわかっているのに、それでもこちらに少しだけ弱みを見せながら、自分がしんどくてもQWVのことやメンバーのことばっかり考えて優しくこちらに語りかけてくれる。
ほんとに、なんなんだこの人は。強くて優しくて、なのにどこまでも佐野文哉という人間を貫き通す人。

暑い中のサバイバルへ不安な気持ちがなくなったわけではもちろんなかったけれども、いつもみたいに「佐野さんなら大丈夫だな」と気持ちをなんとか持ち直して、気付けば当日になっていました。

#CODE OWV作戦開始

27時間テレビの当日にYouTubeチャンネルで公開された佐野さんの激励動画。メンバーからそれぞれ労いと激励の言葉がかけられました。泣き虫リーダーの本田くんはもうすでに泣いてましたね。知ってた。
そして佐野さんが一番目をキラキラ輝かせていたのが、佐野さんの大好きなゲーム『龍が如く』のプロデューサー名越さんが応援のために来てくれていたこと。少年のように喜んでいた佐野さんがめちゃくちゃ珍しくて微笑ましかったです。

一番近くで見てる人たちがこれだけ応援してて、憧れの人にも応援してもらえているのを動画で見て、ああ佐野さんはあと本番で思いっきりかますだけなんだな、と少し安心することができました。

現地に、佐野さんのトレーニングメニューを組んで、その走りをずっと支え続けていた宇野けんたろう師匠と、本田くんが駆けつけていることを知ってすでに走る前から涙腺はゆるゆる。

いろんな感情が渦巻く中、7月20日19時前にスタートした100kmサバイバルマラソン。前にペースメーカーとして車が走りながら一周5kmのコースを走り、一定の距離を走れば10分間の休憩が繰り返される、マラソンというよりサバイバル。
うのけん師匠が言うには普段1kmを3分半で走る佐野さんにとって1kmを7分で走り続けないといけないのはとても脚に負担がかかる状態だったとのこと。
過酷なペースの中、テレビではなかなか中継がされませんでしたがうのけん師匠がずっとXで選手たちの様子をお知らせしてくれたおかげで佐野さんの様子がわかりました。

50km地点、ちょうど残り半分になった時にOWVの公式Xに投稿されたのがこちら。

こちらの心配を他所にめちゃくちゃ跳んでるわこの人…。
すでにフルマラソンより長い距離を走っていて、もちろん疲れていないわけもないし、これも佐野さんなりの気遣いなんでしょう。
このポストについていたハッシュタグ、#CODEOWV作戦開始がもうあまりにもかっこよくて。最新曲LOVE BANDITZで佐野さんが歌う歌詞。メンバーの勝就さんが「文哉に似合うから」とあてがったパート。まさにこの100kmマラソンがOWVが大きくなるための作戦開始の合図なんだと言っているようでした。

佐野さんがここまで身を削りながら頑張っていることがCODE OWVのひとつで、それをチームOWVみんなで応援していて…って構図がもう尊すぎてこの時点で胸いっぱい。
毎日の練習は孤独との闘いだと言っていた佐野さんだけど、実際走っている時はたくさんの人が直接応援してくれて、一緒に100km完走を目指す仲間が横にいて、その環境の中でどうか佐野さんがいい気持ちで走れますようにと願うばかりでした。うのけん師匠があげてくれていた動画では佐野さんがペースの落ちてきた他の参加者を気遣う様子や声掛けで励ますところも映っていて佐野さんらしい姿だなと思いました。

世界を奪いに行こう

そんなふうに夜を明かし、ハラハラしながら迎えたお昼。残り5kmと、うのけん師匠から実況が入ってもなかなかマラソンを映してくれないテレビにタイムラインがザワザワしていたのがすでに懐かしいです。

ハンデとして男性陣より先に最初にペースメーカーが外れた金田さんの命を削っても走りきる、というような血気迫る姿にすでにぎゅーっと胸が潰れそうでした。3分後にペースメーカーが外れた男性陣は残り1.5kmほどになるまでペースを保っていて。
先頭を走っていた金田さんの後ろに佐野さんの姿が見えた時あたりからもう抱きかかえていたクッションが形が変わりすぎて多分悲鳴を上げていました。

ゴール地点でトラックに入ってきた時は先頭を走っていた佐野さん、何度も後ろのモシモシいけさんを振り返りながら必死に走っていました。あんなふうに歪めた表情は今まで見たことがなかった。最後の最後の直線、まさにデッドヒートで、ギリギリで競り負けてしまい、トップと1秒差でゴールした佐野さん。
あんなにスポーツを見ながらハラハラしたのは生まれて初めてでした。

すぐに佐野さんを抱きしめた本田さんがべしょべしょ泣いていて、その背中がでっかくて、そこでやっとこの闘いが終わったという実感が出て私もウワーと声上げて泣いてました。
佐野さんがOWVを背負って走りの仕事を身を削りながら頑張っていることに申し訳なさを感じていると語っていた本田さんがずっとそばで応援しながらゴールで待っててくれたこと、一度はOWVを期間限定で辞めようとしていたけど今は「OWVのために」自分が必要だから、OWVの名前を広めるために走ると宣言するまでになった佐野さんがそうやって本田さんの元に帰ってきてくれたという構図、もうダメだったな〜。あまりにできすぎていてドラマみたい。
本田さんが腕にMUSEUMグッズのメンカラのシュシュを4つ付けてたり、結成時最初にできた4人の名前と、QWVの名前が書いてあるTシャツを選んで着ていたのも、みんなの想いを背負って今こうやって佐野さんを抱きしめてるよ、と言ってくれているようでした。

うのけん師匠が後のYouTube生配信で語ってくれていたように、マネージャー陣もものすごく泣いていたとか。師匠も「絶対勝たせてやりたかった」と涙を見せていて、ここまで人を熱くさせる佐野さんの努力と真面目さと人望は本物なんだな、と。熱く目標を掲げてそこに向かって頑張れる人間ってなかなかいなくてその想いで人の感情を動かすことができる佐野さんは一生懸命に生きている光なんだあと思います。

2位という結果は悔しい気持ちがあれど、インタビューに答える佐野さんがスッキリした顔をしていたし、モシモシのいけさんと交わした固い握手が100kmの間に仲間になったんだろうなって思えて、本人がやり切ったと感じてくれているなら、それが一番だなとも思いました。ストーリーで「やり切った、出し切った、後悔なし!」と言っていた言葉でものすごく安心しました。それも気遣いかもしれないけどね。
スポーツを経験していた佐野さんだからきっとスポーツにおける勝ち負けの潔さをわかっていると思うし、それで落ち込んだりとかはしないような人かなとは思うけど悔しさはやっぱり後になっても出てくるかもしれないから、その感情は隠さずにいてほしいなとも思います。
でも本当に、めちゃくちゃアツい展開だったし、本当に最後までよく闘った……こんな結果のとこだけ切り取ってドラマとして楽しむことに歯痒くなってしまうけど、でも一番は佐野さんが健康で帰ってきてくれてよかったです。

100kmサバイバルマラソンが終わり放心状態になっていたところに突然投稿されたOWVの公式TikTok。

@owv_official_jp

「FNS27時間テレビ」 100kmサバイバルマラソン完走後に爆踊りする意味わからん #佐野文哉 感動をありがとう💙

♬ Time Jackerz - OWV

本当に意味わかんないよ。爆踊りTime Jackerzを踊る佐野さんを見て、その体力に驚愕すると同時にものすごく安心しました。
佐野さんが走り仕事を頑張るたびに、尊敬の気持ちと誇らしい気持ちと一緒にどことなく口にし難い寂しさもあって、その度に「OWVのために」という言葉に縋ってるなあと自分で思っていたのですが、走った後すぐにOWVの曲を踊ってくれることで、安心しておかえりと言える気がしたからです。
体調大丈夫かな、どうしてるかな…て心配しているQWVに、大丈夫だよ笑顔で帰ってくるよって証明の爆踊りだったわけで、これこそが言葉じゃなくて行動で伝える佐野さんなりの気遣い(とアドレナリンでおかしくなっている)なんだろうなと。
ついでに、ああMUSEUMの時にメンバーが口を揃えて文哉と言えばTJ!と言っていたよなあとか、だからTJにしたのかなとか、そんなことも思い出してまた大泣き。

佐野さんが、このマラソンが決まった時からずっっと好きなものもやりたいことも我慢して「OWVの名前を広めるために」って努力し続けていたこと、絶対忘れないし、どんな結果であれ、いろんな想いを抱えながらチームOWVの分まで走り切ったことを誇りに思っていてほしいです。
OWVの名前は着実に広まったし、いろんな人の心にこの闘いが残ったし、昨日よりもさらに私は胸を張ってQWVですって言えるよ。

私が応援しているのはアイドルじゃなかったかもしれない

このnoteのタイトルなんですが、この27時間テレビ100kmマラソンを経て心に刻まれたことです。

いままで長らく、いろんなアイドルを応援してきたけどOWVほど「人間の人生」を一生懸命応援したことないな、と思ったのです。
この100kmマラソンが始まる何ヶ月も前から、自分のことみたいに心痛くなったり心配になったり緊張したり。人間らしい弱音を吐く姿を見て心配になりつつもそれすらもはや愛おしくというか受け止めてあげたいというかそんな気持ちになったりもして。

サバイバルマラソンを観ていて、QWVは佐野さんの頑張りを痛いくらい感じてきたけど、テレビに映るとあまりにもドラマのようになって、佐野さんの本当の頑張りや努力が実感として伝わりにくいのがどうしても惜しいなと思いました。
それは佐野さんと一緒に100kmに挑戦した他の皆さんもそうで、人それぞれに抱える想いと応援してくれる人がいて、みんな何かのためにこれだけ一生懸命になれるのって本当にすごいこと。しかもみんな他に本業があるしね。それを含めた全ても、ゴールで本田さんに抱きしめられるシーンも、なんだこれ出来過ぎたドラマかよ、と思うくらいに綺麗だった。
でもほんとにこれがドラマだったら多分佐野さんは最後のデッドヒートを譲らずに優勝していたのかも、とか。

悔しさはあるんですが、優勝しなかったことで逆にああこれってドラマじゃないんだと思ったというか。最初からもちろんそんなこと承知なんですけど、佐野さんの生き方ってあまりにも側から見たら物語みたいだから、今までずっと彼の紡ぐ物語を見せてもらってるような気持ちがずっとあったのかもしれないです。

でももちろん一人の人生だから、それを受け取るこちら側からしたら物語のようだったとしても本人にとっては間違いなく人生で、苦しみも孤独も伴う壮絶な闘いだったんだよな、と。それを今回のサバイバルマラソンに向かう道のりの中で感じました。

正直、今までアイドルの人生って私にとってはドラマで良いと思ってた。偶像だし。どこか人間じゃないって思ってるところもあったりして。まあ今でも同じ種類の人間でないとは思ってるけど…。
でもこんなに人間剥き出しで生きていてそれをこちらに見せてくれて、それがどこまでも誠実でかっこいいんなら、しょうがないじゃん。アイドルじゃなくて人間の佐野文哉を、私の人生の中の登場人物にしちゃったよ、とうとう。

最後に

ここ最近ずっと緊張で張り詰めていた心が、マラソンが終わったことで急にふっと解けたけど、あまりにずっと固くなりすぎていたから全然すぐに本調子に戻れなくて、情緒がめちゃくちゃなので全然ずっと新鮮に27時間テレビ中の気持ちに戻れてしまいます。

この週末は入浴(勝就さんの舞台)できるし、そこで心ほぐすつもりで生きよう〜と思っていたらまさかの勝就さんのプロボクサーを目指すプロジェクトが始まっていることを伝えられて再び感情がごっちゃに。やりたいことがやれる環境って当たり前じゃないから、夢が叶えられる場所にいるならきっと実りますようにと願うし励まし支えられたらいいな。

OWVただもんじゃないわほんとに。

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